派遣先の会社を辞めるときは何からしたらいい?評価が下がらない方法を解説
どうしても派遣先で納得できないことがあったとき、派遣社員は派遣元に訴えれば職場を変えてもらえます。ただし、「根気のない人だ」と評価を下げられるリスクもゼロといえないので、派遣先を辞める際には申し出る方法に注意しましょう。この記事では、派遣先を辞めたいとき、評価が下がりにくい方法について解説をしていきます。
勤めていた派遣先を辞めたくなったら、まずは派遣元に話します。直接、派遣先に話すのは厳禁です。なぜなら派遣社員の雇い主は派遣先ではなく派遣元だからです。いきなり派遣先に「辞めたい」と持ちかけたところで、どうしようもありません。派遣元の担当者なら理由を聞き、相談に乗ってくれます。話した後、派遣元から慰留される可能性も少なくありません。派遣先と派遣元は人材の数、契約期間を調整して現場を成り立たせています。そこに想定外の欠員を出すわけですから、積極的に受け入れてくれないのも当然です。派遣元と話をしてすっきりできれば、そのまま現場に留まるのもひとつの方法です。
ただ、決意が固いのならしっかり「辞めたい理由」を話しましょう。事情が深刻で、慰留が難しいと判断すれば派遣元も希望をくみ取ってくれます。そして、派遣元と派遣先の間で交渉が始まります。派遣社員に派遣先から連絡が来ることはありません。辞めたい意思が受け入れられるかどうかは、あくまで両者間の話し合いにかかっている形です。ただ、マナーとして派遣社員から派遣先の上司に伝えておくようにはするべきです。もしも派遣先が事情を認め、了承したのであれば派遣社員に派遣元から報告があります。そのときまで辛抱強く待ちましょう。
なお、辞めたい旨を伝える際には、次回更新の1カ月前までにするのが得策ですなぜなら、派遣元で行われる手続きの量が増えてしまうからです。派遣元からすれば問題なく更新できると思っていたにもかかわらず、急に「やはり辞めたい」と言われるとあわてて書類や登録内容を変更しなくてはなりません。その結果、「自分勝手な派遣社員」という評価を与えられてしまいます。1カ月前までなら契約更新の準備も本格的に始まっていないので、派遣元の負担もそれほど大きくありません。派遣社員からの申し出にも唐突な印象がなく、余裕を持って手続きを進めてくれます。
現在の職場への不満が蓄積されていくと、「今すぐにでも辞めたい」という発想になります。ただ、派遣社員は契約満了前に辞めることが原則的にできません。派遣社員は派遣元と交わした契約内容により、一定期間は同じ職場で働かなければならないと定められています。通常、職場を変えたいのであれば契約期間満了が近づいてきたときに、更新の意思がないことを派遣元に伝えます。そして、満了とともに派遣先を辞めるのがスマートな方法です。
ただし、派遣社員には原則外が適用されることもあります。民法第628条によれば、「やむをえない事情があるならば、当事者同士の合意のもと、契約期間内でも解除できる」という旨が定められています。つまり、派遣社員が契約期間内に「辞めたい」と名乗り出たとき、派遣元がそれを認めさえすれば契約解除の手続きができるのです。なお、契約期間内に辞める場合、「損害賠償を請求されるのではないか」と怖がっている人もいるでしょう。確かに、契約解除の理由が派遣社員の一方的な過失にあった場合、損害賠償を請求される恐れもあります。
ただ、こうしたケースは非常に例外的であり、派遣元と派遣先が納得して、代わりの人材も見つかったのであればすんなりと受け入れてもらえることが大半です。派遣先で貸してもらった道具を返さないなどの問題を起こさない限り、金銭を支払うような事態にはならないでしょう。
派遣先を辞めたくなったときには、理由を派遣元に告げなくてはなりません。この部分が上手く説明できない場合、単にわがままを言っていると解釈されてしまいます。自分がなぜ辞めたいのか、深く分析してから派遣元に相談しましょう。たとえば、「人間関係が悪い」のは多くの派遣社員が口にする理由です。正社員が派遣社員やアルバイトに厳しくあたっていたり、そもそも社員同士の中が良好でなかったりする職場では精神衛生を汚染されていきます。そのうえ、パワハラやセクハラまで横行しているともなれば、一刻も早く脱出することが大事です。
次に、「心身の健康」により、仕事そのものが難しくなってしまうケースもあります。より体力的な負担の少ない職場や、ストレスを感じなくてすむ職場に変わることが求められます。よほど健康状態が悪化しているときには、しばらく仕事から遠ざからなければなりません。このとき、医師の診断書があれば派遣元を説得しやすくなります。
「契約内容と異なる業務をやらされる」のも深刻な理由です。派遣社員は求人要綱や説明会で知った業務内容を求め、派遣元へ登録しています。契約書によっても業務内容は約束されているはずです。それなのに、かけ離れた業務ばかり任されるのであれば契約違反に該当します。無理をして続ける意義はないといえるでしょう。また、賃金や労働時間に疑問を感じた際にも、派遣元へと相談するのが得策です。
そして、「スキル不足」で辞めたいと思う方もいるでしょう。このように書けば、さも本人の責任のようにも見えます。ただし、実際は派遣先とのミスマッチが生じただけであり、別の職場だと能力を発揮できる可能性も残されています。それなのに、無理をして苦手分野の職場に留まるのは本人と派遣先、双方のためになりません。より適性の高い職場に変えてもらって、充実した仕事に就くほうが賢明な判断です。そのほか、「結婚や出産」「親の介護」など、生活環境の変化で働きにくくなることもありえます。いずれにせよ、派遣先に説明する際は、要点をしぼって納得してもらえる理由を挙げましょう。
辞める決意を固めたら、派遣元にその旨を報告しなければなりません。このとき、もっとも適した手段は「担当者に直接会うこと」です。派遣元は計画を狂わせないので、できれば派遣社員を慰留したいと考えます。また、契約期間内の申し入れに対しては、派遣社員に対してネガティブな感情を抱いてしまうことも珍しくありません。しかし、直接自分と言葉で伝えれば、派遣社員の真剣さを派遣元にも伝えられます。それに、担当者の表情を見ながら話せるのもメリットです。場の空気を読みながら交渉できるので、ささいな言葉で相手を怒らせるような失態を防げます。
担当者とのスケジュールが合わなければ、電話で辞めたいという旨を申し出ることとなります。電話であっても直接話すときと注意点は変わりません。真剣に「正当な理由があって辞めたい」と伝わるよう、誠意をこめて話しましょう。ただし、電話では自分の表情や雰囲気が相手に見えなくなります。顔を見れば正確に伝わるニュアンスも誤解される危険が出てきます。そこで、言葉を慎重に選び、礼儀正しく話すことを心がけるべきです。また、相手の話をさえぎったり、一方的にまくしたてたりするのも厳禁です。しっかり相手の言葉にも耳を傾けたうえで、「お話は分かるのですが、私にも事情がありまして」と否定的な表現を避けて話します。
時間がないのであれば、最悪の場合、メールを送ってもかまいません。その代わり、メールはもっとも内容を誤解されやすいので、最終手段だと考えておきましょう。メールの文面はビジネスのルールに則り、「~様」などの敬称、「お世話になっております」といった挨拶を必ず含めます。最後は「よろしくお願いいたします」と署名で終わらせることも忘れてはなりません。必要以上の言い訳はせず、簡潔に要点と迷惑をかけることの謝罪を盛り込みます。
結論から言うと、契約途中で辞めたからといって派遣社員の評価が必ずしも下がるとは限りません。なぜなら、派遣先に明らかな問題があるケースも多いからです。そのような場合、派遣元はむしろ積極的に派遣社員を守ってくれるので、評価は仕事を始める前と変わりません。ただ、そうなるには派遣社員から派遣元に納得できる説明をする必要が生じます。確かに、契約期間内で辞めたいと申し出るのは勇気がいります。派遣元からの慰留を聞くのが嫌だという方もいるでしょう。しかし、それを避けようと一方的に辞めてしまえば、高確率で評価は下がってしまいます。
話し合いの際に、嘘の理由を伝えるのは厳禁です。ただ、ネガティブな理由ならポジティブに聞こえるよう工夫しましょう。「派遣先で残業ばかりさせられる」と言えば、単に怠けたいだけのようにも解釈できます。しかし、「契約書にない業務が多く、予定を狂わされている」のように話せば、派遣社員側の正当性をアピールできます。また、具体的に起こった問題を挙げるのも得策です。日時や状況を説明しながら「だから、もう辞めたい」と伝えれば説得力が増すでしょう。
避けたいのは、派遣社員に問題があると派遣元から思われることです。たとえば、派遣先や同僚の悪口は厳禁です。事実であったとしても、場所や人物の評価は主観に委ねられています。派遣元には確かめようがなく、単に「人の悪口を平気で言う人だ」と思われて終わりかねません。また、職場が変わるたび「辞めたい」と口にするのも気をつけましょう。最初は深刻に受け止めてくれた担当者も、繰り返されるうちに「本人の問題ではないのか」と考え直していきます。派遣元からの評価が下がれば今後、希望する仕事を紹介してもらいにくくなるので要注意です。
派遣先の現場がまったく合わず、辞めたくなるのは決して本人の問題といえません。仕事がミスマッチだったり、派遣先に非があったりするなら、むしろ早く現場を変えてもらったほうがのびのびと働けます。ただし、派遣社員の辞め方には正しい手順があります。派遣先にも派遣元にも迷惑がかからない方法で、辞めたい意思を伝えましょう。