高卒で就職する現状は?【人気の就職先から就職の選択肢まで紹介】
高校卒業後、大学や専門学校への進学でなく「就職」の選択肢を選ぶ人もいます。しかし、どのような業界・職種を選ぶか、そもそも高卒での就職がうまくいくのか、高卒就職にあたっていろいろと悩むことも少なくないでしょう。ここでは、高卒就職を考えている人に向けて、気になる就職率やポピュラーな就職先、流れなどについて詳しくご紹介します。
世間としては「高卒だと就職は難しい」というイメージがありますが、実際のところ高卒は昔と比べると就職しやすい状況です。高卒就職が難しいというイメージがついた原因は、バブル崩壊後の「就職氷河期」にあります。就職氷河期では、そもそも新規雇用が抑制されており大卒でも職に就くのは簡単ではなく、高卒就職は輪をかけて大変だったのです。しかし、現在は就職が困難な状況ではありません。
「厚生労働省 高校新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況の推移」によると、2021年こそコロナ禍のあおりを受けて求人数がダウンしていますが、2012年から 2021年にかけてはずっと増加傾向なのがわかります。
出典:「厚生労働省 高校新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況の推移」
高卒就職のハードルが下がってきているのは、大卒者と高卒者の就職率を比較してみても明らかです。「厚生労働省 新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率」によると、2003年時点では大卒就職率が92.8%なのに対し、高卒就職率が86.7%と大卒の人が就職率の高い状況でした。
しかし、2020年のデータを見ると大卒就職率が98%、高卒就職率は98.1%の結果です。大卒者と高卒者の就職率の差はほとんどなくなり、高卒の求職者のほとんどが就職できているといえます。「高卒では仕事が見つからない」というのは過去の話であり、高卒就職を考えている人は、高卒という学歴ひとつをとって悲観的になる必要はまったくないのです。
出典:「厚生労働省 新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率」
高卒就職しようとしている人なら、高卒に人気の就職先はどのような業界なのか気になるでしょう。高卒に人気のさまざまな就職先から5選をピックアップしてご紹介しますので、人気の理由とあわせてぜひチェックしてみてください。
高卒に限った話ではありませんが、公務員は昔から人気を集めている就職先です。景気に左右されにくいですし、一般企業と違って突然の倒産や大量のリストラといったことがありません。生涯賃金は大手企業の高卒者の給与にならって設定されていて、安定しています。それにくわえて福利厚生がしっかり整っていますから、ひとたび公務員になれば将来安泰といえるでしょう。
官公庁に勤めており、社会的信用が高い職というのもメリットです。一般的に公務員になるためには教養試験や専門試験など採用試験に合格する必要がありますが、大卒の公務員試験と比べると難易度は低い内容になっています。学歴による採用への影響はなく、高卒でも頑張って試験に合格できれば採用されるのもポイントです。また、「地域や市民に貢献できる」、「地元の役に立つ仕事がしたい」など公務員ならではの理由で就職先に選ぶ高卒者も少なくありません。
飲食業はレストランや喫茶店などの飲食に関わる業界で、よく外食をする人にとってはなじみの深い業種のひとつです。立ち仕事が多く体力が求められる業種のため、若いスタッフは特に必要とされるでしょう。調理に携わるスタッフは資格が必要な場合が多いですが、そのほかのスタッフは特別な資格はなくとも働けます。
ホールスタッフを例にあげると、お客様とスムーズにやり取りができるコミュニケーションスキルやホールを円滑に動かせるフットワークの軽さなどがあれば活躍できるように、高学歴でなくとも活躍が期待できるのが人気の理由としてあげられます。
まかないのあるお店なら、食費を浮かせられてお財布にやさしいのもうれしいところです。また、高卒で社会人経験がゼロでも、飲食業でアルバイト・パートの経験があれば飲食業での就職活動にあたってアピールしやすいのもメリットといえるでしょう。
運輸業は高卒を対象とした求人が比較的多く、常に人材ニーズのある業界です。旅客や貨物の運送を行う運輸業は、細かく見ると下記のように分類されます。
- ○道路貨物運送業
- ○道路旅客運送業
- ○航空運輸業
- ○鉄道業
- ○水運業
- ○倉庫業
事務や仕分けの仕事、管理業務などは除いて、運輸業は体力仕事が主になるので運動部に所属していた人やタフさに自信のある人におすすめです。運輸業全体で人手が足りていないこともあり、未経験でも受け入れてくれるのでハードルが低いといえます。就職してから運送用具を使えるスキルや操縦免許を学生時代に取得しておけば、高卒でも転職で有利になるでしょう。
ニッチな層から人気を得ているのが農業です。中小規模の農業法人や家族経営の農家など学歴を問わない農業に就職する人もいます。ほとんどの就職先で大卒だから給料が高い・高卒だから給料が低いということがなくスキルが大きく評価されるのも、高卒の人にはいい部分でしょう。若い人材が足りていないため、求職者は引っぱりダコです。動植物を相手に働きたい人や自然のなかで仕事がしたい人に向いているでしょう。ただ、動植物を育てるのは容易なことではなく、繊細さも必要な業種です。作業が雑な人にはあまりおすすめできません。
他業種と比べると高卒の人が多く、求人数も多いのが小売業です。学歴を問わず成果や実力が評価されやすいのがメリットといえます。小売業は個人や家庭などの消費者に商品やサービスを提供する業種で、接客のコミュニケーション能力や在庫管理や陳列などの販売におけるスキルが必要です。小売業にはデパートやスーパー、コンビニなどの販売店からアパレルやドラッグストアなどの専門店があげられます。卸売業とひとくくりにされることもありますが、消費者を顧客とする小売業に対して卸売業は業者を顧客にするのが異なる点です。
飲食業と同様、過去にスーバーやコンビニなどの小売業でアルバイト・パートの経験があれば就職のときにはアピールポイントにできます。小売業と一口にいってもジャンルは幅広いものです。ほかにも本屋、家具屋、ホームセンターなどさまざまあります。自身の興味のわきそうなお店ならモチベーションを維持しやすいでしょう。また、商品やサービスの販売員をはじめ、その人の売り上げに応じて基本給にプラスαで給与が支払われる場合もあります。このような職種は、特に頑張っただけ稼ぎたいという人にピッタリです。
高卒就職にあたって高卒に人気の就職先をチェックするのもいいですが、就活をより効率よく行うにはおすすめの就職先も一度目を通しておきましょう。以下では、高卒におすすめしたい就職先を紹介します。
高卒は大卒と比べるとどうしても大企業の枠が少ないものですが、製造業は違います。大企業でも高卒の採用枠が設けられていることが多いため、高卒でも入社のチャンスがあるのです。一般社員から主任や係長、課長などキャリアアップが可能で、十分に出世を視野に入れられる業界といえます。
製造業でも将来的に管理や開発の業務などデスクワーク中心の業務にキャリアアップすれば、年齢により体力面に自信がなくなってきても活躍が可能です。30代、40代と年齢を重ねても仕事を続けていけます。また、繫忙期を除き基本は定時で仕事を終えられることも魅力です。仕事とプライベートとバランスよく働きたい人にもピッタリでしょう。業務にあたり資格が必要になる場合が少なくありませんが、資格を取得しやすい点も特徴です。資格取得にかかる費用を補助する制度を設けている会社であれば、金銭的な負担なく資格を取得できます。
情報通信業(IT業界)は、給与面と将来性の両面で期待できる業界です。情報通信業はインターネット・WEB業、ハードウェア業、ソフトウェア業の大きく3種類があり、仕事はたくさんあります。会社によっては未経験者も受け入れており、働きながら専門的な知識やスキルをコツコツ身につけていけるのです。手に職をつけられるので、そのスキルが求められているうちは仕事に困ることがありません。
同じ情報通信業でもITコンサルタントやシステムエンジニアなど職種は多岐にわたるため、ひとつの業界内でいろいろな経験を積みながら、ステップアップしていけるでしょう。特に、日頃からパソコンを触る機会の多い人やパソコンを使うのが好きな人におすすめです。ほかの業界より比較的競争や変化が激しく決して楽とはいえないですが、生涯レベルアップを目指せます。
ものづくりに関心のある人や高収入を目指したい人に検討してもらいたいのが、建設・建築業です。業界全体で給与は高水準ですし、高卒でも資格を取得さえできれば昇進を狙えます。また、自身の働きが、建築物といった目に見える形で現れるので、達成感ややりがいがあるのもいい点です。
しかし、一般的に建設・建築業は肉体労働がメインできついイメージがあり、肉体労働が嫌な人はすぐに就職先の選択肢から外してしまいがちです。ただ、実際のところ建設・建築業の業務を大きくわけると、肉体労働と頭脳労働の2種類があります。頭脳労働に当てはまるのは、安全管理や施工計画などのマネジメントや事務、建築設計、積算などの職種です。建設・建築業=肉体労働と敬遠していた人は、一度検討し直してみることをおすすめします。
宿泊業は学歴にそれほど重点をおいていないため、高卒も採用のチャンスが期待しやすいです。大企業での活躍も目指しやすく、成果によっては出世も実現できます。しかし、仕事内容は決して楽ではなく、業種によっては労働時間が不規則になってしまうため、体調管理には気をつける必要があるのが難点です。
その一方で、顧客に直接接することの多い職種であれば感謝の言葉をかけられる機会がめすらしくなく、そういったときには喜びややりがいを感じられるでしょう。宿泊業で働くには、顧客対応や顧客を観察するスキル、世界共通語である英語をはじめとする外国語で受け答えできる能力が必要です。これらのスキルは働きながら習得していく側面が大きいので、就職の際に必要とされるケースは多くありません。
福祉・介護業界は人手不足の現状から、学歴や経験を問わない求人が多い傾向があり間口の広い業界。職種により具体的な業務内容は異なりますが、お年寄りや身体の不自由な人などが円滑に過ごせるお手伝いをできる仕事です。人や社会のためになることにやりがいを感じる人には、特に向いているでしょう。最初は専門知識がなくても、実務経験を重ねていくなかで資格取得を目指していけます。
また、福祉や介護の需要は年々増加することが予想されるため、人材を確保しようと業界では待遇や賃金を改善しようとする動きが見られるのも特徴です。そのため、経験を重ねていき資格の取得を行えば、安定して働いていけるでしょう。体力面での問題がなければ、シニア世代になっても仕事を続けていけます。
高卒就職でつまずかないためには、一般的な高卒就職の流れをおさえておくことが重要です。具体的な流れを確認しておきましょう。まず、高校3年生の4~5月は準備期間にあたります。この期間にスーツやカバン、腕時計など必須アイテムを用意したり、自己分析や企業研究を行ったりするといいでしょう。企業側に好印象を与えたいなら男性はネイビーやグレーのスーツを、女性は真面目な印象を与えたいならダークグレー、やわらかい印象が理想ならライトグレーを選ぶことをおすすめします。
7~8月ごろになると求人票の公開が開始されます。検討したい職場があれば見学を申し込みましょう。同時に、面接会場でのマナーや身だしなみを確認したり、想定質問に対する回答を用意したりといった面接対策や筆記試験対策を進めます。選考が始まってから慌てないように、着々と準備をしておきたいものです。
そうして、いよいよ9月の初めには応募の受付が、中旬ごろには選考がスタートします。志望する企業に応募書類を提出するのがこの時期です。会社へは直接書類を送らず、学校の先生を介して応募をします。
一般的に高卒就職というと、主に「指定校推薦や学校に届いた求人票から就職先を選ぶ」というイメージがあります。しかし、就職先の探し方は、それだけではありません。会社のホームページや求人サイト、会社の採用ページなど見て、自分自身で就職先を探すような「自己就職」も、高卒の人が就職先を探す手段のひとつです。学校に届く求人票だけに絞らず自分の手で幅広く情報収集することで、より自分に合った就職先を見つける可能性を高められます。
ただ、自己就職の方法で気になる企業が見つかったとしても、直接企業に問い合わせや応募をするのは避けてください。一般的に高校生の就職活動においては、それらは学校を通して行わなければならないルールがあります。企業に問い合わせや応募をしたい場合は、学校を通じて行うようにしましょう。
近年高卒就職のハードルは下がっていることもあり、高卒就職では幅広い職業のなかから自身の希望する職業を選択できます。幅が広い分、大切なのが目的を明確化して動くことです。例えば、「1人でモクモクとできる仕事をしたい」、「将来は出産したら育児と仕事を両立したいから、平日にお休みがとれるといい」といった目的があるなら、1人で作業を進められてお休みがシフト制である検品や梱包などの製造業の仕事が向いています。目的をしっかり固めていればスムーズに就職先選びができますし、入社後のミスマッチも起こりにくくなるので、高卒就職ではまず目的の明確化を忘れずに行いましょう。
出産した後も仕事を続けたいと考える人、顧客とたくさんコミュニケーションを取る仕事は避けたいという人におすすめの仕事のひとつが製造業です。そんな製造業の求人情報を収集するのに便利なのが「アウトソーシング公式LINE」です。希望条件に合った求人のお知らせやお仕事探しに役立つ情報紹介を行っています。また、製造系・工場系の求人が多数掲載されている求人サイト「はたらくヨロコビ」なら、幅広い業種から求人を検索可能です。どちらもぜひチェックしてみてください。