工事担任者DD種をとると何ができるの？取得メリットや難易度、合格率を紹介
情報通信工学は、工学系の中でも今もっとも注目度が高い分野のひとつです。「情報通信に関わる仕事がしたい」と思う人は多いのではないでしょうか？その仕事に一歩近づくためにまずは資格取得を考えるのもいいかもしれません。
工事担任者DD種は、そんな情報通信系の資格のひとつです。「どんな資格で何ができるのか？」や、試験の難易度、合格率についてご紹介します。
工事担任者DD種とは、デジタル回線と端末設備を接続する工事ができるようになる資格です。電気通信事業者の光ファイバーと電話機やパソコン、OA機器などの配線工事を行ったり、それらの管理やメンテナンスを行います。
工事担任者資格DD種は3種、2種、1種の３種類があります。種によってあつかえる工事の内容が異なり、デジタル信号の入出力速度の範囲によって分かれています。３種は速度1Gbpsまでで、主に一般住宅の工事を担当できます。２種や１種になるとビルやマンションなどの大きな建築物もあつかえるようになります。
さらにアナログ回線とデジタル回線の両方があつかえるAI・DD総合種もあります。
工事担任者のAI種はアナログ回線やISDN回線、DD種はデジタル回線の接続に関する資格です。試験内容は、AI/DD種ともに、「電気通信技術の基礎」、端末接続の「技術、理論」と「法規」の３テーマをあつかいます。DD種は端末を接続する技術としてIP（インターネットプロトコル）やLAN接続、ネットワーク技術、情報セキュリティ技術を学んでおく必要があります。また、電気通信事業法や有線電気通信法といった、端末接続の上で必要となる法律や規制法律や規制の知識も要求されます。
工事担任者DD種の資格は、就職に有利です。通信ネットワーク工事関係の求人では歓迎要件として記載されています。従来は、電話回線や通信設備の接続工事と限られた職業のイメージがありました。しかし近年、高度なネットワーク知識が求められるようになり、電力業や警備関係、放送関係など幅広い業界で必要になっています。
また、それ以外の情報通信の技術職に従事する方にもメリットはあります。資格があると、最新のIPネットワークや情報セキュリティの知識を習得でき、それが技術の証明にもなるからです。最前線の現場を任されるきっかけにもなり、ステップアップにつながります。なお、工事担任者の資格をとることで、情報通信エンジニア資格が取得できます。
工事担任者DD種の難易度はどのくらい高いのでしょうか？ 一番取得しやすいのが第３種で、3種→２種→１種の順に難易度が上がります。第３種はエントリーレベルです。合格率は30～40％台となっていますが、理数系の学生であれば比較的取り組みやすく、勉強すれば確実に合格できる内容です。DD１種は20％台後半ですが、AI・DD総合種の難易度はかなり高く、合格率は20％前半になります。ただし、DD分野に関してはDD1種と同じ水準です。AI・DD総合種は、AI1種とDD1種の両方の知識が必要なため、覚えることが膨大です。そのため取得のための勉強も、それだけ大変になります。
DD1種と2種では難易度的には1種の方が難しいですが、２種の受験者数は他の種に比べて少なくなっています。１種と２種は出題範囲があまり変わらないため、2種をスキップして３種→１種を受験する人が多いようです。また２種は2021年4月で試験廃止となるため、今から受験を検討する人は１種を目標に勉強することをおすすめします。
工事担任者DD種の試験は、例年、過去問と類似の問題が多く出題されています。試験範囲が広いので、まんべんなく勉強するよりも、問題集などで過去問を中心に勉強することをおすすめします。なお、過去問は、「一般社団法人日本データ通信協会」のホームページにも掲載されています。問題はすべてマークシート形式です。
「電気通信技術の基礎」についての問題は、電気回路や論理回路、伝送理論の基礎に関する計算問題が半分以上出題されています。これらは、公式を暗記するだけではなく、実際に問題を解いておくことをおすすめします。なんども解いて訓練することが合格への近道になるでしょう。
工事担任者DD種は科目ごとに100点満点で60点以上が合格となります。合格した科目については、３年間は試験免除となります。出題範囲が広いので、ある科目に集中して勉強し、数回分けて受験するのもいいでしょう。
工事担任者DD種はデジタル回線の電気通信接続をあつかう資格で、高度なネットワーク知識を習得できます。電力業や警備関係、放送関係など幅広い業界で必要になっており就職や昇進に有利です。IPネットワークや情報セキュリティの知識を習得できるので、情報通信技術に関わる方の自己啓発に向いており、技術の証明にもなります。
出題範囲が広く大変なイメージがありますが、科目ごとでも取得できるので、無理なく段階的に学ぶことができるでしょう。