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派遣中に妊娠したらどうする?産休・育休の取得から復職まで解説

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派遣中の妊娠というケースは多く存在します。妊娠はおめでたいことですが、突然分かったときは「仕事どうしたらいいの?」「産休・育休って取れるの?」「復職できるの?」といった疑問や不安が次々と出てきてしまいます。その中で、今の職場に産休や育休の制度があるかどうかはとても重要なポイントです。本記事では、産休や育休を取得したいと考えている派遣社員の方に向けて、産休・育休取得のための条件、もらえる手当、復職までの流れなどについて、詳しくご紹介します。

【目次】

■まずは妊娠を派遣会社に連絡しよう

■産休・育休を取得するまでの流れ

・産休・育休制度について確認

・業務の引き継ぎをする

・妊婦検診の時間を確保

・時差通勤・時短勤務を検討

■産休の取得条件

■育休の取得条件

・育休の延長条件

■産休・育休中にもらえる手当

・出産育児一時金

・出産手当金

・派遣会社からの手当

■産休・育休から復職する場合の流れ

・復職する時期を決める

・子どもの預け先を決める

・勤務スタイルを決める

■出産を機に退職する時に押さえておきたいこと

・会社に退職の意思を伝える

・失業手当を受け取る

■産休・育休を取得する際の不安にお答えします!

・Q.妊娠したら仕事を辞めなければいけないの?

・Q.復職後にも仕事が残っているか不安!

・Q.復職後に働く条件を変えられる?

■1人で抱え込みすぎないことが大切


まずは妊娠を派遣会社に連絡しよう

雇用契約を結んでいるのは派遣会社であり、産休・育休を付与するのも派遣会社です。
あなたが派遣社員で、契約期間中に妊娠が分かった場合は、まず派遣会社に連絡をしましょう。

派遣会社に伝えれば、担当者が就業先の上司に話を通してくれます。
派遣会社の担当者と就業先の上司が仕事時間や業務内容の調整をしますので、妊娠が分かった時点でまずは派遣会社に報告しましょう。

また、妊娠中の体調はよみにくく、元気に働ける人もいれば、つわりがひどくて仕事ができなくなる人もいます。
体調不良が増え、仕事を頻繁に休むこともあります。

また、重たいものを持ったり長時間立ちっぱなしになったりと、体に負担がかかりそうな仕事をしている場合は、業務内容の調整が可能です。
必要であれば派遣会社にお伝えして、就業先に業務内容を調整してもらいましょう。

産休・育休を取得するまでの流れ

産休・育休は正社員しか取れないものではなく、すべての労働者の権利です。労働基準法では、産休・育休を取得する条件に労働形態を問わないため、派遣社員・パート・アルバイトも取得できます。

妊娠が分かったら、以下の流れで産休・育休に備えていきます。

  • 産休・育休制度について確認
  • 業務の引継ぎをする
  • 妊婦検診の時間を確保
  • 時差通勤・時短勤務を検討
産休・育休制度について確認

派遣社員が妊娠した際のルールは、会社によってさまざまです。
妊娠が分かったら、所属している派遣会社の就業規則を確認してください。

就業規則に記載がなくとも、法令で定められた条件を満たしていれば産休・育休制度が利用できます。
しかし、休業期間中が有給か無給か、出産時に祝金があるかなどについては、派遣会社の規定により変わります。

※「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」は、雇用保険の被保険者に対して国から支給される補助金・給付金です。会社からの祝金ではないため、就業規定には記載されません。

業務の引継ぎをする

妊娠中は、急な体調不良で欠勤せざるを得ないことがあります。
急なお休みをいただいても、周囲の人になるべく負担をかけないよう配慮するのが、社会人としてふさわしい対応です。

突然の体調不良でお休みした時もスムーズに仕事を引き継げるよう、書類整理やマニュアルの用意をしておくと安心です。産休・育休に入るまでに、担当業務を引き継ぎまで完了させておくといいです。

妊婦検診の時間を確保

妊娠をしたら、あなたや赤ちゃんの健康状態を把握するために必ず「妊婦検診」を受けます。
出産日が近づくにつれて、検診の頻度も上がります。出勤日や時間を調整し、妊婦検診の時間を確保しなくてはなりません。

妊娠検診の頻度

検診時期 検診の頻度
妊娠23週まで 4週に1回
妊娠24週から35週まで 2週に1回
妊娠36週から出産まで 1週間に1回

派遣会社は、就業規則に記載がなくても、男女雇用機会均等法によって通院・検査を受ける時間を確保する義務があります。
派遣会社に相談すれば、通院・検査でお休みを取ることができます。

ただし、突然お休みをもらってしまうと、業務状況によっては周囲の方に負担をかける恐れがあります。
妊婦検診のスケジュールはおおむね決まっているので、妊娠が分かった時点で通院・検査のタイミングについて、派遣会社の担当者に伝えるのがベストです。

時差通勤・時短勤務を検討

妊娠検診の結果、医師から業務内容の制限、勤務時間の短縮、休業などの指導を受けることがあります。
その際には、派遣会社に申請して対策を講ずることができます。

男女雇用機会均等法によれば、事業主は健康診断に基づく医師からの指導を事業者が守れるように、勤務時間緩和・変更の措置を取ることを義務付けています。

体調面で仕事に支障が出る場合には速やかに派遣会社へ相談し、時差出勤・時短勤務への切り替えを行いましょう。

産休の取得条件

産休の取得条件は特にありません。
派遣会社の就業規則に記載されていなくても、条件を満たしていれば産休を取得できます。

○産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得できます。
産前休業は希望制なので、本人が望むのであれば、出産前日まで働くことも可能です。

○産後休業は、出産翌日から8週間まで取得できます。
産後は母体への影響を考え、労働基準法により出産の翌日から強制的に休暇を取ることが定められています。
本人の希望と医師の許可があれば、6週間経過後から働くことも可能です。

産休中や産休期間と育休前後30日以内に、従業員を解雇することは労働基準法によって禁止されています。
産休に入ったら、仕事のことは考えずに、お子さんとご自身の体調回復に専念しましょう。

※出典:男女雇用機会均等法第9条 婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等

育休の取得条件

派遣社員が育休を取得するためには、条件「復職後も子どもが1歳6ヶ月になるまで派遣会社との契約が続く見込みがある」を満たす必要があります。

ちなみに、「同じ派遣会社から1年以上お仕事を紹介されている(引き続き雇用された期間が1年以上)」という条件もありましたが、令和4年4月に行われた法改正によって条件が撤廃されました。

また、育休は復職することを前提に取得するものです。
そのため、育児休暇後に同じ派遣会社で復職する意思のない人は取得できません。有期雇用労働者の場合は、子どもが1歳6ヶ月になるまで派遣会社との契約が続く見込みがなければ、育休の取得対象になりません。

以下の条件を満たす方は、労使協定の締結によって育休の対象外にでき、派遣会社は育休取得を拒否できます。

  • 派遣会社に登録して1年未満
  • 1年(1歳以降の休業の場合は、6ヶ月)以内に雇用関係が終了する
  • 所定労働日数が週2日以下

労使協定は労働者全員が確認できるよう掲示・交付されている書面なので、上記に該当する方は労使協定を確認しておきましょう。

育休の延長条件

育休の期間は、原則として「子どもが1歳になるまで」です。やむを得ない事情がある場合は1年6ヶ月〜2年の延長が可能です。

育休を延長できる条件は、以下のように定められています。

  • 保育所に入所希望しているが、入所できない場合
  • 子どもの養育をしている配偶者が、1歳(1歳6ヶ月)以降の養育を担う予定だったが、死亡、負傷、疾病などの事情により養育することが困難になった場合
  • 子どもが1歳(1歳6ヶ月)になる前日までに、自身また配偶者が育休を取得している場合

いわゆる「待機児童」になってしまった場合、子どもの養育が困難になった場合、そして子どもが1歳になる前日までに、自身また配偶者が育休を取得している場合には、育休の延長条件を満たします。また子どもが1歳6ヶ月の場合も適用されます。

保育所に入所できなかった場合は、自治体から保育が実施されないことの証明ができる書類を取得し、派遣会社に提出することで、育休を最長2年まで延長が可能です。

※出典:育児・介護休業法第10条 不利益取扱いの禁止

※出典: [PDF]令和3年改正法の概要(育児・介護休業法)

※出典:[PDF]「育児休業」の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ

産休・育休中にもらえる手当

出産や休業中に、給料が支払われない時期が発生するときの補填策として、産休・育休中にもらえる手当があります。
代表的な手当は、以下の通りです。

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 派遣会社からの手当
出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険の被保険者やその配偶者が出産した場合に、子ども1人につき42万円が支給される制度です。
派遣会社や配偶者の会社の健康保険の被保険者であれば受給できます。

原則として、出産育児一時金は医療機関に直接支払われる仕組みです。
出産費用が42万円以上かかった場合は、差額を医療機関の窓口で支払います。出産費用が42万円に満たなかった場合は、健康保険組合から差額が被保険者に支給されます。

出産費用の増加に伴い出産育児一時金の増額が検討されており、早ければ2023年度からの実施となるでしょう。

出産手当金

出産手当金は、健康保険の被保険者に支給される制度です。
産前6週間から産後8週間までの間、給料が支払われなかった日数に対して支給されます。支給額は標準報酬日額の3分の2相当額。

期間は出産前の42日間(双子以上であれば98日間)、出産してから56日間の合計98日間分です。

出産予定日よりも後に子どもが生まれた場合は、遅れた日数分も支給対象となります。

派遣会社からの手当

派遣会社によっては、お祝い金という形で、独自の出産手当を用意していることがあります。
手当があるかどうかは、慶弔規程を確認してみましょう。

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産休・育休から復職する場合の流れ

産休・育休から復職する場合の流れは、以下の通りです。

  • 復職する時期を決める
  • 子どもの預け先を決める
  • 勤務スタイルを決める
復職する時期を決める

一般的に、子どもを預けやすい新学期の4月が最もスムーズです。
ただし、4月は慣らし保育などで長時間預けることができないので、4月は準備期間として5月から復職をする人もいます。

子どもの預け先を決める

仕事中に子どもを預ける場所、保育園などの保育施設を決めます。
配偶者や祖父母などにも、どの程度サポートしてもらえるか相談しておくと良いでしょう。

預け先が見つからず、1年後の復職が難しい場合には、育休の延長申請を行う必要があります。

勤務スタイルを決める

出産後は育児に時間も体力も割かれるので、今まで通りの勤務スタイルは難しくなるかもしれません。
時短勤務を行うか、勤務日数を減らすか、頑張って産前と同じように働くか、じっくり検討する必要があります。

勤務スタイルを決めたら派遣会社に相談して、希望にあったスタイルでの働き方ができる案件を紹介してもらいましょう。

出産を機に退職する時に押さえておきたいこと

出産を機に退職を考えているなら、下記のポイントを押さえておきましょう。

会社に退職の意思を伝える

業務の引き継ぎや会社側の人員確保という都合から、退職の1ヶ月前までには、派遣会社へ退職の意思を伝えましょう。

民法では「雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と定めています。
やむを得ない事情があっても、遅くても14日前までには退職希望をお伝えしなければなりません。

失業手当を受け取る

次の仕事を見つけるまでの間は、国から失業手当を受け取れます。失業手当を受け取れるのは以下の3点を満たしているときです。

  • 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12カ月以上あること
  • 本人に就職する意思・能力があること(積極的な求職活動を行っていること)
  • 積極的な求職活動を行っていること

妊娠をきっかけに退職をした場合は求職活動が困難なので、本来であれば失業手当の給付対象ではありません。
しかし、妊娠を理由にした場合には「失業保険の延長措置」によって、失業手当の受給期間を4年まで延長できます。

延長措置を受けておけば、退職してから2年以上が経過していても、失業認定を受け取れるのです。
あくまでも失業手当の申請期間を延長できる制度であり、失業手当の受給期間を増やせるわけではないという点に注意しましょう。

産休・育休を取得する際の不安にお答えします!

産休・育休を取得できると分かっていても、いざその時になると不安に駆られてしまうものです。ここでは、産休・育休時に感じやすい不安について、FAQ形式で解説します。

Q.妊娠したら仕事を辞めなければいけないの?

A.出産を理由に、社員を解雇することはもちろん、派遣の契約を更新しないことも法令で禁止されています!
そのため、安心して休むことができ、派遣の勤務形態は復職しやすいメリットもあります。

Q.復職後にも仕事が残っているか不安!

A.派遣先と派遣会社の契約がなくなることはないため、出産前の自分のポジションには他の派遣社員が従事しています。
そのため、復帰前と同じポジションに戻ることができないことがあります。

働く意思があることを伝え、今後の働き方も含めて、派遣会社と積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。

Q.復職後に働く条件を変えられる?

A.出産前の派遣先での働き方が、長時間勤務や、不規則勤務、勤務地が遠方の場合、出産後にそのまま働くことは難しいかもしれません。
そんなときは、どのように働きたいのかを「タイミングがあればこういうお仕事をしてみたい」と派遣会社に相談しましょう。

派遣会社と連絡を取り合うことで、自分らしい働き方に合う派遣先を紹介してもらえます。

1人で抱え込みすぎないことが大切

派遣社員でも産休・育休を取ることはできますし、妊娠を機に業務時間や仕事内容の調整もしてもらえます。
それは雇用者の義務でもあるので、気負いせず派遣会社へ相談しながら、どのように働くか模索してきましょう。

そうはいっても、無理は禁物。1人で抱え込みすぎず、派遣会社、家族、行政などにマメに相談しながら、自分にとって無理のない働き方を選択することが大事です。

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