バリ取り・研磨に向いている人ってどんな人?|バリ取り工・研磨工になるには
機械化・DX化が急速に進む中で、将来的に機械に取って代わられる可能性が少ない職業といわれているバリ取りと研磨。
では、バリ取り・研磨の具体的な仕事内容は、どのようなものなのでしょうか。また、バリ取り・研磨に向いているのはどんな人なので、年収はどれくらいなのでしょうか。このページで詳しく解説します。
【目次】
■バリ取りとは?
・削除法
・破壊法
・溶融(燃焼)法
■研磨とは?
・砥石研磨
・研磨布紙加工
・ラッピング研磨
・バフ研磨
・バレル研磨
・電解研磨
■どんな人がバリ取り・研磨の仕事に向いているの?
・手先が細かい人
・ものづくりが好きな人
・ルーティンワークでも集中力を保つことができる人
・几帳面で細かいことによく気が付く人
■バリ取りや研磨は女性も活躍できる仕事です
■バリ取り・研磨に役立つ資格はあるの?
・研削といし取替試運転作業者
・切削工具研削技能士
■バリ取り・研磨の仕事の将来性
■はたらくヨロコビが取り扱うバリ取り・研磨の仕事
■給料相場
■主な仕事内容
日本の産業製品に関する国家規格を定めるJIS(日本産業規格)では、バリは「かどのエッジにおける、幾何学的な形状の外側の残留物で、機械加工又は成形工程における部品上の残留物」と定義されています。
くだけたいい方をすれば、バリとは金属やプラスチック、ゴムでできた製品や部品を加工するさいに、製品・部品のふちにできる細かな棘や、ギザギザ状の出っ張りのことです。そして、このバリをとる作業がバリ取りです。
バリが残ったままの製品や部品は見栄えが悪いだけではありません。製品に触れたお客さんがケガをしたり、部品を組み立てるさいに邪魔になったり、製品の寸法を正しく測ることができなくなったり、電気部品の場合にはショートを引き起こすリスクがあったりと、さまざまなトラブルの原因になります。
品質の高い製品を出荷し、お客さんの安全と企業のイメージを守る上で、バリ取りはなくてはならない仕事の一つです。
バリ取りの方法は、加工の仕組みごとに以下の三つに分類されます。それぞれの方法には向き不向きがあり、バリ取りをする製品・部品の材質やバリの種類によって使い分けます。
削除法ではバリを直接削り取ります。使用する機械やツールの違いに応じてさまざまな手法がありますが、削除法として最も一般的なのは、バリを製品・部員の角部(エッジ)ごと削り取る「面取り」です。面取りには、
〇角部を斜め45°に削り取る「C面取り」
〇角部を丸滑らかに削り、人の手が触れる個所の仕上げなどで使われる「R面取り」
〇0.2〜0.3㎜程度の小さな面積を削り、ケガを防止するために使われる「糸面取り」
があります。
破壊法では、研磨メディアや流体などを使用し、バリに衝撃を与えて根本から取り除く手法です。研磨剤と製品・部品を一緒に入れた専用の容器を振動・回転させる「バレル研磨」や、ウォータージェットをバリにぶつける「ウォータージェット加工法」が代表的な破壊法です。
溶融(燃焼)法では、燃焼ガスやケミカル処理剤を使用してバリを取り除きます。バリを瞬間的に加熱して焼き切る「熱的加工法」や、特殊な化学薬品を使ってバリを溶かす「科学加工法」、電気分解によってバリを処理する「電気化学的加工」などがあります。
研磨とは、製品や部品の表面を磨いて滑らかにするための加工法です。スマートフォンや自動車、スプーン、アクセサリーなど私たちにとって馴染み深い製品のなかで、滑らかな表面のものは研磨加工が行われています。
また、研磨は、製品や部品の表面の粗さや丸さ(真円度)を調節したり、バリ取りやキズ取りの目的でも行われたりしています。
バリ取りと同様、研磨も加工方法ごとにいくつかの種類に分類されます。以下で紹介するのは、そのうちで代表的な6種類となります。
砥石研磨では、回転する砥石を製品や部品に押し当てて表面を削ります。サンダーやグラインダーといった機械を使用し、加工する素材に合わせて金属用、樹脂用、ガラス用、木材用などの砥石を使い分けます。
研磨布紙加工では、砥粒を表面に配列した布および紙で製品や部品の表面を削ります。製造現場では、研磨ベルトや研磨布紙ディスクといった特殊なツールを使用しますが、仕組みとしては、大きな紙やすりで製品や部品を磨いているのとほぼ同じ原理です。
研磨布紙加工は、塗膜面の仕上げやバリ取り、キズ取りなど、幅広い目的で行われます。
ラッピング研磨では、ラップ盤とよばれる回転する特殊な台の上に乗せた製品や部品を研磨材で磨きます。鏡面のような美しい表面に仕上げることができる方法です。
ラッピング研磨は、液体研磨剤を使用するかどうかによって、湿式法と乾式法に分けられます。
バフ研磨では、柔らかい素材でできたパフに研磨剤を付け、製品や部品を磨いていきます。ラッピング研磨よりも目が細かい砥粒を使うため、製品の表面につやを出すさいの仕上げなどで多く用いられる方法です。
バレル研磨では、研磨剤と製品・部品を一緒に入れた専用の容器を振動・回転させる方法です。
研磨機の種類ごとに異なる特徴があり、加工時間が短い「遠心バレル」、きめ細かい表面に仕上げることができる「回転バレル」、一度に大量の製品・部品を磨くことができるため、大量生産に適した「振動バレル」があります。
電解研磨では、電流を流した電解研磨液に製品や部品を浸し、電解作用によって表面の凹凸を滑らかにする方法です。電解研磨が使える素材は限られているものの、ほかの方法では磨くことができない部分も磨くことができます。
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バリ取り・研磨に向いている人とは、どんな人なのでしょうか。いくつかの特徴を紹介します。
特殊な器具を使って小さな部品に加工することが多いバリ取りと研磨では、手先の器用さが求められます。手先を器用に動かすことが苦手な人がバリ取りをすると、バリが上手く取れないだけではなく、思わぬケガや事故につながる可能性もあります。
バリ取りと研磨では、自分の仕事の結果が、製品や部品のすべすべとした表面という形で現れます。自分の技術が向上すればするほど、製品や部品はより綺麗に仕上がるようになるため、ものづくりが好きな人であるほどやりがいを感じやすく、仕事へのモチベーションを保ちやすいはずです。
バリ取りと研磨はルーティン業務の一種であり、製品や部品を一定の手順に従って加工し、でき上がった製品・部品が規格通りかどうか確認し、問題が無ければ次の製品・部品を加工し……という作業を繰り返し行います。
同じの作業の繰り返しであっても根気強く集中力を保つことができる人は、バリ取りと研磨に向いています。反対に、ルーティンワークが苦手で、同じ作業が続くと集中力が途切れてしまうという人は、バリ取りと研磨には向いていないかもしれません。
バリ取りと研磨では、製品や部品の表面の小さな違いや変化を見つける必要があります。そのため、几帳面で細かいことによく気が付く人はバリ取りと研磨に向いているでしょう。反対に、細かいことに気づくのが苦手な人は、バリ取りと研磨で向上心を持って仕事をするのが難しい場合があります。
小さなバリであっても、見逃すと製品の不具合の原因や、最悪の場合にはお客さんのケガや電気事故の原因になります。「小さいバリだから、きっと大丈夫だろう」と判断するようでは、バリ取り・研磨としては失格です。
「小さな絶対でも絶対に見逃さない!」という気持ちで、責任感をもって仕事をすることがバリ取り・研磨では求められます。
製造業というと力仕事が多く体力勝負……、というイメージがありますが、バリ取りや研磨は、手元で製品や部品を加工する仕事です。そのため、女性をはじめ、体力に自信がない人でも安心して働くことができます。
特に、プラスチック製品の小さなバリ取りは、未経験でも始めやすく、実際に多くの女性スタッフが活躍しています。
バリ取り・研磨の求人の多くは、未経験者歓迎としています。しかし、研磨・バリ取りとして高度な技術取得を目指すなら、「研削といし取替試運転作業者」と「切削工具研削技能士」は是非取得したい資格です。
この二つの資格を取得すると、就職で有利になることはもちろん、待遇が良くなったり、より多くの求人に応募できるようになったり、といったメリットがあります。
研削といし取替試運転作業者の資格を取得すると、研削砥石の取り替えや、取り替え時の試運転業務ができるようになります。
この資格は、各都道府県の労働局長登録教習機関や職業訓練センターなどが行っている計6時間の講習を受けると取得できます。
試験がなく、「満18歳以上の研削といし取替等業務従事予定者」であること以外に講習の受講条件もないため、研磨・バリ取りの人材を目指すなら取得するのがおすすめです。
切削工具研削技能士は、ボーリングカッターや丸ノコといった切削工具を使いこなせる技術と知識を評価するための資格です。「工作機械用切削工具研削法」と「超硬刃物研磨法」の二つの部門があり、それぞれ1級と2級に分かれています。
切削工具研削技能士の資格を取得するためには、実技試験と学科試験の両方に合格する必要があります。注意点として、切削工具研削技能士資格は誰でも受験できるわけではありません。1級と2級でそれぞれ受験資格が定められており、2級の場合2年以上の実務経験が、1級の場合7年以上の実務経験、或いは2級合格後2年以上の実務経験が必要となります。
機械化やデジタル化がこのままのペースで進むと、近い将来多くの仕事がなくなるといわれています。では、バリ取りと研磨はどうでしょうか。
結論からいえば、バリ取りと研磨は将来なくなる可能性が非常に少ない仕事の一つです。
いくつかのロボットメーカーでは、既に自動バリ取りロボットを開発・販売していますが、限定的な用途でしか使用することができません。例えば、バリ取りする製品・部品の種類がかわるごとにセットアップやプログラムをやり直さなければならないことから、自動バリ取りロボットは少量多種の生産ラインに対応することができません。また、そもそも装置の価格がかなり高価である、といった課題もあります。
形が複雑な製品・部品や小ロットの製品のバリ取り・研磨は、ベテランスタッフの手を借りなければできない状況は今後もしばらくは変わらないでしょう。バリ取り・研磨に関する高い技術を持った職人は、これからも貴重な人材として企業から重宝されるはずです。
バリ取り工と研磨工の給与相場や具体的な仕事内容は、加工する商品の種類によってさまざまです。
ここでは製造業に特化した求人サイト「はたらくヨロコビ」に掲載されているバリ取り工・研磨工の求人を例として取り上げながら、バリ取り工と研磨の給与相場と具体的な仕事内容について見ていきます。
バリ取り工および研磨工の仕事を探している方は、是非参考にしてみてくださいね。
はたらくヨロコビに掲載されているバリ取り工・研磨工の求人の給与相場は、全国平均で
・月収16万~36万
となっています。
地域別にいくつか例をあげると、
神奈川県厚木市の自動車関連部品工場の場合、
〇月収28万~30万(年間休日121日)
兵庫県尼崎市のパイプ工場の場合
〇月収24万~26万(年間休日125日)
大分県豊後高田市の自動車関連部品工場の場合、
〇月収27万~29万(年間休日121日)
となっています。
バリ取り工と研磨工が具体的に何を加工するのかは、その工場で生産する製品や製品次第です。先ほどピックアップした例をもう一度取り上げてみましょう。
それぞれ、
・神奈川県厚木市の自動車関連部品工場の場合、ヘッドライトの製造過程でのバリ取り・研磨
・兵庫県尼崎市のパイプ工場の場合、NC旋盤によって加工した部品や、完成したパイプへのバリ取り・研磨
・大分県豊後高田市の自動車関連部品工場の場合、自動車の車体フレーム部品の製造過程でのバリ取り・研磨
が主な仕事内容となります。
なお、いずれの工場の未経験歓迎となっており、初心者でも安心して働くことができます。また、工場によっては寮や社員食堂を完備しているなど、福利厚生が充実しているのもバリ取り・研磨の求人の特徴です。
製造業に特化した求人サイト「はたらくヨロコビ」では、部品供給の求人を多く取り扱っています。未経験者・初心者・女性歓迎の求人も多く、部品供給にチャレンジしてみたいという方や、子育て期間のブランクがあるという方は、最新の求人情報をリアルタイムで受け取ることができる「はたらくヨロコビ」の公式LINEにぜひ登録してみてください。