異常が発生して、誰もそれに気づかず時間が経過してしまえば、不良品の大量発生、設備故障等大変な事態に至ってしまう。従ってどのような異常であっても、それが発生して間髪を入れず、それを発見することが絶対必要となる。
そのためには、各工程の担当作業者とか設備課員とか専門の人は言うに及ばず、そこに偶然出くわした誰でもが「異常」と認識できる仕組み作りをしなければならない。さらにその仕組みは工数がかからないものでなければならない。異常を顕在化しさえすれば、工場はいろいろな専門家が集まっている所だから、あとはなんとでもなる。
1.品質検査に関して
クライアントによっては、ノギスで常に実測して、その実測値と合格値とを比較して製品の合否判定をしている場合がある。これには多くの工数がかかってしまうので、合格値のゲージを製作して、それを製品に当てるだけで合否判定できるようにする。「測定」を廃しし「判定」のみにするわけだ。このような簡便化を行っておかなければ、ラインの自動化等を進めることができない。
2.設備稼働状況に関して
工場を稼働させていると、いろいろな異常が発生する。トヨタの場合、自“働”化により作業者は多くの機械を担当しているので、それぞれの機械の監視などしていない。そのためすべての人がどんな異常に遭遇しても認識できるような仕組み作りをしている。全員参加の異常発見体制は次の通りだ。
- ① 【異常の発見・通報】誰でもが異常発見できるような見える化の仕組み作りを行う。発見者が係外の人なら、そのライン担当者に至急知らせる。
- ② 【原因の追及】異常の詳細を知り(数値読み取り等)、原因を追及し対応策を考える。
- ③ 【対策の実施】対策を実施する。
炉内等の管理対象物の状況を数値で表示している。それに対する基準値の範囲も明示しているため、異常かどうかは誰にでも判断できる。
基準範囲を超えたら自動感知して、あんどんが点灯するようにした。
基準範囲を超えたら自動感知して、あんどんが点灯すると同時にサイレンが鳴るようにした。騒音がうるさい現場で必要になる。
針の指す範囲の正常域(青)と異常域(赤)をペンキで色別けした。こうしておけば、ここを偶然通りかかった係外の人でさえ、異常を判定することができる。