2020.7.27

派遣法の3年ルールについて 派遣で3年以上は働けない?部署移動すれば3年以上働ける?

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派遣社員の仕事を探していて「3年ルール」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、派遣社員として働くなら知っておくべき重要なルールです。とはいえ、内容まではよく知らない方もいるでしょう。そこで、ここでは、3年ルールの概要やメリット、デメリット、適用されるケースとされないケースなどについて詳しく説明します。

1.派遣法の3年ルールって?

派遣社員として働く際に注意しておきたいことのひとつに「3年ルール(通称)」と呼ばれる決まりがあります。3年後の働き方に深く関わるものですので、内容をしっかり把握しておきましょう。

1-1.3年ルールとは?

2015年に労働者派遣法が改正され、基本的に派遣社員は「同じ事業所で3年を超えて働くことはできない」と定められました。これがいわゆる「3年ルール」です。この3年間という期間制限には、事業所単位と個人単位の2種類があります。どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。

#事業所単位の期間制限

同一の事業所の同じ部署における派遣社員の受け入れは最大でも3年までです。たとえば、派遣社員のBさんが来て1年間働いたあと、別の派遣社員Cさんが来たとしましょう。この場合、Cさんが働けるのは2年間となります。ただし、派遣先の過半数労働組合に対して意見聴取を行うことで期間を延長することは可能です。

#個人単位の期間制限

派遣社員は、同じ事業所の同じ部署で働けるのは最大で3年までとなります。3年経った派遣社員は、部署を異動するなりほかの派遣先を探すなり、ほかの働き方をしなければなりません。

1-2.抵触日とは?

3年ルールでは「抵触日」に注意する必要があります。抵触日とは、派遣社員が働き続けられる期間を超えて最初に来る日のことです。たとえば、抵触日が4月1日なら、その前日の3月31まで働けることになります。事業所単位の期間制限と個人単位の期間制限とで抵触日が変わることがあるため、注意が必要です。

#事業所単位の期間制限における抵触日

同一の事業所において派遣社員を受け入れてから3年経った日の翌日が抵触日です。たとえば、派遣社員のAさんを2015年4月1日に受け入れたとしましょう。すると、3年ルールで2018年3月31日まで働くことができ、抵触日は2018年4月1日になります。ここで、仮に派遣社員のBさんが2016年4月1日から勤め始めたとしましょう。すると、個人単位で考えれば2019年3月1日まで働けるはずです。しかし、実際には事業所単位の抵触日である2018年4月1日までしか働けません。

#個人単位の期間制限における抵触日

個人単位の期間制限における抵触日はシンプルです。個人が働き始めて3年経ったあと最初に来た日が抵触日となります。注意したいのは、上で述べたとおり、個人単位よりも事業所単位の期間制限のほうが優先される点です。個人単位の期間制限による抵触日が来なくても、3年未満で派遣期間が終了することもあります。

#抵触日を知る方法

通常は雇用契約書などに抵触日の記載があります。契約書が手元になかったり記載されていなかったりする場合は、派遣会社に問い合わせれば教えてもらえます。

2.3年ルールのメリット・デメリット

3年ルールには、派遣社員にとって良い面もあれば悪い面もあります。どのようなメリット、デメリットがあるのかを見ていきましょう。

・メリット

3年ルールの大きなメリットとして、3年後に正社員として派遣先企業に採用される可能性がある点が挙げられます。これまで述べたとおり、派遣社員は3年を超えて働き続けることはできません。しかし、派遣先企業が本人に継続して働いてほしいと希望し、本人がそれを了承すれば直接雇用することができます。これは、新しくほかの社員を受け入れて教育するよりも、3年働いて業務内容を理解している派遣社員を採用するほうが手間もコストもかからず、派遣先企業にとってもメリットがあるためです。

ただし、直接雇用といっても契約社員やパート社員のケースもあります。直接雇用を打診されたときは、契約条件を良く確かめることが大切です。

・デメリット

3年ルールの大きなデメリットとしては、同一の職場で3年以上働けない点が挙げられます。派遣先企業に正社員として採用されれば良いものの、そうでなければ3年ごとに職場を変わらなければなりません。さらに、事業所単位の期間制限にかかったときは、3年経っていなくても派遣期間が終わることがある点もデメリットです。

3.3年ルールが適用されるケース・適用されないケース

派遣社員といってもさまざまなパターンがあり、なかには3年ルールが適用されないケースもあります。ここでは、適用されるケースと適用されないケースとを見ていきましょう。

・3年ルールが適用されるケース

同じ事業所の同じ部署で働く有期雇用の派遣社員であれば、基本的に3年ルールの適用対象となります。

・3年ルールが適用されないケース

3年ルールの適用外となるケースには、以下のようなパターンがあります。

  • 無期雇用派遣契約を結んでいる
  • 年齢が60歳以上である
  • 期限のあるプロジェクトに従事している
  • 日数が限定されている業務に従事している
  • 産休や育休、介護休業をとっている社員の代わりとして働いている
  • 3年間の途中で部署を異動している

それぞれのケースを見ていきましょう。

#無期雇用派遣契約を結んでいる

派遣会社と無期雇用派遣契約を結んでいる場合は、問題なく3年を超えて働くことができます。

#年齢が60歳以上

有期雇用であっても、3年経つ時点で60歳以上の場合は3年ルールの適用外となります。たとえば、59歳で派遣社員として働き始め、62歳で抵触日を迎えたとしましょう。このとき、60歳を超えているので3年ルールの適用外となるのです。

#期限のあるプロジェクトに従事している

終わる期日が明確なプロジェクトに派遣されて働いている場合、3年ルールは適用されません。たとえば、5年間の期限があるプロジェクトに携わっている場合、3年を超えてプロジェクトの終わりまで働くことが可能です。

#日数が限定されている業務に従事している

1カ月の勤務日数が以下のいずれにも当てはまる場合、3年ルールの対象外です。

  • 10日以下である
  • 通常の労働者の半分以下である
#産休や育休、介護休業をとっている社員の代わりとして働いている

休暇や休業を取得している社員の代わりとして業務を担当している場合も、3年ルールは適用されません。

#3年間の途中で部署を異動している

派遣社員として働き始めてから3年の期間中に部署を異動した場合、カウントはリセットされます。たとえば、A社の経理課で2年勤めたあと、同じ会社の総務課に異動したとしましょう。すると、経理課での2年間はリセットされ、総務課で働き始めた日の3年後に抵触日を迎えることになります。

4.3年ルール適用後の働き方

基本的に派遣社員には3年ルールが適用されるため、抵触日を迎えたらどうするか考えておくことが大切です。ここでは、3年後のさまざまな働き方や対処法、同じ職場で続けて働く方法などについて説明します。

4-1.3年ルール適用後はどうすればいい?

3年ルール適用後は、次のような働き方・対処法が考えられます。

  • 派遣先企業を変えて就業する
  • 同一の会社で部署だけ異動させてもらう
  • 転職活動をする
  • 派遣先企業に直接雇用してもらう
  • 派遣会社と無期雇用派遣契約を結ぶ
  • クーリング期間をあいだに入れる

それぞれ見ていきましょう。

#派遣先企業を変えて就業する

最も一般的なのが、派遣会社に別の派遣先を紹介してもらい、就業するパターンです。希望条件や経歴に合った職場を紹介してもらいましょう。

#同一の会社で部署だけ異動させてもらう

先に述べたとおり、部署を異動すれば期限のカウントがリセットされます。派遣会社の担当者に相談し、部署の異動が可能か派遣先企業に確認してもらいましょう。

#転職活動をする

派遣社員として働くことはやめ、正社員を目指して転職活動をする方法もあります。退職して、学校に通って資格を取ったり事業を始めたりするのもひとつの方法でしょう。

#派遣先企業に直接雇用してもらう

すでに述べたとおり、直接雇用してもらえれば、同じ職場で働き続けることが可能です。派遣会社は派遣労働者の雇用が安定するように努める義務があります。派遣会社に相談して、直接雇用が可能か派遣先企業に打診してもらうと良いでしょう。

#派遣会社と無期雇用派遣契約を結ぶ

無期雇用派遣契約を締結すれば3年ルールの適用外となり、働き続けられます。

#クーリング期間をあいだに入れる

3年の期間制限は、あいだに「クーリング期間」と呼ばれる空白の時期を入れるとリセットされます。クーリング期間は、個人単位・事業所単位のいずれの場合も「3カ月と1日以上」と定められています。つまり、3年間働いたあとに3カ月と1日の期間を空ければ、同一の職場でさらに3年間働くことが可能です。ただし、この方法はキャリアアップの観点からあまり望ましくないとされています。

4-2.3年ルール適用後も同じ部署で働くには?

職場を変わると新しく覚えなければならないことも多く、人間関係も最初から構築しなければなりません。できれば同じ職場で働き続けたい方も多いのではないでしょうか。3年ルール適用後も同じ部署で働きたい場合、次の方法が考えられます。

  • 派遣先企業に直接雇用してもらう
  • 無期雇用の派遣社員になる

それぞれの場合において、注意すべきポイントを紹介しましょう。

#派遣先企業に直接雇用してもらう

派遣先企業に直接雇用してもらうためには「有用な人材である」「直接雇用してでも働き続けてほしい」と思わせる必要があります。まじめに勤務し、真摯な姿勢で業務に取り組むことが大切です。業務に必要な資格を取得するなど、意欲をアピールするのも良いでしょう。

#無期雇用の派遣社員になる

無期雇用の派遣社員は3年ルールの対象外です。そのため、3年の縛りなく同じ職場で働き続けられます。ただし、派遣先企業がこれ以上派遣社員を必要としなくなったときは、その職場で働き続けることはできないので注意しましょう。その場合も、派遣会社との雇用関係は続いているため収入は保証され、次の職場も紹介してもらえます。

派遣社員として働くなら3年ルールをしっかり把握しておこう

派遣社員として働くのであれば、必ず理解しておきたいのが「3年ルール」です。基本的に有期雇用のすべての派遣社員に適用され、同一の部署では最大でも3年間しか働けません。そのときになって慌てないように、しっかりルールを理解しておきましょう。工場求人を探しているなら、はたらくヨロコビ.com(https://www.894651.com/)が役立ちます。派遣をはじめ正社員や期間工の求人も豊富にあるので、ぜひサイトを訪れてみてはいかがでしょうか。