IOTとは?業界別の活用事例を紹介
IoTとはモノとインターネットがつながっている状態を指します。IoTが普及することによって、私たちの生活の利便性は高まるでしょう。今回はIoTの定義や活用されている分野、IoTが注目されている理由などを解説します。
【目次】
■IoTとは
・IoTを構成する要素とは?
■IoTを積極的に導入している産業
・製造業
・医療
・物流業
・農業
■製造業でIoTが注目されている理由
■IoTで実現できること
・最適化
・品質管理
・省人化
・異常や故障の予知・検知
■産業用IoTを導入するリスク・注意点
・インターネット環境に依存する
・セキュリティリスクがある
■IoT市場は拡大し続けている
IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」を表す言葉であり、身の回りのあらゆるモノやデバイスがインターネットにつながっている状態を指します。これまではパソコンやスマートフォンなど限定したモノだけがインターネットにつなげられる状態でしたが、IoT化によって家電や産業用機器などもインターネットを介して操作できるようになりました。
IoTに対応したモノは外出先でも遠隔操作やモニタリングができ、モノ同士の通信が可能になります。例えば、エアコンをつけたりお風呂にお湯を溜めたりする操作も、スマホから簡単にできるようになるのです。
このように、あらゆるモノとインターネットを接続することで、利便性がますます高まります。近年では、産業用機器にIoTを導入するケースも増加傾向にあります。
IoTは「デバイス」「センサー」「ネットワーク」「アプリケーション」の4つの要素から成り立っています。
デバイス | 家電や自動車など、操作したい端末のこと。 |
センサー | 光、音、温度などの外部情報を取得する機器。デバイスにセンサーを連携することで、さまざまな情報を検知できます。 |
ネットワーク | モノ同士を遠隔で操作・モニタリングするためには、ネットワークにつながなければなりません。固定回線や4G、5Gなどを使って直接インターネットに接続する方法や、Wi-FiやBlue Tootdなどを利用するデバイスゲートウェイ方法があります。 |
アプリケーション | 収集した情報を分析するためのツール。アプリが分析データを元に指示を出すことによって、デバイスは状況に応じた動作ができるようになります。 |
総務省が発表している「世界のIoTデバイス数の推移及び予測」を見てみると、世界中のIoTデバイスの数は増加傾向にあり、医療・産業・自動車などさまざまな分野において更なる増加が予測されました。2020年より5Gの商用サービスがスタートしたことで、IoT化が急速に進んでいます。
そんな状況だからこそIoTを積極的に導入している産業も数多くあります。ここでは製造業・医療・物流業・農業などの分野の活用例を具体的に紹介します。
製造業はIoT化が進んでいる業界のひとつです。例えば、工場の設備・機器をインターネットにつなぐことで生産の一元管理ができるというメリットがあります。工場の稼働状況をリアルタイムにモニタリング可能になるため、トラブルが発生したときも迅速にアラートを出して対処できる体制を整えることが可能です。工場が何らかの理由で停止すれば、生産計画が乱れてしまい、顧客満足度や他社との競争力にも影響を及ぼしかねません。そのため、トラブルを起こしにくい工場にして、万が一トラブルが起きてもスピーディな対応ができる体制を整えることは、製造業の企業にとって非常に大きなメリットといえます。
また、設備にセンサーを搭載すればあらゆるデータ収集ができるため、工場のシステムを使いやすい形に構築しやすくなります。現状の課題を分析し、改善策を講じることによって、生産効率アップや保管コストの軽減などの効果が期待できるでしょう。
IoTの環境を整えるために必要不可欠なデバイス・センサーなどの製造は、製造業界が担っています。製造業はIoT化を進めるにあたって重要な業界といえるでしょう。
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医療業界では、IoT化によってさまざまなメリットが期待できます。例えば、IoT化によってオンライン診療が実現すると、遠隔地でも診療ができる体制が整うでしょう。地方に住む人は手厚い医療が受けにくく、医療格差が生まれているという現状を打破できる可能性があります。
また、患者にデバイスを装着してデータを自動収集できれば、病気の早期発見が可能です。デバイスで収集した血圧・脈拍・体温などの基本的なデータを電子カルテに自動登録することで事務作業が効率化され、医療従事者の業務負担軽減にもつながるでしょう。
物流業界は常に人材が不足しており、過度な労働を強いられている業界ともいわれています。IoTはそんな物流業界の業務負担の軽減に使える技術です。例えば、配車システム(TMS)を用いて最適なルートを提案し、温度センサーやGPSの活用によって輸送中の温度管理を徹底できます。更にドローンの活用や無人搬送車などのシステムも誕生しており、物流業界はIoT化が急速に進みつつあります。IoTの技術は人材不足の解消、輸送効率のアップ、輸送サービスの向上など、物流業界が抱えているさまざまな課題解消に役立つでしょう。
農業は気候・気温だけでなく、土壌の状態や害虫対策などさまざまな管理を行う必要があり、それらの要素によって育て方を調整するといった細やかな対応が必要です。これまでは、農家が長年の経験に基づいて一つひとつの工程を行わなければなりませんでした。しかしIoTを活用することで農作物を育てるためのデータを数値化でき、さまざまな情報を可視化できるようになります。自動で水やりや温度調整を行える機器もあるため、農作業もより効率化を図れるように。これまで農業はキツイ・つらいなどマイナスのイメージもあり、若年層の担い手が見つかりにくい状況でしたが、IoT化が更に進めばイメージも一新され、老若男女を問わず働きやすい環境に生まれ変わるでしょう。
特に製造業でIoTが注目される理由の1つとして、「Industry 4.0」の影響があります。Industry 4.0とは「第4次産業革命」のこと。2011年にドイツ政府が発表した、インターネットを用いて産業革命を起こす製造業の取り組みです。Industry 4.0のコンセプトは「工場のスマート化」。人・機械・企業資源を複合的につなげることで製造プロセスを円滑にし、バリューチェーンの変革による新たなビジネスモデルを構築することが目的となっています。
このような考え方はアメリカや中国など世界中に広がっており、日本でも経済産業省が「Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)」という概念を提唱し、実現するために官民一体で取り組むと報告しました。Connected Industriesとは、「データを介して機械、技術、人などさまざまなものがつながり、新たな付加価値の創出と社会課題の解決を目指す産業のあり方」のこと。人口減少が進む中、官民一体で行うIoT・AI・ビッグデータなどの活用は、社会課題の解決と日本経済の成長には欠かせない要素といえるでしょう。
新型コロナウイルスの感染症が拡大した状況下で、工場の稼働がストップし廃業に陥ったケースも少なくありません。先行きが見えない社会情勢の中で日本の製造業を成長させるためには、IoT・AIなどの活用が重要です。今後も製造業においてIoT化はますます進むでしょう。
IoTを導入すれば、作業効率アップなどさまざまな効果が期待できます。ここからは、IoTを使ってどのような状況が実現できるのか、具体的に解説します。
- 最適化
- 品質管理
- 省人化
- 異常や故障の予知・検知
IoTを導入する最大のメリットは、作業効率の向上でしょう。IoTを使ってデータを蓄積・分析することで、より効率的な作業フローが整えられます。また人の手で行っていた業務を自動化することでミスが少なくなるといったメリットもあり、生産性向上にもつながるでしょう。
IoTの導入で実現できるメリットの1つに、生産プロセスの最適化があります。工場内では無数の機械や設備が複雑なプロセスを経て稼働しており、どの工程において遅れが生じているのか、どの作業がボトルネックとなっているかを正確に把握することは簡単ではありません。
IoT化が進めば、各設備にセンサーが導入でき、生産ラインや設備の稼働状況をリアルタイムでモニタリングできます。また、データを解析することで、最適な製造スケジュールや生産量を算出可能です。IoTを使うことで生産プロセスを無駄なく進行でき、プロセスの最適化する手段も得られるため、リードタイムの短縮やコスト削減が実現できます。
製造業において品質管理はとても重要です。製品の品質が低下したり、不具合が発生したりすれば、顧客からの信頼を失うだけでなく、リコールによるコストの増大にもつながりかねません。
IoTは品質管理の向上に大きく貢献します。例えば、製品の生産工程を可視化することで、不良品をいち早く発見できます。生産工程の見直しが品質改善につながることもあるでしょう。データを解析によって製品の異常を早期に検出できれば、品質低下を高い確率で防げるだけでなく、よりよい製品にするための品質改善につなげることも可能です。
工場内では、多くの作業が人手によって行われています。大規模な工場を構えるような製造業であれば、多くの人材を確保しなければなりません。しかし人材を募集しても、なかなか思うように希望者が見つからないケースも多々あるでしょう。IoTの導入によって作業を自動化し、遠隔操作が可能になれば、業務の省人化につながります。これまで人が行っていた業務を自動化することで、ヒューマンエラーが少なくなるといったメリットも。業務の省人化によって人件費削減を図ることができるでしょう。
製造業の場合、システムに異常をきたすと製造ラインがストップしてしまい、納期に間に合わないケースも出てくるでしょう。従来、機械の故障は発生した後に対応が行われるのが一般的でした。しかし、IoTを導入すると、リアルタイムで収集した機械の稼働データを解析することで異常な挙動やパフォーマンスの低下を検知できるようになり、少しでも異変があればアラートを鳴らしてメンテナンスを促すことが可能です。人の目では気づかないような僅かな変化もデータで収集できるからこそ、トラブルを未然に防いでくれるでしょう。IoTによって故障トラブルのリスクが最小限に抑えられ、重大な損失を防ぎやすくなります。
IoTを進めることによって大きなメリットをもたらす反面、リスクにも備えなければなりません。ここではリスク・注意点について解説するので、しっかりと認識しリスクへの備えを講じておきましょう。
- インターネット環境に依存する
- セキュリティリスクがある
産業用IoTは、デバイスや機器がインターネットを介してデータを送受信する仕組みを活用しています。つまり、インターネット環境がなければIoTは使用できません。例えば、スマホなどでネットニュースをチェックする際、ネットがつながりにくい環境だと動作が遅いなどの状態に陥ったことがあるでしょう。産業用IoTも同様で、大規模な通信障害が発生したときは、IoTシステム全体が停止するリスクがあります。
生産ラインの監視や遠隔操作をIoTに頼っている場合、インターネット接続が切断されるとラインの制御ができなくなるため、生産プロセス全体に影響が及ぶ可能性があります。IoT導入に際しては、インターネットの信頼性や安定性を確保することが重要です。
IoTはインターネットを介してデータを送受信する仕組みなので、セキュリティリスクは避けられません。セキュリティ対策が不十分な場合は、不正アクセス・ハッキング・サイバー攻撃などインターネットによって情報漏洩するおそれもあるため、適切にセキュリティ環境を整えておく必要があります。もしセキュリティ対策が十分に講じられていなければ、社外秘の情報や個人情報が漏洩してしまったり、機械設備が誤動作を起こしたりして、会社の不利益につながるリスクがあります。顧客から損害賠償責任を問われるケースもあるため、しっかりとしたセキュリティ対策はIoT導入において必須の要件です。
例えば、セキュリティ会社のサービスを活用する、認証システムを導入する、従業員への教育・指導を徹底するなどが対策としてあげられるでしょう。最も大切なことは、経営陣がIoTのリスクやセキュリティ対策の重要性を認識することです。経営陣がリスクを考慮してコストをかけるという決断をくださなければ、適切な対策は講じられません。経営陣に説明する際にはどのようなリスクがあるのかを具体的に紹介し、対策を一つひとつ考えてもらいましょう。
IoTは生活を快適にするだけでなく、さまざまな業界の業務効率アップ・省人化などに役立つシステムといえるでしょう。ただIoT化にもリスクや注意点はあるため、安定したネットワークの確保やセキュリティ対策は必ず講じなければいけません。また、自社が抱えている課題やシステムを導入する目的が曖昧なままだと、IoTシステムを導入しても思うような費用対効果が得られない可能性もあるので注意しましょう。
製造業界はIoTを積極的に推進している産業であり、IoTを実現するための部品製造にも深くかかわっています。IoT市場を拡大するために、製造業は必要不可欠な存在なのです。このようなIoTに関連する製造業の就職に興味があるという人も多いのではないでしょうか。しかし、経験がないからといって諦めている人もいるかもしれません。
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