2020.7.27

派遣で働くなら知っておきたい、5年ルールと無期雇用について

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派遣として働く方なら「5年ルール」や「無期雇用」というのを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。雇用契約を結んで働く派遣の方にとって重要な雇用期間について定められたもので、今後の働き方を考えるうえでも理解しておきたい制度です。今回はこの2つの制度についてそれぞれ詳しく紹介していきます。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

1.5年ルールとは?

派遣として働くうえで知っておきたい制度のひとつに「5年ルール」というものがあります。このルールは、派遣として5年働くと契約期間の変更が可能になるというルールです。有期契約の派遣社員として働く方にとって、これからの働き方を左右するものといっても過言ではないため理解しておくようにしましょう。

1-1.5年ルールの概要を説明

5年ルールとは、労働契約法によって定められた法律のことです。2013年4月に改正されたこの法律によって、労働期間が通算で5年以上の有期契約労働者については、派遣元との契約を無期雇用に切り替えることが可能になりました。この制度は派遣社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員など有期契約を結んでいる方であれば適用されます。条件を満たした有期契約労働者から無期雇用の申請があった場合、派遣元はこれを断ることはできません。ただし、労働者側からの変更申請については強制ではないため、契約の切り替えをするか否かは労働者が自由に決めることが可能です。

なお、定年後に引き続き再雇用した場合には無期雇用申請の対象外となります。また、5年を超えるプロジェクトで、完了までの期間が決まっている場合の高度専門職については特例が認められ、無期雇用申請が可能になる期間を10年まで延長することが可能です。

1-2.3年ルールとの違い

派遣には「5年ルール」と並び「3年ルール」というものも存在します。これは2015年9月に改正された労働者派遣法によって定められた法律のことです。この法律により、派遣社員は同一の派遣先で3年以上働くことができなくなりました。派遣だけでなく有期契約を結ぶ労働者であれば適用される5年ルールとは異なり、3年ルールは派遣社員にのみ適用される制度です。このルールは派遣社員の労働期間に対する決まりであるため、仮に派遣元を変えたとしても派遣先が同じであれば適用となります。3年を過ぎると派遣元は派遣先に対して直接雇用を依頼するか、無期雇用への変更が必要です。

3年ルールにも対象外となるケースがあり、先述したとおり派遣元で無期雇用契約を結んでいる場合や、60歳以上の方の場合は適用されません。また、育休や産休を取得した方の代わりとして派遣されるケースや、業務完了までの期間が3年に満たない場合、1カ月の稼働日数が通常の半分以下かつ10日以下である場合は3年ルールには該当しないため注意しましょう。

2.無期雇用とは?

同じ派遣元にいる場合、労働者が無期雇用への変更を希望すれば契約を切り替えることが可能です。無期雇用へ変更した場合、一定期間での契約更新が必要なくなるため、同じ派遣先で長く働きたいと考える方にとってはぜひ利用したい制度と言えるでしょう。しかし、無期雇用はあくまでも期間に対して適用されるもののため、働き方によっては無期雇用への切り替えが逆にデメリットとなってしまう可能性もあります。

また、有期契約の派遣社員として働いた経験がない方でも、求人を募集している派遣会社に応募して採用されれば無期雇用として勤務することは可能です。ただし、その場合は派遣会社の採用試験や面接を受ける必要があります。試験での評価が基準に満たない場合には選考に落ちてしまうため、一般的な就職試験と同様に学歴や職歴などのほか、即戦力になるスキルや自己アピールなどが重要になることを覚えておきましょう。

2-1.無期雇用のメリット・デメリット

契約更新をする必要がなくなり安定して働くことができる無期雇用は、一見すると労働者にとってメリットの多い有利な契約にも見えますが、働き方や条件によってはデメリットになってしまうこともあるため注意が必要です。派遣社員として無期雇用契約を結ぶ際には、自分の状況や希望する条件などと照らし合わせてから考えるようにしましょう。ここからは、無期雇用のメリットとデメリットについて詳しく紹介します。

・メリット

無期雇用の大きなメリットとして、契約を切られる心配がなくなることが挙げられます。契約更新をする必要がなくなり、3年ルールによって派遣先を変える必要もなくなるため、次の職場を探す手間もなく安定して働くことが可能です。また、無期雇用は一般的に月給制であることが多く、万が一派遣先が決まらない場合でも、派遣元と無期雇用の契約を開始した時点から給与は支給されるため、収入面での安定も望めるでしょう。

無期雇用は期間を気にすることなく働けることから、業務の幅が広がり、キャリアアップを目指すことも可能です。派遣会社では、派遣社員に対してキャリア形成のための研修を行ったり、相談できる環境を整えたりすることが法律で義務付けられています。一定期間で契約を切られることなくキャリアを積みたい方にとって、無期雇用はメリットの多い働き方と言えるでしょう。

・デメリット

無期雇用では安定して働くことができる一方で、派遣社員ならではの自由な働き方ができなくなるというデメリットがあります。自分で職場を選んだり、任意の期間のみ働いたりということは基本的に難しくなるでしょう。昇進や昇給の機会も多いとは言えないため、長期的に働いていくなかでモチベーションを保つのが難しく感じるかもしれません。業務内容は変わらずとも有期契約時より責任が重くなったり、仕事量が増えたりすることも考えられます。また、固定された条件で勤務する無期雇用の派遣社員は、企業側からは正社員として採用するメリットが少ないため、正社員への転換がしにくい場合も多いです。

派遣会社によっては勤務先を変更されることや、希望していない職場に派遣されることもあり、それに伴う転勤や引っ越しの可能性もあります。自分の状況やライフスタイルに合わせた自由な雇用形態を希望する方にとって、継続した勤務が求められる無期雇用は合わない面も多いかもしれません。

2-2.無期雇用に転換するためには

無期雇用契約で働くためには2通りの方法があります。1つ目は無期雇用の派遣社員を募集している派遣会社に採用されることです。この方法は派遣社員としての経験がない場合でも、採用されればすぐに無期雇用契約で働くことができます。しかし、採用基準は厳しいことが多く、選考に落ちてしまうケースも少なくありません。2つ目は有期契約の派遣社員として勤務した経験があり、いくつかの条件を満たしたうえで無期雇用への転換を申請する方法です。この方法では、条件を満たしていれば労働者の希望次第で無期雇用に転換することが可能です。

どちらも簡単な方法とは言えませんが、派遣社員として働く場合には選択肢のひとつとして、無期雇用になるための条件について確認しておくと良いでしょう。ここからは、有期契約で働く方が無期雇用に転換するための必要な条件についてひとつずつ紹介していきます。

・同一の派遣先で5年以上働いている

1つ目の条件は「同一の派遣先で5年以上働いている」ことです。この条件を満たすためには、同じ派遣先と結んだ労働契約が通算で5年以上あり、5年間同じ部署で同じ業務に携わっている必要があります。違う部署や業務に携わっていた期間があった場合、その期間は通算することができません。契約期間と契約期間のあいだに勤務していない期間があった場合には、6カ月以内であれば通算することが可能です。ただし、勤務していない期間が6カ月以上である場合や、労働契約法が施行されるより前の労働期間については通算することができないため注意しましょう。

労働契約法は2013年4月1より施行されたため、その日以降から契約を開始した労働期間についての通算期間が5年以上ある場合に限ります。契約更新を行った時点で契約満了までの見込み期間が5年を超えていれば、無期雇用への申請が可能です。無期雇用契約は有期契約が満了した翌日から開始されます。

・派遣社員が派遣先に対して無期雇用を打診している

2つ目は「派遣社員が派遣先に対して無期雇用を打診している」ことです。無期雇用への転換は派遣社員からの申し出がない限り行われず、有期契約で勤務する労働者から申請があった場合、派遣元はこれを断ることはできません。申請があった時点で無期雇用の契約は成立し、有期契約で勤務中の場合は満了日の翌日から適用されます。無期雇用への転換申請は口頭でも問題ありませんが、トラブルを防ぐためにも書面で行ったほうが良いでしょう。

・契約更新が1回以上行われている

3つ目は「契約更新が1回以上行われている」ことです。同一の派遣先で有期契約の更新が1回以上あれば問題ありませんが、仮に通算した労働期間が5年以上あるという方でも、更新が1回も行われていない場合には無期雇用への転換ができないため注意しましょう。

2-3.無期雇用と正社員の違い

無期雇用と正社員を同じものとして考える方も多いようです。無期雇用契約はあくまでも雇用期間についての契約になるため、待遇面などは以前と変わらないことが多く、派遣会社によっては時給制のままというケースもあります。給与や賞与、福利厚生などについても派遣元に準じるため、派遣先の業績によって左右されることは基本的にありません。

また、有期契約時よりも同じ職場で安定して働くことができるとはいえ、正社員ほど安定しているとは言えません。無期雇用といっても派遣社員であることは変わらないため、派遣先から契約を解除されたり、派遣先と派遣元との契約が満了したりするなどの場合には派遣先が変わってしまうことも考慮しておきましょう。

ルールを理解して自分にあった働き方を選ぼう

「5年ルール」や「無期雇用」は派遣として働く方の雇用安定を図るための制度です。しかし、条件次第ではメリットよりもデメリットが多くなってしまうケースも少なくありません。希望する働き方を考慮したうえで、自分に合った雇用形態を選ぶようにしましょう。はたらくヨロコビ.com(https://www.894651.com/)では、ものづくりに携わりたい方に最適な求人情報を提供します。ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。