ブルーカラーとはブルーカラーホワイトカラーの職業にはどのような違いがあるの?
世の中の職種は大きく分けて「ブルーカラー」とよばれる仕事と「ホワイトカラー」とよばれる仕事があります。「ブルーカラー」の仕事は「ホワイトカラー」の仕事に比べて、きつい、汚い、危険といわれがちですが、近年ではブルーカラーの就業環境は変化してきています。この記事ではブルーカラーの特徴やメリットやデメリット、現代における就業環境の変化について解説します。
ブルーカラーとは工場などの製造現場や、建物の建設や道路整備をおこなう工事現場、農林水産業、林業など、主に肉体労働をおこなう仕事などを指します。
ブルーカラーの名前は、仕事中の襟(カラー)の色からきています。この言葉が生まれた1920年代のアメリカでは工場や工事現場で働く人が着ていた作業着は、丈夫な生地で作られ、汚れが目立ちにくい青が多かったのです。そのため、ブルーカラーは「青い襟の働く人」の言葉が元になっています。
一方でホワイトカラーは、オフィスで「白い襟(カラー)のシャツ」を着て働くことが多い人を意味します。医師や学者などの白衣のイメージも、まさにホワイトカラーの代表です。他にも会計や総務などの事務、マーケティングといった企画職、販促や営業などの販売業、研究職などがあげられます。
ブルーカラーとホワイトカラーの収入面を比べると、ブルーカラー(製造業)のほうが、教育や金融関連の業種よりも低い傾向にあります。
令和2年における厚生労働省「主な産業別にみた賃金」によると、男性の月収はホワイトカラーに分類される「金融業、保険業」が約48万円と最も高く、次に「教育、学習支援業」が43万円となっています。一方、ブルーカラーの「製造業」は約32万円です。女性も同じ傾向があり、最も月収が高いのは「金融業保険業」で約28万円、次に「教育、学習支援業」の30万円となります。対する「製造業」の月収は約22万円です。
しかし令和元年における厚生労働省「主な産業別にみた初任給」では、初任給においては大きな差はないという調査結果になっています。
ブルーカラーのほうが収入が低い理由には、現場で働いていた人が昇進して収入が上がってくると、管理などの事務職に移ってホワイトカラーに変わるなどの理由もあげられます。またブルーカラーの仕事は技術が身につく仕事が多いので、転職がしやすい、技術を強みに生きていけるなどのメリットもあるため、ホワイトカラーに比べて収入が低いからといって、生活していきづらい仕事というわけではありません。
参考:厚生労働省「主な産業別にみた賃金」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/05.pdf)
厚生労働省「主な産業別にみた初任給」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/03.html)
ブルーカラーのメリットとデメリットを解説します。
建設現場の場合、工事の時間が決まっているため残業が少ないです。工事現場は周囲への工事音への配慮や、外が暗くなると工事がしにくいなどの理由から工事時間が決まっている現場も多く、決められた時間になると作業を終えて帰宅する人も多くいます。
また、ブルーカラーは転職がしやすいのも特徴です。ブルーカラーは業種によっては高い専門性が身につきます。これらのスキルや知識は、同じ業種であれば他の現場でも活かすことができ、転職のときには有効な技術になります。
ブルーカラーのデメリットは体力面で仕事がきついことです。ブルーカラーは体力が必要なため、高年齢の場合、体への負担が大きくなります。仕事を通じて体力はつくものの、長い期間を働くには体を痛めないように気をつけなければいけません。
また、危険な仕事もあります。仕事内容にもよりますが、現場仕事のため3K(汚い、きつい、危険)が避けられないケースもあります。建設業の場合は高い場所での作業もありますし、製造現場や工事現場では重機を使用するため、作業や扱いを間違えば大きな事故にもつながる危険と隣り合わせの環境です。しかし近年はますます作業環境の安全意識や、働く人の快適さが求められるようになっているため、現場仕事でも安全対策はしっかりととられており、大きな事故の数も少なくなっています。また職場の環境もどんどん改善されています。
ブルーカラーの仕事はどちらかというと男性のイメージが強いかもしれません。しかしそのようなことはなく、たくさんの男女が活躍しています。
建設業は建物や道路などを作る業種です。大きく分けて土木と建設に分類されます。土木は道路工事やダムの工事、建設は家やビルなどの建設です。
複数の部材を1つの部材に接合する溶接を専門にする職種です。部材同士をアーク放電やガスなどを用いて、部材同士を接合させます。「溶接技能者」といった資格もある専門的な技術が求められるお仕事です。
生産ライン全体の故障や不備を点検、修理、整備する業種です。機械保全技能士や設備管理士といった国家資格もあります。
警備員は監視や誘導、出入り管理、防災管理などをするお仕事です。就職の際には資格などは特に必要ありませんが、警備員指導教育責任者や警備員検定などの資格を取得してスキルアップもできます。
農業従事者は第一次産業である農業を職業としている人です。稲作や野菜、果物などを販売して生計を立てています。農業のみで生計を立てている「専業農家」や農業以外の仕事からも収入を得ている「兼業農家」もいます。
漁師は漁業を職業としている人です。川や海、養殖などで魚介類を獲り生計を立てています。漁獲量や魚の種類によって収入は大きく異なります。
ブルーカラーの仕事に向いているのは1つの物事に集中してコツコツと取り組める人です。ブルーカラーの仕事では自分のスキルを向上させる必要があります。そのため、スキルと向き合い自分を高めることが好きな人にはやりがいが出るでしょう。
また、建設業のように何もない所から新たなものを生み出すことにやりがいを感じる人にもおすすめです。
機械技術の進歩やAI化によりブルーカラーの仕事が減っていくことが予想されています。例えば、生産装置の自動化や自動レジの普及など、今まで手作業でおこなっていたものが自動化されるためです。しかし、仕事が減るのはブルーカラーだけでなくホワイトカラーも同様です。単純な事務処理や記帳代行業務などはAIによって自動化されるかもしれません。
むしろ、機械の修理やメンテナンスなどブルーカラーに多い仕事は、まだ人にしかできない業務も多くあります。なぜなら、人間の感覚が求められる作業を機械に置き換えるのには相当な時間や技術の進歩が必要だからです。そのためAI化に対してはブルーカラーのほうが強いともいわれています。
また、ブルーカラーは技術力をみがき、手に職をつけることで独立を目指すのも可能です。技術は人に依存し、人によってスキルのレベルも異なりますので、自分にしかできない技術を持てば、人生を通してかけがえのない武器になってくれます。周りからも頼りにされるのでしょう。もちろんそうなれば、収入面でも期待でき、ブルーカラーだから給与が低いとあきらめる必要もありません。
この記事ではブルーカラーの特徴やメリット・デメリット、働き方などを紹介しました。
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