製造業の年収はどれくらい?
製造業にはさまざまな種類があり、年収がイメージしづらい業種です。本記事では、製造業の種類や年代別の平均年収や収入アップに必要なことについてご紹介し、勤務するうえでのメリット・デメリットや役立つ資格についてもまとめています。製造業で働きたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
「令和元年分 民間給与実態統計調査(国税庁)」によると、令和元年の給与所得者の平均年収は436.4万円となっています。一方、製造業の平均年収は513万円と全体平均よりも76.6万円高く、製造業は比較的稼げる職種といえます。また、「令和元年 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」によると、製造業の年代別平均月収は以下のようになっています。
○20代:約21.4万円/月 ○30代:約27.5万円/月 ○40代:約32.6万円/月 ○50代:約36.5万円/月 ○60代:約23.8万円/月 ○70代~:約22万円/月
上記のように年齢によって差があるのは、雇用形態・役職の有無で給与が変動するからです。製造業は技能・資格に対する手当が充実している職種であるため、スキルに磨きがかかってくる40~50代には月給が高くなる傾向が見られます。
「令和元年 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」によると、製造業の月収は男性が 31万9,500円、女性が 21万7,500円です。平均は33万8,000円/月、女性が25万1,000円/月であるのに比べると男女差が大きいですが、これは製造業の業務環境によります。製造業はスキルがなくても働ける一方で、技能・資格や経験に応じて給与アップが見込める業種でもあるからです。
また、製造業の業種によっては体力や腕力が必須になる業務が多く、性別によって任せられる内容が異なることもあります。女性は食品製造・食品加工や出荷補助・梱包・検品など軽作業のお仕事に就いていることが多いため、給与に差が出ているという側面もあります。軽作業のお仕事は未経験OKの求人も多く、その分時給が安い傾向にあるためです。
製造業といってもさまざまな分野があり、大きく3つに分類できます。産業の素材となるものを製造する「基礎素材型産業」、素材を組み合わせて加工品を製造する「加工組立型産業」、衣食住に関するものを製造する「生活関連型産業」です。
国税局では製造業を23に分けており、さらに細かく分類しています。このように、製造業といっても扱う製品や業務内容は多岐に渡るため、業務の難易度や製品の利益率などの要因によって年収に差が出てきます。例えば、食料品製造業は多くの人員が必要であり、業務内容も高度なスキルを必要としない場合が多いです。また、徹底した衛生管理・品質管理によってロスが生まれにくいために、給料が比較的低めです。自動車・航空機・船舶などに関わる輸送用機械器具製造業は世界情勢に左右されやすく、景気によっては仕事を続けられなくなる可能性があるものの、年収が比較的高いという特徴があります。
このように、「製造業」と一括りにして年収相場を判断するのは難しいものです。どのような製造業に携わりたいかについては、製造業に強い派遣会社・人材紹介会社に登録し、情報収集を行うといいでしょう。
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製造業は、長年携わるとスキルが身についていくため、年齢とともに年収が上がる傾向がありますが、それ以外にも給料を上げる方法があります。以下の5つが、製造業で給料を上げる方法のポイントです。
○手当を取得できる会社で働く ○深夜(22時~7時)に働く ○仕事に役立つ資格を取る ○中小企業から大企業へ会社の規模を変える ○雇用形態を変える
どの会社でも、労働基準法に準じた手当を出します。例えば、22時~7時の間は深夜と定められており、基本給・時間外手当とは別に深夜手当が上乗せされるため、深夜に働くのはすぐにできる給料を上げる方法の1つといえます。また、製造業では能力に応じて技能・資格手当をつけることは珍しくありません。特殊な状況下での労働であれば特殊作業手当・特殊勤務手当がつく会社もあります。手当に関しては会社によって異なるので、就職する前に労働条件をしっかり確認することをおすすめします。
まず、労働基準法で定められた一般的な手当として、以下3つの手当が存在します。
<一般的な手当>
種類 | 概要 |
---|---|
時間外手当 | 法定労働時間として定められている1日8時間・1週間で40時間を超える労働の際に支払われる手当のこと。時間相当額の25%が支払われます。 |
休日出勤手当 | 会社の指定する法定休日に出勤する場合に支払われる手当です。 時間相当額に35%が上乗せされます。 |
深夜労働手当 | 午後10時〜翌朝午前5時までの勤務に対して支払われる手当です。 時給相当額の25%が上乗せされます。また、残業(時間外手当)とは別で支払われます。 |
また、手当の名称・条件・金額については会社ごとに異なりますが、特別に支払われる手当には以下のようなものがあります。
<特別な手当>
種類 | 概要 |
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資格・技術手当 | その会社が必要としている特別な資格やスキルをもっている従業員に対して支払われる手当です。 製造業は未経験からでもとっつきやすい業種の1つですが、有資格者であれば収入アップにつながるというメリットがあります。 |
特殊作業手当 | 特別な作業環境で勤務する従業員に対して支払われる手当です。 特別な作業環境とは、クリーンルーム、長時間さらされると危険な高温あるいは低温で管理された空間、有害物質に暴露される危険性のある場所などがあげられます。 |
特殊勤務手当 | 交代勤務や単独勤務といった特殊な条件で勤務する従業員に対して支払われる手当です。 |
CAD(キャド)とは、コンピューターを用いた設計支援ツールであり、製造業では機械・自動車・建築といった分野で使われています。CAD利用技術資格をもっていれば、CADオペレーターや技術者として活躍できます。製造業の中では、自動車工場で重宝され、工場勤務でも有利になる資格です。CADは元来建築業で使われている技術ですので、建築系の職種へ転職する際にも役立つでしょう。
ただし、CADは資格の有無よりも実務経験やスキルが重視されるため、合格後もCADのスキルを維持するための努力が欠かせません。衛生管理者は国家資格であり、担当する業務は多岐に渡ります。工場を巡回して水質や空気中に危険がないかチェックを行うこともあれば、機械や有害物質を安全に取り扱う方法を指導する立場になることもあります。いわば、労働者の健康管理・工場内の衛生管理が主な仕事です。
第一種衛生管理者、第二種衛生管理者、衛生工学衛生管理者という3種類の免許が存在し、業種ごとに必要となる免許が異なりますが、50人以上の作業者がいる場合には必ず選任しなければならない資格の1つであり、有資格者を求める企業も多く、資格取得による収入アップが期待できます。
重い荷物を運搬するフォークリフトを運転するには、「フォークリフト運転技能講習修了証」が必須です。フォークリフトオペレーターは、入庫・出庫や物資の入った箱を上げ下ろしするピッキングなど製造工程の補助要員としてのニーズがあります。多くの工場で使われているので、フォークリフトの技術を磨いておけば工場勤務の幅が広がります。フォークリフトを扱う仕事はどちらかというと夜勤が多いため、職場によっては深夜手当がつき、収入が高くなります。
ただ、取得が簡単であるだけに、資格をもっているだけではなかなか採用されません。経験が重視されるので、働きながら取得するのが一般的です。また、フォークリフトに荷物を載せるのは手動で行うことも多いため、フォークオペレーターは荷物を降ろす腕力や体力をつけておくことも大切です。
製造業は、他の業種と比較しても福利厚生が手厚い会社が多く見られます。福利厚生とは、企業側が働く人やその家族のために用意している保険や休暇制度などのこと。
こちらでは、製造業に携わる会社が導入している福利厚生について紹介します。これらの福利厚生は製造業以外でも導入できるため、気になる業種があれば福利厚生もチェックしてみてください。
家賃補助とは、賃貸住宅に住んでいる社員を対象に、家賃の一部を補助する制度のことです。寮が備わっている企業もあり、寮費や水道光熱費を無料とするケースもあります。無料とはいかなくても、賃貸よりも安く寮費が設定されていたり家賃補助が受けられるような福利厚生を設けていたりする企業も多く存在します。
家賃補助に似ていますが、企業が借り入れている賃貸物件を社員に貸し出す「借り上げ住宅」という制度を導入している企業もあります。家賃の一部を企業が負担するため、相場よりも低い価格で会社近くの物件に住めるのは魅力的です。また、社宅利用料は給料から引かれるため、所得額が減り、所得税・住民税の節税につなげられるというメリットもあります。
食事補助とは、従業員の食事代を企業が負担する福利厚生です。社員食堂を完備して食事を提供している企業もあれば、配送サービスと提携してお弁当を支給する企業もあります。工場によっては、夜勤時の夕食や食費補助費用が給付されます。
自社商品を社員割引価格で購入できる制度であり、福利厚生の1つです。割引率は企業によって異なりますが、自社で製造している食品・製品を割引価格でオトクに購入できます。
生活資金づくりのため、毎月の給与から一定の金額を天引きし、貯蓄の後押しをしてくれる制度です。定期貯金だけではなく、投資信託や国債の積立にも利用できます。保険や投資信託といった商品は元本割れする可能性もあるのでリスクもあるため財形は任意ですが、なかなか貯金ができない方であっても給料天引き型の財形で楽に貯金が続けられるというメリットがあります。
多くの職種では未だに学歴を重視する傾向が根強いですが、製造業は学歴に左右されにくい職種の1つです。製造業では、学歴の代わりにスキル・経験や資格といった個人の能力を重視する傾向があります。製造業などの工場の部長や工業長などの役職に就いている方が大卒ではないことも珍しくはありません。
今はスキルがなくても、製造業は未経験者にもできる軽作業もあります。スキルは、研修を受け、手を動かし、難しい仕事を任されるうちに少しずつ身についていくものです。もし製造業で年収アップを目指しているのであれば、学歴よりもその工場に適した資格を取得するほうが、より大きな収入につながるでしょう。ただし、製造業の技術的な資格は、資格をもっているかどうかよりも実務経験が重視される傾向にあるので、スキルが衰えないよう常にブラッシュアップすることが大切です。
製造業と一言でいっても、扱う材料や製品によって求められる資格やスキルは異なり、業務内容に応じて年収にも差があります。製造業への就職を考えているならば、どの分野で働くかをじっくり考慮したうえで選択することが大切です。仕事環境に合わせて資格を取り、実務を通してスキルを磨くことで、より高い収入を目指せるでしょう。
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