派遣会社のマージン率の計算方法や相場、内訳をわかりやすく解説!
派遣会社を選ぶ際には見る項目がいくつかありますが、その中でもマージン率は確認しておいたほうがいい項目のひとつです。マージン率とは派遣会社が派遣先の企業から、どれだけの手数料をもらっているかという割合を指します。自分が働くのだから、働いた分はできるだけ多く還元してほしいですよね。しかし派遣会社を選ぶ際、マージン率についてどのように計算するのか、どの程度が平均なのかを知らない方は少なくありません。
せっかく働くならたくさんお給料をもらえたほうが嬉しいですよね。そこで今回は、マージン率とは一体何なのか、内訳や相場、計算方法などについて紹介していきます。
【目次】
■派遣会社のマージン率とは何か?
■派遣会社のマージン率はどのくらい?
・マージン率の平均値
・マージン率の上限・下限は?
■派遣会社のマージン率は公開が義務づけられている
■マージンの使い道とは?
・社会保険料や福利厚生費などの諸経費
・有休休暇費用
・広告宣伝費用
・事業運営費費用
・営業利益
■マージン率のほかに派遣会社選びで見るべきポイントは?
・求人数
・紹介予定派遣の実績
■まとめ
派遣会社のマージン率とは、派遣会社が取引先の企業からもらったお金のうち、どのくらいの割合が派遣会社の取り分となるかを表す数値です。
つまりマージン率は以下の式で計算することができます。
マージン率(%)=(派遣料金の平均額ー派遣労働者の賃金の平均額)÷派遣料金の平均額×100
例えば派遣会社から労働者に支払われる賃金の平均が1日あたり15,000円で、派遣先の企業が派遣料金として1人あたり平均20,000円支払っていたとします。その場合、マージン率は下記となります。
マージン率(%)=(派遣料金の平均額ー派遣労働者の賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額×100
=(20,0000 – 15,000) ÷ 20,000 × 100 = 25 (%)
派遣会社は、派遣先の企業から派遣料金を受け取り、その中から労働者への給与を支払っています。給与以外にも会社を運営するための費用がかかり、そうしたものを差し引いたものが派遣会社の利益となっています。マージン率を知ることで、派遣会社を選ぶ際の1つの基準となるので、一度計算してみてください。
マージン率を計算しても基準がないと比較しづらく、派遣会社のマージン率はどのくらいが平均なのか気になるかもしれません。派遣会社のマージン率の平均や上限・下限について紹介していきます。
派遣会社のマージン率の平均値は、令和元年労働者派遣法施行状況調査によると2018年度は平均30.4%でした。若干の変動はあるものの、今現在もマージン率は3割少しと考えていていいでしょう。
ただしこれは派遣会社全体の平均値です。この数値は業種などによって若干異なります。
例えばIT系や技術者派遣はマージン率が比較的高い傾向にあります。これは業界が好調で、かつ特定の技術が必要で人材不足の状況にあり、派遣料金が高くなっているからと考えられます。逆に豊富に人材がいるような販売や事務、サービス業といった派遣の場合はマージン率が低い傾向にあります。
また、マージン率は派遣会社が独自に定めているため、その年によっても変動がある場合があります。今は自由に働きたいという考えの人が増えてきたり、派遣社員を受け入れる企業が増えたりしたことから、正社員という働き方から派遣という働き方に移行しつつあります。厚生労働省の「マージン率等の情報提供について」によると2004年は一般労働者派遣事業者のマージン率は28.5%でしたが、現在は35.4%と増加傾向にあります。
マージン率は派遣会社によっても変わってきます。例えばリクルートスタッフィング本社は30.7%、パソナ本社は32.4%、テクノプロ新宿支店は44.4%と、会社ごとにもマージン率の差があります。(2023年5月時点)
派遣会社のマージン率の上限や下限は定められているのでしょうか?答えはNOです。つまり極端な話、マージン率が0%でも100%でもOKとされています。ただし1つだけ決められていることがあります。それは、労働者へ対するお給料が法律で定められた最低賃金を下回らないことです。
最低賃金とは、労働者に対して最低限支払わなければならない賃金の下限額のことです。この最低賃金を下回ってしまうと、使用者は法で裁かれることになります。
東京都の場合、2022年10月1日から時給1,072円が最低賃金として設定されています。そのため、東京の場合はこの時給を下回らなければ、マージン率はどれだけ高くても低くても良いと言うことになります。
前述しましたが、IT系や医療系など、特殊な技術が必要とされる職種では、マージン率が高くなる傾向にあり、マージン率が50%近くになることもあります。
派遣会社のマージン率は、公開が義務付けられています。2012年10月1日に「改正労働者派遣法」が施行され、マージン率の公開が義務づけられたのです。そのため、派遣会社のマージン率を事前に知ることができます。
マージン率は派遣会社の公式サイトや会社概要などに記載されているので、派遣会社を選ぶ際の1つの基準として利用することができます。
また、改正労働者派遣法ではマージン率以外にも、以下の内容を公表すべきとしています。
・派遣労働者の数や派遣先の数
・派遣料金の平均額
・賃金の平均額
・労使協定を締結しているかどうか
・派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項
これらの項目をあわせて確認することで、派遣会社を選びやすくなります。
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ここまでマージン率について解説してきました。マージン率は派遣会社が労働者に支払う賃金を差し引いて、派遣料金全体の何割を手数料としてもらっているかを表す数値です。
しかし、手数料全てが派遣会社の利益になるわけではありません。手数料の中から会社の運営に必要な経費が差し引かれて、残ったものが会社の利益となっています。
それでは派遣会社はマージンをどのように使っているのでしょうか?その使い道を紹介していきます。
マージンは、社会保険や福利厚生費などの諸経費として使われています。派遣労働者にも社会保険が適応されますが、保険料は利用者と派遣会社の双方が負担する仕組みになっていて、マージンの中から社会保険料を出しています。
社会保険には、労働者災害補償保険や雇用保険、年金保険、健康保険、介護保険が含まれています。
労働者災害補償保険は仕事中の事故や業務中に発生した病気や怪我などに対する保険です。
雇用保険は会社の倒産や解雇で失業した際や、退職後次の仕事が決まるまでの一時的な期間の生活を支える給付や手当てのための社会保険。
年金保険は老後の生活を支える保険で、健康保険は病気や怪我で病院にかかる際に医療費を3割に抑えたり、高額な医療を一定の上限額の負担で受けられたりする保険で、社会保険が完備されている派遣会社の場合、派遣会社と折半してこれらを支払うことになります。
介護保険は40歳〜64歳の方が対象となっている保険で、こちらも派遣先と折半して支払うことになります。
このほかにも、福利厚生費や教育研修費などもマージンの中に含まれています。
派遣労働者も有給休暇を取得することができますが、有給休暇を取った際の賃金は派遣会社が支払っています。そのため、マージンの中には有給休暇中の賃金も含まれているのです。
一般社団法人日本人材派遣協会によると、派遣料金のうち有給休暇費用は4.2%としています。
派遣会社は派遣する人材を集める必要があります。そのため、求人広告を打って人材を集めていますが、広告を出稿するには当然費用がかかります。
広告出稿の際の費用もマージンの中から使われています。広告の種類としてはテレビCMやSNSでの広告、Web広告などさまざまな種類があります。
事業運営費用とは、派遣会社が事業を運営するために必要となる費用のことです。
派遣会社は電話やネットで営業を行ったり求人広告を出稿したりしています。そのために固定回線を引いたりPCを購入したりする必要があります。
また派遣会社で働いているスタッフにお給料を支払わなければならなかったり、オフィスを借りている場合家賃を支払わなければならなかったりします。
このように、事業を運営するにはさまざまな費用が必要となりますが、そうした費用もマージンの中から賄われています。
社会保険料や事業運営費用など、これまで挙げたようなものがマージンの中から支払われています。そうしたものを全て差し引き、残ったものが派遣会社の営業利益となります。
一般社団法人日本人材派遣協会によると、派遣料金のうち営業利益の割合は1.2%程度でした。(2021年5月末時点)
マージンが全て会社の利益になる訳ではなく、その派遣会社がスムーズに仕事を紹介できるようにさまざまな部分にお金を使い、残ったものが利益となっているのです。
こうしたことを知ると、マージンに対する見方が少し変わるかもしれませんね。
派遣会社を選ぶ際の基準となるマージン率。マージン率は派遣会社が手数料としてどれだけ取っているかを表す割合でしたね。しかし、派遣会社の実際の営業利益は1%ほどしかないということも紹介してきました。
業種などによってもマージン率は変わってきますし、マージンの中には社会保険料や福利厚生費なども含まれています。そのため、マージン率が低ければいいという訳ではありません。マージン率が低いということは社会保険や福利厚生に費用を割けず、手当やサポートが不十分の可能性があるからです。受け取るお給料分のマージン率が高いと自分が働いた分のお給料を派遣会社に取られてしまうという気持ちもあるかもしれませんが、マージン率だけで派遣会社を決めずに、そのほかの項目も見て決めたほうがいい派遣会社と出会うことができます。
それではどのような項目を見るといいのでしょうか。
まずは求人数を見ましょう。求人の数が多ければ条件に合う仕事や職場と出会える確率が高まります。
せっかく派遣会社に登録したものの、求人の数が少なくて、希望条件にあった仕事に出会えなかったり、納得いかない条件で仕事を始めるとなると、モチベーションが下がってしまったりしてしまいますよね。
いくつかの派遣会社を比較して、求人の数が多いところに登録したほうが後悔せずに働くことができます。
将来正社員として働きたいと考えている場合は、紹介予定派遣の実績もチェックしておきましょう。
紹介予定派遣とは、派遣期間が終了した後、派遣先の企業と合意のもと社員として働ける制度です。将来のキャリアアップも見据えて派遣の仕事を探したい場合には活用したい制度です。
紹介予定派遣は、最初は派遣社員として企業の中に入るので、職場の雰囲気を見た上で正社員になることができたり、派遣会社のフォローを受けながら仕事を見つけられたり、社員として働くことで継続して収入を得られたりといったメリットが挙げられます。
ただし、派遣会社が紹介予定派遣の求人を取り扱っていて、どの程度社員として働き始めた実績があるのかは確認しておいたほうが安心です。また仕事を探す際にどのようなフォローを受けられるのかといったフォロー体制も確認しておきましょう。
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この記事では、派遣会社のマージン率とはどのようなものなのか、計算方法やその内訳などを紹介してきました。
マージン率は派遣会社がもらう手数料の割合を表した数値で、社会保険や福利厚生費、有給休暇中の給与などもマージンの中から引き出されています。またマージン率は業種などによっても変動します。
そのため、派遣会社を選ぶ際はマージン率だけを見るのではなく、求人の数や紹介予定派遣の実績などもみて総合的に判断したほうがいい仕事と巡り合うことができます。マージン率も参考にしながらいい派遣会社を見つけてみてください。