2020.10.05

ガス溶接の国家資格。ガス溶接作業主任者になるには?

記事メイン画像
はじめに

「ガス溶接作業主任者」とは、ガス溶接の作業方法を決め、作業員に指示を出す責任者となるために必要なものです。
ガス溶接作業主任者は自動車工場、建設現場、鉄工所など、様々な工場や作業現場で必要とされている資格です。

ガス溶接作業主任者ってこんな資格

「ガス溶接作業主任者」とは、ガス溶接の作業方法の決定や指揮をする責任者となるために必要な国家資格です。「ガス溶接技能者」は実際に溶接を行う人が取る資格ですが、「ガス溶接作業主任者」は作業者がいる現場を指揮する立場の人が取る資格です。
工場や作業現場でアセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使用して溶接を行う場合、実際に作業をする溶接者だけでなく、現場の責任者である「ガス溶接作業主任者」を用意しなければいけません。そのため、工場や作業現場でのニーズが高い資格です。
この資格を取るためには、ガス溶接技能講習を修了してから3年以上の実務経験が必要とされています。しかし他の条件で取得することもできますので、取得前によく調べるようにしましょう。

ガス溶接作業主任者を取る人はこんな人たち

ガス溶接作業主任者の資格を取るには、まず試験に合格し、その後に免許を交付してもらわなければいけません。試験を受けるだけならば、事前に必要な条件はありません。誰でも受検できます。
ただし、ガス溶接作業主任者の免許を交付してもらうためには条件があるので注意してくださいね。
この条件はいくつかあるのですが、代表的なものが「ガス溶接技能講習を修了した者で、その後ガス溶接等の業務に3年以上従事した経験を有する者」です。他にも大学や専門学校で溶接課程を修了しているなどの条件で免許を交付してもらえます
「ガス溶接作業者」「アーク溶接作業者」の資格を取って溶接工として働き始めた人が、ステップアップとして取る資格という位置づけです。

ガス溶接作業主任者があることでできる業務って?
記事画像

ガス溶接作業主任者の資格を持っていれば、ガス溶接の作業方法の決定や指揮をする責任者になることができます。
工場や作業現場でアセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使用して溶接を行う場合、責任者として「ガス溶接作業主任者」がいなければいけません。つまりガス溶接作業主任者がいなければ、その溶接作業ができないということです。そのためさまざまな工場や作業現場で必要とされる、メリットの多い資格です。
実務経験を積んでいたり、専門の勉強をしていないと取れない資格でもあるので、この資格を持っていれば就職や転職において有利になります。

ガス溶接作業主任者の試験にはどんな問題が出る?
記事画像

ガス溶接作業主任者の試験は学科試験のみです。実技試験はありません。
試験科目はこの4つです。

  • ガス溶接等の業務に関する知識
  • 関係法令
  • アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識
  • アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識

試験時間は3時間で20問が出題されます。問題は5個の選択肢の中から回答を選ぶ形式です。
過去にはこのような問題が出題されています。

    問 ガス溶接作業主任者免許に関し、法令上、誤っているものは次のうちどれか。
  • (1) 満18歳に満たない者は、免許を受けることができない。
  • (2) 免許に係る業務に現に就いている者は、免許証を損傷したときは、免許証の書替えを受けなければならない。
  • (3) 免許証を受けた者が免許証を他人に貸与したときは、免許の取消し又は効力の一時停止の処分を受けることがある。
  • (4) 免許の取消しの処分を受けた者は、遅滞なく、免許の取消しをした都道府県労働局長に免許証を返還しなければならない。
  • (5) 免許証の再交付を受けるときの免許証再交付申請書の提出先は、免許証の交付を受けた都道府県労働局長又は免許証の交付を受けた者の住所を管轄する都道府県労働局長である。

※正解は(2)
※問題または回答の著作権は公益財団法人 安全衛生技術試験協会に帰属します。

ガス溶接作業主任者の試験はどうやって勉強すればいい?

試験に合格するためには市販のテキスト、過去問題集などで勉強します。
テキストや過去問題集は書店の他、インターネットでも購入できます。「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」のウェブサイトでも過去の試験問題が公表されています。一度問題をチェックしてみてくださいね。
また、資格取得のための準備講座を実施しているところもあります。
試験の合格条件は、科目ごとの得点が40%以上で、かつ総得点が60%以上。合格率は80%程度です。
実技試験はありませんので、テキストと過去問題でしっかり勉強して試験本番に備えましょう。

ガス溶接作業主任者の試験はどうやって受検する?

ガス溶接作業主任者の試験を受検するには、まず受験申請書が必要です。申請書は「安全衛生技術試験協会」(本部)や各地域の「安全衛生技術センター」で無料配布されています。また、申請書は郵送で請求することもできます。
受検申請書を提出(窓口に直接、もしくは郵送)して、受検票を受け取れば準備はOK。あとは試験にのぞむだけです。
受検するためには試験手数料6,800円が必要です。

試験に合格した後、免許を交付してもらうには条件があります。
いくつかある条件のうち代表的なものが、「ガス溶接技能講習を修了した者で、その後ガス溶接等の業務に3年以上従事した経験を有する者」です。他の条件に該当する方もいると思います。「自分はどれかに当てはまるのか?」は挑戦の前に一度調べてみると安心です。
また免許を申請するには、申請料として収入印紙1,500円分が必要です。

ガス溶接作業主任者の他の級

ガス溶接作業主任者に「級」はありませんが、溶接にはたくさんの資格があります。ガス溶接作業主任者の資格を取った後、さらに他の資格を取りながら専門性を高めていくのもいいでしょう。
詳しくは「ガス溶接の資格ってあるの? 実は工場から建設現場まで活躍できる資格なんです。」にまとめてあります。

まとめ

溶接の上級資格であるガス溶接作業主任者を持っていれば、活躍の場が広がります。溶接の仕事で腕を磨き、キャリアアップを考えている方には、ぜひ目指してもらいたい資格の一つです。