車両系建設機械の特別教育は受験資格、試験なしで就職に強い資格を取れる
建設現場では、さまざまな車両系建設機械が使われています。しかし、建設機械はだれでもあつかえるわけではなく、専用の資格が必要です。車両系建設機械の特別教育を受け、資格を取得すると、建築現場で使われる建設機械の中でも小型の機械をあつかえるようになります。今回は、車両系建設機械の特別教育について、教育内容や受講資格などを紹介したいと思います。
車両系建設機械をあつかうために必要な資格は、建設機械本体に表示されている機体質量によって分かれています。表示されている機体質量が3t未満は小型に分類され、特別教育(小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育)を受講すればあつかえるようになります。特別教育は、あつかう建設機械の違いによって、以下の表のように4種類に分類されています。
分類 | 主な車両 |
整地、運搬、積込み用及び掘削用 | ブルドーザー、トラクターショベル、クラムシェル、ホイールローダーなど |
解体用 | 鉄骨切断機、コンクリート圧壊機など |
基礎工事用 | アースドリル、穿孔機など |
コンクリート打設用 | コンクリートポンプ車など |
特定の特別教育を受講することで、対応した車両系建設機械をあつかえるようになります。特別教育を受ける際には、あつかいたい機械がどの分類に分けられているのか、確認してから申し込みをしましょう。
車両系建設機械の特別教育は、18歳以上であれば、だれでも受講することができます。講義は1日目に学科、2日目に実技と、2日間にわたって行われます。また、費用は受講する教育機関によって異なりますが、およそ15,000円~20,000円程度です。学科は4科目、実技は2科目に分かれていますが、コンクリート打設用のみ学科が3科目です。また、受講に必要な時間もそれぞれの分類によって変わります。
受講時間 | 整地、運搬、積込み用及び掘削用 | 解体用 | 基礎工事用 | コンクリート打設用 |
【学科】走行に関する装置の構造及び取扱い方法 | 3時間 | 2時間 | 2時間 | 4時間 |
【学科】作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法 | 2時間 | 2時間 | 3時間 | 2時間 |
【学科】運転に必要な一般的事項 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | - |
【学科】関係法令 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 |
【実技】走行の操作 | 4時間 | 4時間 | 3時間 | 4時間 |
【実技】作業のための装置の操作 | 2時間 | 2時間 | 3時間 | 1時間 |
3t以上の車両系建設機械をあつかえるようになる技能講習では、他の資格を持っていることで、受講時間の短縮(免除)が可能です。しかし、特別教育では、受講時間の短縮制度はなく、すべての内容を受講する必要があります。技能教育には、学科と実技の修了試験がありますが、特別教育には試験はありません。事前に勉強や過去問題の確認などしておく必要はなく、当日の講義に集中して取り組めば問題なく教育を修了できます。
特別教育は、各企業の事業所や都道府県労働局長登録教習機関で開催されています。具体的には、PEO建機教習センタやコマツ教習所などで開催されているため、最寄りの教習機関に申し込みをしましょう。ただし、どの教習機関でもすべての特別教育が行われているわけではありません。PEO建機教習センタではコンクリート打設用が開催されておらず、コマツ教習所では基礎工事用とコンクリート打設用が開催されていません。受講したい特別教育が行われているか、申し込み前に確認しておきましょう。
3t以下の車両系建設機械は、特別教育を受講しないとあつかうことができません。仕事をするために資格が必要な「業務独占資格」に分類されています。この資格を取ることで、建設現場や解体現場、リサイクル場など、さまざまな場所で活躍できるようになります。企業からの需要も大きく、資格を持っていることで、再就職先や転職先が広がります。さらに活躍の機会を増やしていくためには、他の分類の特別講習を受けたり、3t以上の車両系建設機械をあつかうための、技能講習を受講するといいでしょう。技能教育の受講時間は、特別教育後に6ヵ月以上の実務経験を積めば、未経験での受講時間に比べて半分程度に短縮できます。技能講習に関しては「車両系建設機械の技能講習受講で仕事の幅が大きく広がる」の記事にまとめてあります。
3t未満の車両系建設機械をあつかえるようになる特別教育は、18歳以上であればだれでも受講できます。2日間の学科、実技講習を受ければいいので、事前に試験勉強をする必要もありません。この資格は、使用する機械により4つに分類されています。就職したい企業や自分の仕事にはどの分類が求められているのか、確認してから申し込みをしましょう。資格を取ることで、特に建設、土木系の企業への、転職や再就職できる可能性が大きくなります。