2020.4.6

派遣社員が無断欠勤をするとどうなる?

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企業で働く以上、致し方ない理由で休まざるをえないときは連絡をするべきです。もしも連絡なしで休んでしまうと「無断欠勤扱い」となります。そして、何らかのペナルティを科せられるケースも少なくないのです。派遣社員もまた、無断欠勤には注意しなくてはなりません。この記事では、派遣社員の無断欠勤について解説していきます。

1.無断欠勤当日におこること

派遣社員のなかには「無断欠勤くらい大きな問題ではない」と考えている人もいるでしょう。ただ、本当に無断欠勤をしてしまうとさまざまな人に迷惑がかかります。欠勤当日に想定される事態を把握しておけば、どれだけの影響があるのか理解できます。まず、派遣先から現場スタッフへと連絡が入ります。「今日仕事を任せるはずだった人が来ていない。どうなっているのか」と確認されるのです。この時点で、無断欠勤が判明します。そこで、派遣先は派遣元へと連絡を入れます。事情を説明し、どのような理由や状況で欠勤しているのかが調べられます。つまり、派遣先はもちろん、派遣元にも無断欠勤はすぐ伝わってしまうのです。

派遣元は早急に無断欠勤している派遣社員へと連絡を入れます。もしもつながらなければ、あらかじめ伝えておいた緊急連絡先にも連絡がなされます。派遣社員の実家に電話がかかってくることも珍しくありません。ここで連絡がつけば、遅刻になってもすぐ出勤するよう要請される場合があります。ただ、どうしても連絡がとれないなら、その派遣社員をあきらめるしかありません。そうとはいえ、派遣先に穴は空けられないので、代替要員を探すこととなります。もしも都合がついた人材がいれば、とりあえずはその派遣社員が現場へと送られます。

ただ、これで終わりではありません。派遣元はなぜこのような事態になったのかを探る必要があります。派遣元の社員が自宅にまで訪問してくることもあり「黙って休んでも何も言われないだろう」という考え方は甘いと言えます。

2.無断欠勤による処罰

原則として、派遣元は契約時に「契約を自動更新する」といった条件を提示できません。派遣元と派遣社員に合意があった場合だけ自動更新となります。ほとんどの場合、契約期間が決められていて満了とともに職場を移ることとなります。ただ、派遣社員の働きが認められたときなどは、契約期間が終わっても更新される可能性はあるでしょう。そのため、契約更新を目指して日々努力している派遣社員も少なくありません。

ただし、問題行動を起こすような社員を派遣元は雇いたいとは思わないので、厳しく勤務態度が評価されています。無断欠勤のようなトラブルがあると、契約更新は難しくなるでしょう。それどころか、すぐさま契約解除される恐れすらあります。契約書に「勤務態度が著しく悪い場合、即座に契約解除できる」などの文言があれば、無断欠勤は致命的となりえます。

一方、派遣先から損害賠償を求められるようなことはほぼありません。厚生労働省の「解雇制限」によって定められているからです。無断欠勤によって金銭的なペナルティを科せられる可能性は少ないと言えます。ただ、欠勤することで給料は減るため、実質上、本人の負担になっている状態です。また、現場への出勤停止が命じられる場合もあり、経済的にダメージを負ってしまいます。そのうえ、派遣元からの評価が大きく下がるのも問題です。今後、希望する仕事を紹介してもらえなくなることは多いでしょう。それどころか、仕事自体を振られなくなってしまい、別の収入源を探さなくてはいけない状況にまで追い込まれかねないのです。

3.損害賠償につながる可能性もある

派遣社員が無断欠勤をしても、損害賠償を請求される可能性はそれほど高くありません。ただ、あくまでも「高くない」というだけで、状況によっては金銭的な賠償を求められるケースもありえます。たとえば「貸与品を返却しなかった」ときです。派遣先、派遣元によっては現場へと送り込む際、道具や制服を支給しています。制服が必要な現場もありますし、工事現場のヘルメットや工具なども貸与品にあたります。これらのアイテムは高額になることもあるので、期間が満了すれば派遣先や派遣元に返却しなければなりません。そして、新しく来た社員にまた貸し出されます。

しかし、無断欠勤をしてそのまま現場に行かなくなると、貸与品を現場から持ち出したままとなってしまいます。本当の持ち主からすれば、大切な仕事のアイテムを奪われてしまった状況です。返却に応じられないようなら、金銭的な補償を求めてくるでしょう。

また、無断欠勤によって派遣先や派遣元が明確に損害を被った際も例外にあたります。損害額を本人に請求してくることがあるので要注意です。たとえば、プログラマなどの仕事をしていて自宅にデータを持ち帰ったまま無断欠勤したとします。そのせいで現場の仕事が滞ってしまい、納品が間に合わなかったとすれば損害が発生します。こうしたシチュエーションでは、かなりの高額を求められる可能性すら出てくるでしょう。まして、そのデータを流出させるなどの大失態を犯そうものなら、ますます損害賠償額は大きくなります。

4.給料は無断欠勤の翌日まで

無断欠勤をしてしまっても、契約期間中の給料が帳消しになることはありません。少なくとも真面目に働いていた期間がある以上、それらの給料は支払ってもらえます。ただし、当然ながら無断欠勤をして以降の給料は計算されません。たとえば「1カ月で25万円」という契約だったとして、月の途中で無断欠勤を始めた場合、25万円全額はまず支払われないと言えます。給料を時給換算して、しっかり出勤した期間分だけ支給されるなど、派遣元ごとにしかるべき対応がなされます。具体的には、無断欠勤の翌日までしか給料が支払われないケースが多いでしょう。

派遣社員によっては「無断欠勤をしても有給休暇を消化すれば、無断欠勤扱いになる」と考えていることもあります。ただ、有給休暇は必ず事前の申請が必要なシステムです。実際に休んだあとで、有給休暇を充てることはできません。連絡が取れない状態のまま休んでしまった無断欠勤は有給休暇に変えられないのです。そのため、無断欠勤をするともらえるはずだった給料が大幅に減ってしまうことも珍しくないと言えます。

5.無断欠勤をしてしまったときの対応

たとえ無断欠勤をしたとしても、すべての派遣社員が「もう仕事を辞めてよい」と考えているわけではありません。たまたま心身の調子が悪く、無断欠勤をしてしまっただけのときもありえます。また、シフトを間違えていてうっかり欠勤したケースもあるでしょう。事故やトラブルで連絡できず、結果的に無断欠勤となったパターンも考えられます。もしも仕事を続ける意思があるなら派遣元に謝罪をしましょう。

謝罪のポイントとしては、正直に理由を説明しすぎないことです。「なんとなく行きたくなかった」「仕事がつまらない」などが本音だとしても、そう言って許してくれる雇い主はいません。「体調不良で連絡もできないほどだった」「家庭にトラブルがあった」といった、嘘の言い訳をしてしまいたくなるものです。ただ、嘘をついてしまうと話に矛盾点が生じるものですし、よく使われる嘘はパターン化しているので、担当者からも見破られやすくなります。言い訳をせずにとにかく謝り「また次から頑張らせてください」と頼み込むほうが、比較的許してもらいやすいでしょう。

注意点として「謝れば絶対に許してもらえる」とは信じないことです。無断欠勤とは重大な契約違反なので、そのまま仕事を振られなくなっても文句は言えません。むしろ、無断欠勤の多くは派遣元や派遣先に許されないと考えておくべきです。

派遣元からの評価が回復しなかったり、そもそも復帰の意思が弱かったりするのであれば契約解除の手続きを行います。この段階ではすでに、派遣元と連絡を取るのが嫌になってしまう派遣社員も珍しくありません。それでも、手続きを踏まなければ受け取れるはずの給料すら振り込んでもらえないなど、問題が起こる可能性も出てきます。派遣会社に籍だけ残っていることで、今後の再就職に影響する場合もあるのです。気が進まなくても、しっかり解除をしてもらいましょう。

6.無断欠勤する前に必ず相談を

もしも派遣社員が無断欠勤をしてしまった場合、メリットは全くありません。確実に派遣先や派遣元からの評価が下がり、復帰したとしても待遇が悪くなるおそれすらあります。最悪の場合、すぐに契約を解除されるので新しい仕事を見つけなくてはなりません。さらに、一度無断欠勤をすることで習慣化する可能性もあります。契約解除をされなかったとしても、無断欠勤は貴重な収入を減らしてしまう行為なので、常習となるのは経済的にたいへんな痛手です。

無断欠勤をする際には、高確率で前兆があります。職場の人間関係に悩んでいたり、業務がつまらなかったりするのなら派遣元に相談してみることが必要です。派遣元には登録者のケアをする必要があるため、正直に打ち明けられたなら丁寧に対応してくれるでしょう。場合によっては、今後の配属や業務内容を調整してくれることもあります。また、前向きに働けるようなアドバイスを与えてくれもするので、気分をリセットしやすくなります。

何より、派遣元は業務内容を把握したうえで相談に乗ってくれるので、家族や友人でさえも共感してくれないような話も受け止めてくれるはずです。一人きりで悩み始めると思考がどんどんネガティブになっていき、ある日突然無断欠勤のようなトラブルを起こしかねません。そうならないよう、まだ悩みがそれほど深刻化していない段階から信頼できるスタッフに話しておくのが得策です。

無断欠勤は絶対にダメ!仕事に問題があるなら派遣元に相談を

たった一度の無断欠勤で派遣社員が仕事を失ってしまうこともありえます。もしも無断欠勤したくなるほどの問題を抱えているなら、派遣元に打ち明けてみましょう。相談に乗ったり、派遣先に働きかけたりして対応してくれるはずです。無断欠勤で契約解除されればキャリアに傷も入るため、大事に至らないよう自分の心をケアしていくことが大切です。