2021.11.04

派遣社員が雇い止めにあったらどうする?回避できる方法は?

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新型コロナウイルスの拡大などで経済に不透明感が出る中、派遣社員として働いている方は「雇い止め」の不安を抱えていると思います。もし「雇い止め」が現実となった場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか?
今回は、派遣社員が雇い止めにあった場合の対処法や相談先などを解説します。

派遣社員の「雇い止め」とは?

雇い止めとは、派遣先企業の都合で現在の契約終了後に契約を更新せず、契約終了となることです。契約期間中に契約が打ち切られる解雇とは異なり、雇い止めは契約期間満了まで働くことはできます。
契約期間は守っているので、雇い止め自体は違法ではありません。しかし、契約が更新され働き続けることができると思っていたのに、派遣先企業の都合で急に契約が終了してしまうと、新たに仕事を探さなくてはなりません。また、不当な雇い止めに合う場合もあるので、その不安に怯えながら働くのも、ストレスがたまりますよね。
派遣社員として働くならば、雇い止めに関する知識をしっかり身に付けておくことが大切です。

派遣社員が雇い止めにあう理由は?

労働契約法19条では、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」には、雇い止めは許されず、契約更新が法律上認められると定めています。
雇い止めは、以下のような理由で行われることが多いようです。

・企業側都合の場合
  • 会社の業績が悪く、人員削減を行うことになった
  • 派遣社員に依頼していた業務がなくなった
  • 業務内容がもともと臨時的だった
・派遣社員側に問題がある場合
  • 無断欠勤や遅刻が多く、勤務態度に問題がある
  • 企業側が求めていた仕事の成果に達していない
雇い止めにあってしまったらどうする?

法令で「客観的に合理的な理由」がなければ雇い止めはできないことになっています。雇い止めを通告されたものの、合理的な理由がないと感じる場合には、以下のような行動を起こすことができます。

●違法性がないか確認する

過去に何度も契約を更新し、実質的には無期雇用と同じレベルに至っているため、解雇と同一視できる場合には、雇い止めは違法となります。また、契約が何度も更新されていると、派遣社員は次の契約も更新されるのではないかと期待するようになります。契約更新への期待を持つのが当然である場合にも、雇い止めは違法となります。
トラブルを防ぐため、厚生労働省が「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(※1)を示しています。派遣先が守らなければならない4つの基準を守っているかどうか、確認しましょう。

(※1):https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf

・契約書に更新の有無や判断基準を明示

派遣先企業は、契約書に更新のある仕事かどうかを明記しなくてはなりません。更新があると明示されている場合は、なぜ更新する/更新しないのか、その理由を明確にしなくてはなりません。

・雇い止めの予告

派遣先企業は、1年以上契約が続いているか、3回以上更新している派遣社員には、契約満了の1ヶ月前までに雇い止めを予告しなくてはなりません。

・雇い止め理由の明示

派遣先企業は、雇い止めの予告後または雇い止め後に、派遣社員がその理由についての証明書を請求した場合には、それを交付しなくてはなりません。この場合の雇い止めの理由は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。

・契約期間についての配慮

派遣先企業は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している派遣社員とは、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。業績悪化など正当な理由があっての雇い止めは仕方がないことかもしれませんが、それでも長期契約の派遣社員については、契約期間を長くする努力をすることが求められます。この努力が果たされたとは言えない場合は違法となります。

●契約時の資料で不安な点は、あらかじめ派遣会社に質問しておく

上記のように、派遣社員の契約更新に関しては、契約書に明記することが法令で定められています。不安な点やわからない点があれば、派遣元の派遣会社にしっかり確認しておきましょう。

●労働審判の申し立て

徹底的に戦うつもりならば、労働審判を申し立てて雇い止めに違法性があることを主張することができます。ただし、もちろん弁護士への報酬などの経費がかかりますし、職場復帰できたとしても立場が悪くなることも珍しくありません。
また、現在の派遣会社を訴えることにもなるため、同じ派遣会社で働くことは現実的には難しくなります。

雇い止めにあった場合、失業保険はどうなる?

失業保険は、失業の理由や就業期間、就業意思の有無などにより受け取れるかどうかが決まります。退職後、ハローワークに出向いて、求職の申し込みをする必要があります。
自己都合の退職であっても、やむを得ない理由があると認められると、雇用保険では「特定理由離職者」に分類されます。雇い止めはこの「特定理由離職者」に分類され、「特定受給資格者」となり、自己都合の退職よりは手厚く保護されます。

雇い止めにあったときの相談先

不当な雇い止めにあったと感じたときは、その不当性を裏付ける証拠を集めなければなりません。その際に、専門的な知識を持つ相談相手がいるとスムーズに進みます。焦らずに、まずは相談先を探しましょう。

・派遣元の派遣会社の担当者

もし、担当者の対応に納得できない場合は、派遣会社の別の人や、派遣社員向けの相談窓口に訴えてみましょう。

・労働基準監督署

派遣元の対応に納得がいかない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。労働基準監督署は、労働法に基づく雇用形態が守られているかどうかを見守っている組織です。

・労働組合

ユニオンなどの労働組合に相談する方法もあります。労働組合に相談すると、会社側に対して団体交渉を申し入れてくれます。

・労働問題が得意な弁護士

賃金が未払いのまま契約を打ち切られた場合など、法的措置を検討している場合には、弁護士に相談するのも手です。弁護士は専門知識があり、具体的な交渉などをしてくれますが、費用がかかるので慎重に判断しましょう。

まとめ

雇い止めにあうと、いきなり収入源を失ってしまいます。雇い止めを回避するには、働く人のことをしっかり考えて派遣先を選んでくれる、信頼ができて相談もしやすい派遣会社で働くことが大切です。
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