車両系建設機械の技能講習受講で仕事の幅が大きく広がる
大きなショベルカーやホイールローダーなどの建設機械に憧れ、いつか乗ってみたいと思っていた人もいるでしょう。車両系建設機械の技能講習を受講することで、建設現場や解体現場で活躍する、大きな建設機械をあつかえるようになります。今回は、車両系建設機械の技能講習について、特別教育との違いや受講内容などを紹介したいと思います。
車両系建設機械の技能講習は、機械に表示されている機体質量が3t以上の、大きな建設機械をあつかうための資格です。3t未満の小型車両系建設機械をあつかう場合には、技能講習ではなく特別教育の受講が必要です。技能講習はあつかう建設機械によって、下の表のように3種類に分類されます。
分類 | 主な車両 |
整地、運搬、積込み用及び掘削用 | ブルドーザー、スクレーバー、パワーショベル、トレンチャーなど |
解体用 | ブレーカー、鉄骨切断機など |
基礎工事用 | くい打機、くい抜機など |
車両系建設機械の技能講習は、満18歳以上であること以外の条件はありません。技能講習の内容や講義の時間は、どの分類を受講するかによって異なります。未経験から受講する場合には、どの分類も40時間程度の受講が必要です。
受講時間 | 整地、運搬、積込み用及び掘削用 | 解体用 | 基礎工事用 |
【学科】走行に関する装置の構造及び取扱い方法 | 4時間 | 4時間 | 4時間 |
【学科】作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法 | 5時間 | 5時間 | 6時間 |
【学科】運転に必要な一般的事項 | 3時間 | 6時間 | 3時間 |
【学科】関係法令 | 1時間 | 1時間 | 1時間 |
【実技】走行の操作 | 20時間 | 20時間 | 10時間 |
【実技】作業のための装置の操作(及び合図) | 5時間 | 4時間 | 15時間 |
技能講習は、特別な条件を満たしている場合、受講時間を短縮できます。その条件には、以下のようなものがあります。
- 車両系建設機械の他の分類を受講済み
- 大型特殊自動車運転免許を持っている
- 普通自動車免許に加え大型自動車運転免許を持っていて、特別教育受講後3ヵ月以上の実務経験がある
- 特別教育修了後6ヵ月以上の実務経験がある
- 建設機械施工技術検定を持っている
未経験から技能講習を受けるのが難しい場合には、3t未満の建設機械をあつかえるようになる特別教育を先に受講するという選択肢もあります。特別教育を修了し実務経験を6ヵ月以上積むことで、技能講習に必要な時間を短縮できます。また、技能講習の受講には10万円程度の費用がかかりますが、短縮条件を満たしている場合には受講費用も減額されます。教育を提供している施設によっては、最初に「整地、運搬、積込み用及び掘削用」の技術講習を受講していないと、解体用や基礎工事用を受講できない場合がありますので、注意しましょう。
車両系建設機械の技能講習には試験があり、学科と実技に分かれています。学科試験は、受講する科目と同じように、走行、作業、運転に必要な知識、関係法令に分類されます。また、実技試験は、受講した内容の中から、基本的な操作や決められた方法による基本施工が出題されます。
学科試験も実技試験も、基本的な問題が出題されます。受講期間中にしっかり勉強していれば、事前に試験勉強をしていなくても十分合格できます。講義の中で重要なポイントを強調して説明してくれるため、学科試験に向けては、講義内容のメモを取り、重要なポイントを覚えておきましょう。実技試験の注意点として、試験で使う建設機械は、レバー操作による機械の動きがJIS規格のものになっていることです。一般的に普及しているものとは、レバーを動かす方向が違います。とくに経験者の場合は、慣れている機械と動きが違う可能性があるため、注意しておきましょう。
車両系建設機械の技能講習を修了し、試験に合格すると、受講した分類に応じた建設機械をあつかえるようになります。憧れていた大きな建設機械を、自分の手で操作できるようになるのは魅力的です。特別教育の受講だけでは、機体質量が3t未満の小型建設機械しかあつかうことができませんでした。一方で技能講習を修了し大きな建設機械をあつかえるようになれば、大規模な土木工事や大きなビルの建設、解体工事など、さまざまなシーンで活躍できます。土木、建設系の企業の多くが、技能講習の修了者を募集しているため、転職や再就職しやすくなるでしょう。
また、車両系建設機械の技能講習は、すでに建設、土木系の企業で働いていて、社内でキャリアアップを目指したい場合にもおすすめの資格です。他の分類を受講済みの場合には、未経験の場合よりも短期間で技能講習を修了できます。新しい建設機械をあつかえるようになれば、活躍の場が広がります。
車両系建設機械の技能講習は、5日間で40時間程度の受講が必要なため、受講中は大変かもしれません。しかし、この資格を取ることで大型の車両系建設機械をあつかえるようになるため、建設や土木、解体現場ではとても重宝される人材になれます。転職や再就職が有利になったり、社内でのキャリアアップにつながったりもするため、がんばって受講する価値は十分にあるでしょう。