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保守・点検の仕事内容とは?給料相場や役立つ資格も紹介

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製造業における保守・点検は直接生産に関わることがないため、工場勤務の中でも地味な印象をもたれやすいかもしれません。しかし、工場を正常に稼働させるためには欠かせない仕事であり、やりがいも十分にあります。本記事では製造業における保守・点検の仕事についてご紹介します。給料相場や具体的な仕事内容、役立つ資格や向いている人の特徴をまとめました。

保守・点検の仕事とは何か
製造業における保守・点検とは、工場や施設などの機械を正常に稼働させるための仕事です。各種機械の監視や点検を行うほか、機械が稼働していないタイミングで定期的なメンテナンスも行います。また、機械に故障や不具合が発生した際に修理するのも仕事内容のひとつです。機械のトラブルを最小限に防いで製品の品質を担保し、工場の生産性を保つ重要な役割を担っているといえます。

給料相場
保守・点検の仕事の給料相場をご紹介します。ここでは、求人サイト「はたらくヨロコビ」を参考にした月収例と、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を参考にした年収例をまとめました。

はたらくヨロコビに掲載されている求人の月収例


「はたらくヨロコビ」に掲載されている求人のうち、「エンジニア・保守・点検」が含まれている求人の月収例は160,000円~340,000円となっています。以下に、具体的な業務内容と月収例をピックアップしました。

高所作業車の受入検査業務・清掃業務
○月収例:160,000~180,000円
電池検査装置のオペレーター
○月収例:190,000~210,000円
半導体製造設備のメンテナンス・保守業務
○月収例:220,000~240,000円
建設機械のメンテナンス業務
○月収例:230,000~250,000円
電気設備の点検や修理業務
○月収例:310,000~330,000円
安全管理に関する書類作成や防災対応業務
○月収例: 320,000~340,000円

アウトソーシングが運営する「はたらくヨロコビ」では、保守・点検の求人情報を豊富に掲載中。未経験でも挑戦できる求人から、これまで培ってきた経験を活かせる求人まで幅広く取り扱っています。保守・点検のお仕事に興味のある方は、この機会にはたらくヨロコビをご活用ください。

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年収の相場


厚生労働省のデータによると、保守・点検を含んだ業務に従事する「機械技術者」の給与相場は、以下のとおりとなっています。なお、下記の数値は令和4年時点の調査結果です。
機械技術者 企業規模
10~99人
企業規模
100~999人
企業規模
1,000人以上
決まって支給する
現金給与額
356,400円 362,200円 427,200円
所定内給与額 326,900円 322,200円 366,200円
参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

上記の現金給与額をもとに年収を算出すると、機械技術者の年収は427~512万円ほどとなります。従業員数が多く規模の大きい企業ほど、給与相場が高くなる傾向にあります。


具体的な仕事内容
保守・点検の具体的な仕事内容としては、「予防保全」「予知保全」「事後保全」があげられます。それぞれの作業内容としては、以下のとおりです。

予防保全
機械やシステムに対して日常的に行う点検や修理が「予防保全」です。定められた保全計画に沿って定期的にメンテナンスをしたり、設備の劣化状況や部品の耐用年数に応じて補修・交換を行ったりするのが主な作業内容となります。以前は、故障の有無に関係なく定められた期間が経過したら部品を交換する「TBM(Time Based Maintenance)」という手法が一般的でした。
ですが、それでは余計な交換コストや作業の負担が発生してしまうため、最近では定期的な点検で劣化状況を監視し、必要なときのみ交換・修理を行う「CBM(Condition Based Maintenance)」を採用する企業も増えてきました。

予防保全の手法を簡潔にまとめると、以下のようになります。
手法の種類 概要
TBM Time Based Maintenanceの略で、スケジュールを基準に一定期間が経過したタイミングで修理や交換を行うのこと
CBM Condition Based Maintenanceの略で、定期的に点検を行い、故障や劣化が見られたときに修理や交換を行うこと
RBM Risk Based Maintenanceの略で、故障の有無ではなく、故障したときの被害の大きさや将来的に予測される故障の可能性といった「故障リスク」を評価して修理や交換の可否を判断すること
RCM Reliability Centered Maintenanceの略語で、故障に関するデータを収集したうえで、故障の傾向や不具合が発生しやすい箇所などを特定し、最適な保全手法を決定すること

予知保全
IoT・AIなどのデジタル技術を用いて機械の稼働状況を監視し、故障や不具合の前兆を察知してトラブルを防止するのが「予知保全」です。「予兆保全」ともよばれます。あらかじめ定められた保全計画に沿って進められる予防保全とは異なり、故障の前兆が確認された時点でメンテナンスや交換を行います。不要なメンテナンスコストを削減できるほか、メンテナンスのために頻繁に生産ラインを止めずに済むのがメリットです。

車のタイヤ交換を例にあげると、「使用から5年経ったら」といった基準を設けて交換を行うのが予防保全、「タイヤがすり減って残り溝が4mm以下になったら」といったトラブルの兆候が見られたタイミングで交換を行うのが予知保全だと捉えるといいでしょう。

事後保全
事後保全とは、機械の不具合や故障が発覚した際に修理することです。機械の稼働が停止すると予定生産数や人員の動きに悪影響が及ぶため、速やかな対処が求められます。また、ただ機械を修理するだけではなく、故障の原因を追究したうえで、再発防止の対策を講じるのも事後保全における重要な作業です。


保守・点検の仕事に役立つ資格や向いている人の特徴
保守・点検の仕事で活かせる資格の例として、「機械保全技能士」「第一種・第二種電気工事士」「消防設備士」があげられます。それぞれどのような資格なのか、保守・点検の仕事でどのように活かせるのかを、以下でご紹介します。
あわせて、保守・点検の仕事に向いている方の特徴もまとめました。

機械保全技能士
機械保全技能士とは、機械の修理やメンテナンスのスキルを証明するための国家資格です。レベルは下位から3級・2級・1級・特級に分かれており、いずれのレベルでも学科試験と実技試験の両方をパスしなくてはなりません。
また、2級・1級・特級の試験に挑戦するためには、所定の実務経験を積む、または所定の資格検定を取得するといった条件を満たす必要があります。よって、実務経験のない方が最初に目指すべきは3級の取得だといえるでしょう。なお、2022年度時点における機械保全技能士の合格率は、以下のとおりです。

◯3級:76.5%
◯2級:32.5%
◯1級:27.5%
◯特級:21.4%

参考:機械保全技能検定 2022年度 機械保全職技能検定 試験集計情報

等級が上がれば上がるほど、合格率が低くなっていることがわかります。しかし、上位の等級資格を保有していれば、大きな仕事を任されやすくなるのも事実です。例えば、機械保全技能士1級を保有していれば、製造部門のリーダーに抜擢される可能性が高まります。特級を取得できれば、現場のマネージャーや責任者などのポジションも狙えるでしょう。

保守・点検の分野でキャリアアップを狙っているのであれば、実務経験を地道に積み、1級~特級の資格取得を狙うのも手です。

第一種・第二種電気工事士
電気設備の工事をする際に必要となる国家資格です。電気系統の工事に関する知識や技能を証明できる資格であり、取得することで電気設備の設置や管理、工事などに携われます。製造業の保守・点検においても、扱える設備・機械や作業できる範囲が広がるため、より活躍のチャンスが期待できるでしょう。
資格を取るためには、試験に合格したうえで免状を申請する必要があります。また、第一種・第二種ともに、筆記試験と技能試験の両方に合格しなくてはなりません。なお、第二種よりも第一種のほうが難易度は高く、対応できる建物規模や工事の範囲も広くなります。

消防設備士
消防設備士とは、施設に設置されている消防設備の点検や整備、交換を行う国家資格のことです。
甲種・乙種の2種類に大別されており、そこから更に甲種は第1類~第5類および特類、乙種は第1類~第7類と、細かなカテゴリー分類がされています。これらの種類によって、担当できる作業内容が異なるのがポイントです。

例えば、乙種資格では消防設備の点検と整備を担当できます。一方、甲種資格では消防設備の点検と整備にくわえ、設備の設置や交換作業にも従事可能です。なお、甲種・乙種それぞれのカテゴリーでは扱える設備にも差異があります。
例えば、甲種1類では屋内消火栓設備やスプリンクラー、2類では泡消火設備などが対象となります。なかでも、甲種・乙種の4類は幅広い消防設備を扱える資格であるため、工場やホテルなどさまざまな現場での活躍が期待できます。消防設備士としての知識・スキルは、消化器やスプリンクラー、自動火災報知機などの設備を適切に設置し、稼働させるためになくてはならないものです。特に、消防設備の多い工場では重宝されやすいでしょう。

保守・点検の仕事に向いている方
保守・点検の仕事で大切なのは、注意力や観察力です。故障の前兆や小さな違和感を見逃さない注意力をもっていれば、トラブルを未然に防止できます。「違和感に気づきやすい」「細かいところにも気がつく」という方は、保守・点検の仕事に向いているといえるでしょう。
また、図面を正確に読み取る力も役立ちます。機械の配管図や展開図、配線図などの図面を理解できると、部品同士の関係性もスムーズに読み取れます。その結果、故障や不具合の原因を迅速に特定できるのです。

更に、保守・点検の仕事では、作業をスピーディーに進めるため設計図を編集する機会があるため、設計の知識、特に電子系やシーケンス制御(定められた順序に従って制御を逐次解除していく制御方法)の知識がある方にも向いています。

とはいえ、保守・点検の仕事は、未経験から挑戦できる求人も少なくありません。仕事を通して必要な知識や資質を身につけたり、働きながら関連する資格の取得を目指したりすることも可能です。「自分には向かない仕事かもしれない」と尻込みするよりも、未経験者を積極的に受け入れている保守・点検の求人を探してみてはいかがでしょうか。

保守・点検の仕事のやりがい
保守・点検の仕事では、「工場を裏から支えている」といったやりがいを得られます。各種機械をスムーズかつ安全に稼働させるためには、丁寧な保守・点検が欠かせません。保守・点検が行き届いていないと、機械の故障や不具合につながり工場の稼働そのものが危ぶまれることもあるのです。「自身の知識やスキルが工場を支えている」という自負がやりがいにつながるでしょう。

また、突発的に機械が故障したり、不具合によって生産ラインの一時停止を余儀なくされたりしたときに、保守・点検の担当者は非常に頼りにされます。トラブルを無事に解決できたときは、「自分のスキルが役に立った」という達成感が得られるでしょう。故障や不具合によって困っていた従業員から感謝されることも多く、モチベーションにもつながります。

まとめ
保守・点検は、工場の稼働を裏方から支える重要な仕事です。電気系統や設計、消防設備に関する知識があると心強いですが、未経験者を募っている求人も少なくありません。
ものづくりの裏方を支える仕事に就きたいとお考えの方は、保守・点検の仕事に挑戦されてはいかがでしょうか。

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はたらくヨロコビとは?


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