トヨタの生産方式に関して

「工程の進化2」 第28回

青木幹晴

 次に手作業から自動化へ進化させる。
 しかし手作業が機械に置き換わっただけで、仕掛りワークの搬送、ワークのセット・機械の起動、異常の発見等は、従来通りすべて作業者が行わなければならない。
 次に自働化Ⅰである。
 異常が発生したら機械がそれを感知して自動停止しあんどんを点灯させるようにする(このことを自“働”化と言う。「機械も人間の働きをせよ」という意味)。これとともに仕掛りワークの搬送、ワークのセット・機械の起動をすべて自動化する。そうすればその工程には作業者の監視がまったく要らなくなるので、作業者はそこを離れて他の仕事も担当できるようになる。
 しかしそうなると作業者の歩行距離が長くなってしまうので、レイアウト変更して作業者の手作業が必要な機械を集めてしまえば歩行距離を短縮できる。
 最後に自働化Ⅱとして、機械加工での究極のラインの状態を示す。これは手作業機械を一切なくしてしまい、すべてが自動加工、自動搬送となる。作業者の作業は、定期的な品質チェック、規定数に達した刃具の交換、パーツフィーダーへの部品補給、設備への潤滑油の補充、設備異常対応に絞られる。作業者はすべてあんどんの指示で作業を行うことになる。
 これからロット生産から一歩一歩工程を進化させて行かなければならないクライアントに対しては順を追った工程の進化イメージと、最終到達点であるあるべき姿をきちっと示してあげる必要がある。
 ロット生産を行って日々発生する不良等に苦しめられているクライアントにこのような全体の鳥瞰図を示せば、必ず理解してくれる。しかし中国の場合は、出来高制賃金制度など根幹の体制も変革させていかなければならないため、改善を進めるには相当の努力が必要となる。