2021.10.18

製造原価とは?製造原価の分類と求め方

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製造業は自社で材料を仕入れ、製品を売って利益を得ています。自社の利益を知るためには「製造原価」について知らなければいけません。そこでこの記事では、製造原価の内容や分類、求め方、売上原価とのちがいを解説していきます。

製造原価とは?

製造原価とは、工場で製品を作る際にかかる費用です。製造プロセスで発生したすべての費用を合わせた費用になります。たとえば、材料費や設備費、人件費などが当てはまります。

製造原価の分類

製造原価は次の3つに分けられます。

材料費

商品を作るための費用です。具体的には、製品の材料や設備を動かす燃料などがあげられます。

労務費

労務費は商品を製造する際にかかる人件費です。従業員のお給料だけではなく、人間ドックやクラブ・サークル活動の補助などの福利厚生費も当てはまります。

経費

材料費、労務費以外の費用は経費です。オフィスの家賃や工場の光熱費、設備の減価償却費などがこれにあたります。

また、今あげた3つの分類法ではなく、製品との関わり方で分類する方法もあります。

直接費

直接費とは製造に直接関係した費用です。たとえば、ネジの本数のように製品に対して、どれくらいの量が使用されたか明確であるものを「直接費」といいます。

・直接材料費

工場で製品を作る際に直接使われる材料費です。具体的には、鉄やアルミ、ネジ、木材、プラスチックなどがこれにあたります。

・直接労務費

従業員に支払う賃金や賞与です。具体的には製品を作る際に直接加工や組み立て、検査、梱包など、作業を実際におこなう従業員に支払う費用です。

・直接経費

直接費の中で、材料費と労務費以外の費用です。具体的には外注加工費がこれにあたります。

間接費

製品に間接的に関係している費用です。直接費と比べてどの製品にどれくらいの費用がかかるのかを判別しにくい費用が当てはまります。たとえば、さまざまな製品を製造している装置の減価償却費は、複数製品にまたがって使用されるため間接費です。

・間接材料費

間接材料費はどの製品にどれくらい量の材料を使ったかわからない費用です。たとえば、グリースや塗料、工具費用があげられます。直接費と比べると、鉄の使用量やギアの数、部品の個数などと異なり具体的な使用量として明らかではない材料費です。

・間接労務費

間接労務費は従業員に発生する費用です。製品を直接関わっていない職種、生産管理者や生産技術者の給与や賞与などが当てはまります。直接労務費とのちがいは、自らの手で製品を製造している従業員かどうかです。

・間接経費

間接経費は特定の製品との関わりが明らかではない費用です。光熱費や設備の減価償却費、修繕費がこれにあたります。

このように製造原価といっても、分け方によって費用の付け方は変わります。製造に関わる費用がどの費用に当てはまるのかをしっかりと見極めましょう。

製造原価と売上原価のちがい
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製造原価と似た言葉に売上原価があります。その内容は異なるためちがいを理解しておきましょう。

製造原価と売上原価の大きなちがいは会計上の分類です。会計上では、製造原価は製品に分類され、売上原価は商品に分類されます。ここで「製品」は加工して販売するもの、「商品」は加工せずに販売するものです。つまり製品原価とは「製品を作るためにかかった」原価であり、売上原価は「売れた製品やサービスにかかった」原価となります。

また、売上原価は主に小売業などで使われる原価で「仕入れ原価」がこれにあたります。ただし、自社工場で製造、販売までおこなっている場合、同じ品物でも工場の完成品では「製品」であり、販売するときは「商品」と区別されます。そのため、自社内で製造した製品を売る場合は、製造原価が売上原価に含まれるのです。

製造原価の求め方
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製造原価は次の計算式で求められます。

 当期製品製造原価 = 当期総製造費用 + 期首仕掛品棚卸高 - 期末仕掛品棚卸高

ここで「当期製品製造原価」とは、当期中に完成させた製品の製造原価です。これに材料費や労務費、経費が含まれています。また、仕掛品とは製造途中の製品であり、仕掛品棚卸高とは作成途中の製品に発生している費用です。

ここで注意してほしい点は、製造原価には前期末時点で未完成品にかかった費用も含まれる点です。
2021年度(2021年の4月から2022年の3月までとする)を例に考えてみましょう。2021年1月から製造しはじめて、2021年5月に製品が完成した場合、2021年度の仕掛品の棚卸高に含まれます(期首仕掛品棚卸高)。しかし、2022年2月から製造し、2022年5月に製品が完成した場合は2021年度の棚卸高に含まれません(期末仕掛品棚卸高)。

まとめると当期中の製品製造原価は、今年度に発生した総額の製造費用と前年度から製造し今年度に完成した製品に発生した費用を足し、今年度の未完成品の費用を引いた金額になります。

まとめ

製造原価は利益に直結する費用です。より利益をあげるためには、できるだけムダを少なくし、製造費用を抑えなければいけません。そのため、製造原価を細かく分けて、何にどのくらいの費用がかかっているのかをチェックし、定期的に見直すのが大切です。
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