2020.8.21

派遣社員がふるさと納税をするなら何をすればいい?確定申告は必要なの?

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巷で話題になっているふるさと納税。納税したほうがお得という声や、返礼品が魅力という声が聞こえてきます。しかし、「確定申告」との関係がわからず、ふるさと納税をしない方もいるのではないでしょうか。ここでは、そもそも確定申告とは何か、正社員も派遣社員も同じく確定申告の必要はないのかについて説明します。ふるさと納税に向けて、派遣社員ならではの確定申告の疑問を解消しましょう。

1.ふるさと納税とは何か・なぜ得なのかをおさらい

ふるさと納税とはそもそもどういった仕組みなのか、実行するメリットも踏まえて確認しましょう。確定申告との関係も合わせて説明します。

1-1.ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の住んでいる自治体・自分の住民票がある自治体以外の地域に寄付することを指します。寄付をした分が納税額から控除され、そのうえ、寄付をした地域から返礼品がもらえるといった理由などで注目されています。寄付の見返りに返礼品を受け取れるとなれば、いくらまで寄付できるのか気になるでしょう。実は、「いくら払えばどれほどお得か」の基準は、個人の年収や家族構成によってさまざまです。確実に恩恵を受けるには、それぞれが自分の状況に応じて計算しなければなりません。

1-2.ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットの1つに、地域からの返礼品が挙げられます。多くの自治体がふるさと納税を活かしたまちづくりに取り組んでいるので、返礼品にはさまざまなものがあります。地域の名産品もあれば、旅行券やクーポン、電化製品などもあり選り取り見取りでしょう。人気がある返礼品は申込開始早々に受付が終了することもあるので、計画的にふるさと納税に取り組む方も少なくありません。

ふるさと納税のもう1つのメリットは、税金が安くなることです。控除を受けられる税金とは、所得税と住民税です。ふるさと納税をお得に活用するために覚えておきたいのは、「原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象」ということ。これを超えて寄付をしてしまうと、全額控除されなくなってしまいます。せっかくふるさと納税をするのならば、限度額を厳密に計算してから活用しましょう。ただし、限度額は個人差が大きいため、それぞれの年収や家族構成に応じたシミュレーションが必要です。去年の源泉徴収票を用意し、以下のサイトでシミュレーションしてみましょう。ふるなび(https://furunavi.jp/deduction.aspx

1-3.「確定申告しないといけない」わけじゃない

ふるさと納税をしようか躊躇している方のなかには、確定申告が心配な方もいるのではないでしょうか。実際は、確定申告をしなくてもふるさと納税による控除を受けられる可能性があります。ふるさと納税の場合は特例として「ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものがあるためです。ワンストップ特例制度は、平成27年4月1日から始まりました。自身で確定申告をしない給与所得者は、簡単な申請のみでふるさと納税に関連する寄付金控除を受けられるというものです。

給与所得者は基本的に会社が税金関連の手続きを代行してくれているので、これまで確定申告を経験したことがない方もいるでしょう。したがって、ふるさと納税による控除を受けるために「確定申告をしなくてよいかもしれない」ということは、給与所得者にとって朗報といえます。ただし、残念ながら給与所得者であるだけでは、確定申告をしなくてもよいとは言い切れません。ワンストップ特例制度を利用できるか否かは、確定申告の仕組みを理解すれば分かります。「確定申告が不要な給与所得者」の条件について難しく感じる方もいるかもしれませんが、寄付金控除の恩恵を受けるためにしっかり確認しましょう。

2.確定申告の基礎知識を確認

確定申告とはそもそもどういうものであるか、年末調整にも触れつつ説明します。派遣社員を含む給与所得者が、確定申告をしなくてすむ条件を把握しましょう。

2-1.確定申告・年末調整とは?

確定申告をする目的は、1年間の所得額と税金を自分で計算し、税務署に申告するためです。フリーランスや自営業の方は毎年行わなければなりません。仮に確定申告をしないと申告漏れとなり、悪質な場合はペナルティを受けることとなるでしょう。一方、給与所得者の場合は、税金に関する手続きを雇用先が行う決まりになっています。パートやアルバイトといった非正規雇用でも、給与を受け取っていれば雇用先は税金関連の手続きを代行しないといけません。もちろん派遣社員も給与所得者であるので、雇用先の派遣会社にて手続きをしてもらえます。

会社が税金関連の手続きを行うには、年末調整が必要です。会社は毎月の給与から決まった額を天引きし、国や自治体に納める税金としてキープしています。しかし、天引きされる額は年のはじめに概算で決定しているので、税金をとりすぎている場合もあれば足りない場合もあるでしょう。このため、年末に正しい所得額を計算し税金の帳尻合わせをする必要があります。それが年末調整です。年末調整をしてもらえれば、派遣社員を含む給与所得者は自分で確定申告をする必要がありません。ただし、「確定申告をしなければならない給与所得者」もいます。

2-2.派遣社員で確定申告が必要なのは副業をしている場合など

確定申告が必要か否かは、どのような収入がどの程度あるかがポイントです。順番にチェックしていきましょう。まず、給与の収入金額が2000万円を超える方は確定申告が必要です。次に、所得が給与所得のみの方は、複数の給与所得を一つの会社でまとめて年末調整してもらえます。その際、それぞれの給与所得がわかるように、源泉徴収票もの提出が必要なので準備しましょう。また、退職所得がある場合も確定申告はしなくて構いません。一方、給与所得以外の所得がある方は確定申告が必要な可能性があります。副業をしている方などが挙げられるでしょう。収入金額から必要経費を控除した後の金額が20万円以上あれば、確定申告が必要です。

さらに、給与収入のみであっても医療費控除や住宅ローン控除などのような所得控除を受ける場合は確定申告が義務付けられます。ふるさと納税のみワンストップ特例制度を利用することはできないので、全部まとめて申告しましょう。

3.年末調整をしてもらえる派遣社員がふるさと納税をしたいなら

給与をもらっている派遣社員であれば基本的に年末調整をしてもらえる、つまり確定申告が不要とわかったでしょう。ここでは、確定申告なしでも簡単に所得控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」について詳しく説明します。

3-1.「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用

平成27年4月1日から開始した「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は、納税した自治体数が5団体以内である方が使える制度です。制度を使うには、納税先の自治体に必要書類を提出しましょう。書類に不備がなければ、提出先の自治体から住民票がある自治体に控除内容が通知されます。なお、控除を受けられるのは所得税ではなく、住民税ということに注意しましょう。まとまったお金が個人の口座に還付される訳ではありません。寄付をした翌年の6月以降から、1年後の5月まで住民税が控除される仕組みになっています。

なお、ほかの所得控除を受けたい、または副業収入などによる所得が20万円以上という「確定申告をしなければならない給与所得者」は、この制度を利用できません。

3-2.利用方法

ふるさと納税先の自治体に提出する書類とは、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」と「マイナンバーカードおよび申請者本人を確認できる書類」の2つです。これらは、寄付をした翌年の1/10までに提出しなければなりません。また、同じ自治体に複数回寄付をする場合は、その都度書類を提出することになります。なお、申請書の書式は自治体ごとに異なります。

4.簡単に解説!確定申告の方法とは?

「確定申告をしなければならない給与所得者」に向けて、確定申告の方法を簡単に説明します。

4-1.確定申告の期間

確定申告の期間は基本的に2月半ばから3月半ばです。また、申告する所得や控除は、前年の1月1日から12月31日までの分と決められています。申告期間は1カ月程度ですが、副業収入がある方などは小まめに帳簿をつけておいた方がよいでしょう。収入や経費は、煩雑になると整理が大変なためです。確定申告の期間は、ずれることもあります。たとえば、2019年の1月1日から12月31日までの所得は、本来ならば2020年(令和2年)2月17日(月)から3月16日(月)までに申告するはずでした。しかし、このとき世間を騒がせていたのがコロナウィルスによる感染症です。

2020年の2月17日に、確定申告書類の提出が4月16日までに延期されることが決定しました。その後、コロナウィルスにより申告が困難な方に限り、4月17日を超えてからも提出を受け付けることが国税庁により改めて発表されています。国税庁が延期という手段を選んだ理由は、税務署の窓口に書類を提出する方で、館内が密になるのを防ぐためです。このように、確定申告の時期は例年通りではないかもしれません。最新の情報を確認して準備をしましょう。

4-2.確定申告の方法

まず、確定申告書Aと確定申告書Bどちらで提出するかを決めましょう。確定申告書Aを提出するのは、給与所得がある正社員や派遣社員、パートなどが多いです。ふるさと納税の寄付金控除や、医療費控除などの所得控除目的で利用するならば、確定申告書Aが妥当といえるでしょう。ほかには、源泉徴収票・各種控除証明書をそろえて提出します。一方、確定申告書Bを提出するのは、フリーランスや自営業の方です。加えて、確定申告書以外にも書類がいります。白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書を添付しましょう。青色申告をするには事前に青色申告承認申請書の提出が必須なので、出していなければ白色申告、つまり収支内訳書を用意します。

確定申告書は窓口に直接、または郵送での提出を選ぶ方が多いですが、e-Tax(イータックス)というネットでの申告もできます。ただし、これにはマイナンバーカードと読み取りに対応した特定のAndroidのスマホが必要になるので、誰でもe-Taxを選べる訳ではありません。

ふるさと納税は簡単にできる!挑戦してみよう

ふるさと納税は、多種多様な返礼品をもらえ、税額控除をも受けられるお得な制度です。なお、派遣社員なら基本的にワンストップ特例制度を利用して寄付の翌年から住民税の控除を受けられます。確定申告をせずとも税額控除が受けられるのであれば、検討しやすいのではないでしょうか。メリットが多いふるさと納税に、ぜひ挑戦してみましょう。