製造指図書はどんな指示書?わかりやすく解説
製造業で「製造指示書」という単語を耳にしたことはありますか?
この記事では、製造指示書とはどのようなものか、製造指図と標準原価の関係、製造実績と実際原価の関係について紹介します。
この記事を参考に、製造指図をより深く知り、業務に役立てましょう。
製造指図とは、製造に必要な情報が書いてある手順書のことです。おもに工場で使われ、製品を作るときに「どの製品を、いくつ、どこで、いつ生産するか」などが書かれています。
工場で製品を作るためには、何の計画もない状態では作れません。どの材料を使い、どのくらい時間が必要なのか、コストはいくらかかるのかなど、あらかじめ見通しを立てる必要があります。製造指図は、そのような見通しを持つために必要なのです。
また計画と実績、それぞれのコストを比べれば、コストの差がどのような原因で出ているのかが分かり、コストを下げるための対策も行えます。
製造指図は、おもに素材を作る工場や、電子部品、自動車、医薬品、食品など、とても多くの業種で使われます。製造業では、経理や生産管理の人は製造指図を元に材料の注文をしたり、生産を管理したりしています。
製造業の職種については、こちらで紹介していますので、参考にしてください。
「製造業にはどんな職種があるの?製造の仕事の魅力とは」 製造業にご興味があるかたは、アウトソーシング公式LINE で求人情報を紹介しておりますので、こちらをチェックしてみましょう!
製造指図には以下3つの情報がふくまれています。
入庫予定とはこれから作ろうとしている製品や中間品の数のことです。中間品とは製品を途中まで組み立てたひとまとまりのもので、半製品ともよばれます。自動車を例にとるとエンジンやトランスミッションが中間品になります。
例えば、製品の在庫が10台あったと仮定します。このとき15台の受注が入ると、製造指図には不足している「5台」が入庫予定として登録されて、5台分の製品を作る指示を出します。
出庫予定とは製品を組み立てるために必要な部品や材料を、倉庫からいくつ出すのか計画を立てることです。
作らなければいけない製品の数に応じて、部品や材料をいくつ使うのかを計算して、必要な数が在庫になければ、不足している部品の分だけ手配する指示を出します。
例えば、製品Aを作るために材料Bを2個必要とし、材料Bの在庫が3個あったとします。材料Bを2個出庫予定として登録すると残りは1個になります。ここで、製品Aの受注がもう1台入り、同じように出庫予定として登録すると、材料Bは1個足りなくなります。足りなくなると追加で手配するしくみになっています。
作業手順には、製品を作る時間や製品をいつ作っていつ終わるのかといった生産能力の計画に必要な情報がふくまれています。
あらかじめ、作業の内容や場所、製造機器などを設定しておきます。
作業時間は、実際に製品を作っているときにかかる時間のほか、ある工程のはじまりと終わりの待ち時間、次の工程へ引き渡す時間も設定します。
標準原価とは、製造指図から算出する原価です。標準原価は製品を作るときに、どれくらいのコストを目標にするかを示し、製品を作るのに必要な労働力や、使う材料の量を計算して出します。製造指図に書かれた品目や作業の量から予想できる、加工にかかる費用や材料費などの合計が標準原価になります。
例えば、ある製品Aを1個作るために、材料Bと材料Cを組み立てるとします。材料Bのコスト(価格)は10,000円、材料Cのコストは15,000円、組み立てるために必要な時間として60分5,000円かかると計画します。すると、予想されるコストの合計は30,000円で、これが標準原価になります。
製造指図と標準原価はどちらも、製品を作る前の「予測から計算した数字」です。しかし製造実績は、実際に製品を作ったあとの「実績として出てきた数字」になります。製造実績から、実際に使った材料の個数やコスト、かかった工数がわかりますので、それらを計算して実際原価を出します。
例えば、製造指図では材料Bが10,000円と計画していましたが、実際には原材料が急に値上がりしてしまったため、12,000円で買わなければいけませんでした。また組み立て時間は、60分と予想されていましたが、実際にやってみると90分かかりました。
このような情報を製造実績として記録することで、実績原価が標準原価に対してどれくらい変わったのかがわかります。この原価のズレを「原価差額」とよびます。
「原価差額」が大きいと生産効率や原価効率が悪く、「原価差額」が小さいと生産効率、原価効率がよくなります。
製造指図書原本とは、同じロットで作られたことを保証するための、製造指図の原本です。ロットとは製品を一度に生産する量のことです。ある製品を12時間生産し、1日休んでまた次の生産に入るとしたとき、最初の12時間で作られた製品が同じロットの製品になります。
1ロットで作られる製品の数は、メーカーが作るものによって異なります。例えば小さなボルトなど、1個だけ注文されると送料のほうが高くなってしまうため、メーカー側は逆に損をする場合があります。このような不利を回避するため、メーカーは生産する最小の数をロットとして決めています。
製造指図原本は、製造指図を作るより先に書かなければいけない書類で、ロットの量に合わせて、あらかじめ分けて作られます。作られた原本は文書番号で区別して管理します。実際に製品を作るときには、原本に発行者と承認者がサインし「製造指示書」になります。
製品を作ったあとは、製造記録書に対応するロットの製造と管理に関するすべての実績を記録します。
製造指図と標準原価は製品を作る前の計画を示したもので、製造実績と実際原価は製品を作ったあとの実績を示したものです。
製造指図は生産するために必要な情報がもりこまれており、製造業で働く人にとって、身近な指示書だと言えます。
製造指図について、ときおり意識しながら業務を行ってみてはいかがでしょうか。