車両系建設機械の資格は機械に合わせた教育や講習が必要
建物の建築や道路などインフラの工事には、ブルドーザーやパワーショベルなどの車両系建設機械が欠かせません。車両系建設機械を運転するためには、機械の種類に合わせた教育や講習を受講し、資格を取る必要があります。今回は、車両系建設機械を扱う資格の種類や、どのような教育、講習を受講する必要があるのかについて紹介したいと思います。
車両系建設機械とは、建設現場や工事現場で使用される車両型の建設機械です。具体的には、ブルドーザーやパワーショベル、杭打機やコンクリートポンプ車などです。これらの車両系建設機械を扱うには、決められた教育や講習を受講し、資格を取る必要があります。
資格は、車両系建設機械の種類によって次の4種類に分かれています。
- 整地、運搬、積込み用及び掘削用
- 解体用
- 基礎工事用
- コンクリート打設用
さらに、扱う建設機械の機体質量が、3t以上か3t未満かで分かれています。コンクリート打設用だけは、3t以上の分類がありません。
「機体質量」とは、機体だけの質量です。たとえばショベルカーであれば、アーム部分を取り除いた操縦席と足回り、さらにそこから機体を動かすのに必要な燃料や油、冷却水などを除いた重さになります。わかりにくい数値ですが、それぞれの機械に表示されているため、機械を使用する前に確認しましょう。
これらをまとめると、次の表のようになります。
資格の種類 | 整地、運搬、積込み用及び掘削用 | 解体用 | 基礎工事用 | コンクリート打設用 |
各資格において運転できる車両系建設機械の例 | ブルドーザー スクレーパー パワーショベル |
ブレーカー | くい打ち機 アースドリル アースオーガー |
コンクリートポンプ車 |
機体質量3t以上 | 技能講習 | 技能講習 | 技能講習 | - |
機体質量3t未満 | 特別教育 | 特別教育 | 特別教育 | 特別教育 |
例えば、ブルドーザーを使用する場合には、整地・運搬、積込み用及び掘削用の資格、ブレーカーを使用する場合には解体用の資格が必要です。
車両系建設機械の資格を取るためには、使用する機械に応じた特別教育や技能講習を受ける必要があります。特別教育と技能講習のどちらが必要かは、扱う建設機械の機体質量で分かれています。3t以上の場合には技能講習、3t未満の場合には特別教育の修了が必要です。技能講習は、満18歳以上であれば受講できますが、講習を開催している教育機関の中には、受講資格を設定している場合があります。特別教育の受講資格は、満18歳以上という年齢条件のみです。
技能講習は、各都道府県の労働局長登録教習機関で行われます。講習の科目や時間は、使用したい機械の種類によって異なり、長い場合で合計40時間程度です。大型特殊自動車運転免許を持っている場合などは、受講が必要な科目や時間を短縮できます。講習を受けた後には、学科、実技共に修了試験の合格が必要です。車両系建設機械の技能講習を修了することで、高所作業車運転技能講習や不整地運搬車運転技能講習なども取りやすくなるため、仕事の幅を広げていくためにはメリットの多い資格です。くわしくは、「車両系建設機械の技能講習受講で仕事の幅が大きく広がる」の記事で紹介しています。
特別教育は、各企業の事業所や都道府県労働局長登録教習機関で行われます。特別教育の内容は、技能講習と同様に使用したい機械の種類によって異なります。しかし、長い場合で13時間程度と、技能講習よりは短い時間で修了します。また、学科、実技ともに試験は行われません。くわしくは、「車両系建設機械の特別教育は受験資格、試験なしで就職に強い資格を取れる」の記事で紹介しています。
これらの技能講習や特別教育を受けることで、車両系建設機械を使用する資格が取れます。しかし、これらはあくまで工事現場で建設機械を動かすための資格です。工事現場までの移動などで、道路を走行する場合には、大型特殊自動車運転免許など、別の免許が必要になります。仕事の幅を広げたり、活躍できるチャンスを増やしたりするためには、大型特殊自動車免許などもあわせて取得しておくといいでしょう。
車両系建設機械は、資格を持っていないと運転できないため業務独占資格の一つです。工事現場や解体現場などは日本中にあり、建築、土木業界は、人手不足の傾向が強いため、活躍できる現場がたくさんあります。企業からの需要が大きい資格のため、再就職や転職にも有利な資格です。複数の機械の特別教育や技能講習を受け、多くの機械を扱えるようになれば、活躍の場はさらに大きく広がっていきます。
車両系建設機械の資格は、建設現場や解体現場には欠かせない資格です特別教育や技能講習を受けることで資格を取れ多くの現場で活躍のチャンスがあります。再就職や転職にも有利な、メリットの多い資格といえるでしょう。