2020.4.20

派遣社員でも有給休暇は取れるの?日数やルールについて解説

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派遣社員として働くことを視野に入れていると、待遇面で気になることも多いはずです。そのひとつが「派遣社員も有給休暇の取得ができるのか」ではないでしょうか。また、たとえ有給休暇を取れたとしても、申し出にくいのではないかと心配な方もいるでしょう。そこで、この記事では、有給休暇の概要とともに、派遣社員が有給休暇を取るときのポイントについて詳しく解説します。

1.派遣社員でも有給休暇はもらえる

有給休暇はその企業に直接雇われている正社員だけがもらえるものだと考えている方もいるかもしれません。しかし、実際には有給休暇は派遣社員でも取得することができます。有給休暇は正式名を「年次有給休暇」といい、一定の条件を満たしていれば当然取得できる労働者の権利なのです。労働者に有給休暇を取得させるのは疲労回復や心身のリフレッシュのためのほか、生きがいのある生活を実現させるための目的もあります。これらの目的は正社員だけに限らず、パートやアルバイト勤務のスタッフ、派遣社員でも同じです。有給休暇が取得できれば労働者は仕事を休んでも、その日の給料は保証されます。

ただ、厚生労働省が発表した「平成 28 年就労条件総合調査の概況」によると、有給休暇の取得率は48.7%しかありません。前年の調査も47.6%という結果であり、せっかく有給休暇を取得できることが保証されていても、実際に取得できているのは半分程度だということが見て取れます。業種によっては70%を超えるところもあるものの、取得率の低いところでは40%にすら満たないところもあるのが実情でした。政府は働き方改革などを進めるなかで労働基準法を改正し、2019年4月からは全ての企業で年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の年次有給休暇を確実に取得させるよう定めました。

2.有給休暇が付与されるルールと日数

有給休暇が付与される条件としては2点あります。まず、その企業に入社してから6カ月間継続して勤務していることが必要です。そのうえで、全労働日の8割以上を出勤していなければなりません。全労働日の8割以上の出勤として算出する日数では、最初から就業規則などで所定の休日として定められている休みは除きます。たとえば、週休二日の勤務で土日が休みの場合、土曜日と日曜日の休みはカウントせず、それ以外に休んだ日数で8割以上出勤しているかどうか判断します。所定の労働日や休日については、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されているので確認しましょう。

入社後6カ月継続勤務し、なおかつ全労働日の8割以上勤務という条件を満たせば有給休暇が10日付与されます。その後、さらに入社後1年6カ月になると11日、2年6カ月で12日と、1年経つごとに付与される有給休暇が1日ずつ増えます。それ以上になると、3年6カ月で14日、4年6カ月で16日、5年6カ月で18日、6年6カ月で20日と2日ずつ付与される日数が増える計算です。この条件で有給休暇の付与を受けるためには、所定労働日数が週5日以上、所定労働時間数が週30時間以上という条件を満たしている必要があります。

ただし、所定労働日数や労働時間が少ないパートタイムやアルバイト勤務でも有給休暇の取得が可能です。パートタイムやアルバイトなどの労働者に対しては「年次有給休暇の比例付与」という制度によって労働日数に応じた有給休暇の日数計算をするため、フルタイムの労働者とは異なることを注意しておく必要があります。付与された有給休暇を効率よく消化してしまえれば問題ありませんが、なかなか取得できないこともあるでしょう。有給休暇は1年ごとに評価・付与されるものですが、もし未消化のまま残ってしまった有給休暇がある場合は、翌年に持ち越すことが可能です。

たとえば、10日ある分の有給休暇を7日しか消化しなかった場合、残り3日分を持ち越し、次年度新たに付与される11日分と合わせて次年度に14日分有給休暇を取得できるということです。ただし、有給休暇には2年の有効期限があり、付与された有給休暇を際限なく溜めておけるわけではないことを気に留めておく必要があります。

3.派遣社員の有給休暇取得までの流れ

有給休暇が付与されるかどうかの判定は継続して6カ月経ってからです。6カ月経った時点で継続勤務や8割以上の勤務という条件を満たしていれば有給は発生しますが、実際に有給休暇の取得ができるのはさらにその翌月からになります。正社員として企業に直接雇用されている場合は、有給休暇の取得を直接働いている企業に申し出ます。しかし、派遣社員の場合、派遣先企業はあくまでも就業場所というだけであって、雇用関係を結んでいません。派遣社員が雇用されているのは派遣元企業であるため、有給休暇の取得申請も派遣元企業に対して行います。派遣元企業に決まった書式の有給休暇届出書などがあれば、必要事項を記入して所定の手続きを取ることになります。

ただし、実際に毎日仕事をしているのは派遣先企業ですから、派遣先に対して全くなにも伝えなくていいわけではありません。有給休暇自体は、希望すれば原則としていつでも取得することが可能です。しかし、企業は代わりの出勤者を確保できない場合や、その日に休めば正常な業務遂行が妨げられるという場合は、労働者に有給休暇の取得日をずらしてもらえるよう求められる時季変更権があります。特に、急な有給休暇の取得申請は、さまざまな調整が間に合わないことも考えられます。そのため、有給休暇を取得したいと考えているときは、あらかじめ派遣先企業に対しても伝えておくのがマナーだといえるでしょう。

4.有給休暇の取得理由は伝えるべき?

有給休暇は、正社員はもちろん、パートタイムやアルバイトのスタッフでも派遣社員でも、当然に取ることができる労働者の権利です。しかも、本来は心身のリフレッシュや生きがいある生活の実現などを目的としていることあり、特に有給休暇を取得する際の理由について伝える義務はありません。単に休みを取ってゆっくり過ごしたいというときや、家族・友人と一緒に旅行に出かけるときに有給休暇を使っても、制度上何ら問題はないのです。

5.有給休暇が取得しにくい場合は

労働者の権利とはいえ、ほかの従業員が働いているなかで、自分だけが単なるリフレッシュや遊びに出かけるために有給休暇を取得するのは気が引けるという方も多いかもしれません。また、職場の業務の流れや時期的な問題で有給休暇を取得しにくいタイミングの場合もあります。たまたま近い時期に同じ職場の人が有給休暇を取得しているときなども、取りにくいと考えてしまうケースです。

有給休暇を取得する際に使いやすい理由としては次のようなものがあります。

・友人(または親戚など)の結婚式があるため、有給を取らせていただきたいです。
・家族の行事や親戚の集まりで顔を出さなければならないので有給を取らせてください。
・お世話になった方のお見舞いに行きたいので、この日は有給にさせていただいてよろしいでしょうか。
・地域の活動に参加しなければならないため、有給を取らせてください。
・役所での手続きが必要なので、できれば有給を取らせていただいて行きたいです。
・修理や工事、点検などにきてくれるため、この日は有給を取らせていただけますか。

就業規則などで虚偽の報告が懲戒の対象になっていなければ、有給休暇の取得理由について嘘の内容を伝えても特に罰せられることはないかもしれません。しかし、嘘をついたばかりにつじつまが合わなくなる可能性はあります。また、家族の行事や親戚の集まりなどは、何度も使うと取りづらくなることも考えられます。あまり使いすぎると本当にその理由で休みを取りたいときに取れないという事態に陥ることもあるため、使用頻度は考える必要があるでしょう。特に詳しい内容を伝えなくてもいい場合は、あえて理由を明らかにする必要はありませんし、届出書にも「私用のため」と記載しておけば大丈夫です。

6.派遣先が変わると有給休暇はリセットされる?

派遣社員として働く場合、正社員のようにずっと同じ職場で働き続けることは少ないといえます。2~3年など、ある程度継続して同じ派遣先に勤務することはあるものの、なかには数カ月の短期間だけ働く派遣先もあるのではないでしょうか。派遣社員としては派遣先が変わった場合、有給休暇の取得可能な日数がリセットされてしまうのかどうか気になるところです。派遣社員の雇用主は派遣先企業ではなく、派遣元企業です。そのため、派遣先が変わったとしても、有給休暇は消滅しません。

ただし、有給休暇の取得条件としては継続して勤務していることが必要になります。派遣社員の場合、ひとつの派遣先での仕事が終了したあと、次の派遣先に就業するまでの空白期間が規定を超えると有給休暇が消滅してしまいます。就業規定は派遣会社によって異なり、なかには空白期間が3カ月超のところもありますが、1カ月超としているところが多いです。空白期間が規定内の場合は派遣先が変わっても有給休暇はリセットされないため、派遣社員でも勤務の継続期間が6カ月を過ぎれば10日、1年6カ月になれば11日と、正社員と同じように年数が経過するごとに有給休暇の付与日数が増えます。

しかし、空白期間が規定を超えてしまうと有給休暇のカウントは初年度の10日からに戻ってしまうため、派遣先が変わるときの空白期間には注意が必要です。

7.当日の有給休暇取得は可能?

風邪を引いて休みを取りたいときや、子どもが急に体調を崩して保育園や幼稚園を休ませなくてはならなくなった場合など、当日の休みを有給休暇にすることはできるのでしょうか。有給休暇として認めてもらえるかどうかは、実際のところ企業によります。企業は自社の業務を滞りなく遂行するために、常に必要なだけの人材を充てています。そのため、有給休暇取得の申し出があって誰かが休むことになると、その穴を埋めなければなりません。企業はスタッフの勤務時間を調整したり、代替の労働者を探したりなど、さまざまな調整を行ってその日のために対応します。

しかし、急に当日になって有給休暇を取得したいといっても、すぐに対応するには無理があることも多いはずです。もちろん、どうしても休まなければならない急用や急病のときは、休ませてもらうことができるでしょう。ただ、先にも述べたように、有給休暇の取得に関しては時季変更権がありますから、企業は突然有給取得を申し出られた場合、拒否することができるのです。休ませてもらうことはできても、有給休暇としては認めてもらえない可能性があることを心得ておきましょう。

企業によっては確かに当日の有給休暇を承諾してくれるところもあります。しかし、それは温情で認めてくれただけや、その企業がたまたま従業員に温かい対応をしてくれるだけかもしれません。有給休暇は前もって申請することを義務付けているところがほとんどです。

制度をしっかり把握して派遣社員でも効率よく有給休暇の取得を!

有給休暇は労働者に与えられている権利であり、それは派遣社員であっても同じです。ただ、有給休暇の付与には決まりがあり、日数も勤続年数によって違いがあります。また、派遣社員の場合、空白期間の問題や届け出は派遣元企業にしなければならないなど、実際に有給休暇を取得する際には知っておくべきことがいくつかあります。有給休暇の制度をしっかり把握し、効率よく有給休暇を取得できるようにしましょう。