第三種電気主任技術者は電気設備の管理に必須な資格
私たちの生活は電気によって支えられています。そのため、ビルや工場、病院、商業施設など、さまざまな場所に電気設備があります。電気設備を管理するのが電気主任技術者です。電気設備は定期的に点検やメンテナンスを行う必要がありますが、資格をもった人が管理監督を行わなければいけません。電気主任技術者は国から電気設備の管理をしてよいと認められたことを証明する国家資格です。今回は、第三種電気主任技術者について、資格取得のメリットや試験内容について解説していきます。
事業用電気設備は、高電圧の電線が通っていることもあり、感電などの危険があります。そのため、電気事業法という法律で、事業用電気設備の管理のために資格をもった電気主任技術者の設置が義務づけられています。第三種電気主任技術者は電圧5万ボルト未満の電気設備の保安監督をすることができます。
5万ボルト未満の電気設備は、ビルや商業施設、病院、工場などに設置されています。そのため資格をもっていればビルの管理会社や電気工事会社、電力会社などで働くことができます。
電気系の仕事をしている人には人気の資格で、かつ企業からの需要も高い資格です。
ほとんどすべての事業所には電気設備があり、その管理は有資格者しかできません。そのため第三種電気主任技術者はとても需要があり、就職や転職で有利になります。資格の保有者が少ないため、資格取得すれば未経験でも就職できるケースも多くあります。
比較的取得しやすい電気工事士の資格を先に取得して、その後に第三種電気主任技術者を取得する人もいるようです。電気工事士は、電気工事をするのに必要な資格ですが、電気主任技術者は、工事やメンテナンスを管理する仕事になります。資格手当を支給してくれる会社もあり、ステップアップを目指して取得にチャレンジする人も多くいます。
第三種電気主任技術者に受験資格はありません。そのため、だれでも受けることができます。
試験は4科目(理論、電力、機械、法規)あり、マークシート方式です。
科目別合格制度となっており、4科目すべてに合格しなければ第三種電気主任技術者の資格は取れません。不合格の科目があった場合には翌年、翌々年まではすでに合格した科目の受験は免除されますので、3年以内に4科目合格を目指すといいでしょう。
また、試験を受けずに認定取得を目指す方法もあります。認定取得とは、学歴と実務経験によって申請して資格を取得する方法です。学歴は経済産業省が定めた学校の卒業証明書と、単位取得証明書が必要です。実務経験は1~3年で、最終学歴によって異なります。
第三種電気主任技術者の試験で出題される内容は広範囲にわたります。理系の知識があれば、理論、電力、機械の分野は比較的頭に入ってきやすいでしょう。しかし安全面の知識や法律の問題も出題されますので、しっかりと対策を行いましょう。試験実施団体である「一般財団法人 電気技術者試験センター」のウェブページで過去問を閲覧できるので受験を検討する場合には一度確認しておきましょう。
試験には次のような問題が出題されます。
以下の記述の間違っている部分はどこでしょうか?
「磁力線の密度は、その点の磁束密度を表す」
磁束密度は単位面積当たりの磁力線の「数」を表すもので、磁力線の「密度」を表すものではありません。高校物理の電磁気学で出てきた内容ですが、ややこしい部分もあるので試験対策はしっかり行いましょう。
第三種電気主任技術者の試験勉強は、参考書を使って自力でやる方法がおすすめです。試験範囲は広いですが、公式を使う計算などが多く基礎的な内容をしっかりと理解しておけば十分に対応できます。
自力での勉強が不安な人は、通信教育や資格勉強スクールを利用するといいでしょう。
電気主任技術者には、今回紹介している第三種の上に第二種と第一種があります。
第二種電気主任技術者は、電圧17万ボルト未満の電気設備の保安監督ができます。第二種の試験は、理論科目の難易度が第三種に比べて高く、計算問題にも微分方程式が含まれるなど、全体的なレベルが上がります。受験に必要な資格はありませんが、高校の理系クラスや工業高校卒業レベルの内容が増えます。
第一種電気主任技術者は、保安監督する電気設備の電圧制限がないため、大型の工場や発電所などで働くことができます。しかし試験難易度は高く、かなりの勉強が必要になります。
それぞれの種の比較は「電気主任技術者は電気設備の保安監督者!どのような資格か解説!」で解説しています。
電気主任技術者の受験申し込みは、郵便とインターネットからできます。
インターネット申し込みは「一般財団法人 電気技術者試験センター」のウェブページから申し込みできます。
第三種電気主任技術者は需要のある資格で、転職や就職に有利となります。受験資格はなく、だれでも受けることができるので、電気系の仕事をしている人はチャレンジしやすいでしょう。電気主任技術者は、私たちの生活にとってなくてはならない電気を安全に使うために保安監督する仕事で、非常にやりがいがある仕事です。資格を取得し、やりがいある仕事に挑戦してみませんか?