2020.4.6

派遣会社とハローワークは何が違う?

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派遣会社もハローワークも登録すると仕事を紹介してもらえます。しかし、同じく仕事介を仕事にしていても、両者の仕組みは全く違うのです。自分自身の目的などに合ったところで仕事を探したほうが、満足度の高い就職に結びつきます。そこで、両者の概要をはじめ、運営元や求人の種類、採用までの流れを解説していきましょう。

1.派遣会社とは

派遣会社とは、派遣社員として登録した人たちに仕事を紹介してくれるところです。登録するための料金は一切かかりません。より多い情報を得るために、1社だけでなく数社に登録している人もいます。雇用契約は実際に働き始めてから結びます。ただし、雇用契約は実際に働く会社(派遣先会社)ではなく仕事を紹介してくれる派遣会社と行うのです。そのため、給料は派遣会社から支払われます。また、社会保険や福利厚生も実際に働いている会社ではなく派遣会社から受けることになるのです。

派遣会社に登録して働くメリットとして、やりたい仕事に就けるということが挙げられます。派遣社員は企業から直接採用を選考されることがありません。そのため、正社員では入社が難しい大手企業でもすぐに働くことが可能です。また、未経験でも可能な職種の求人も多いのも特徴です。さらに「残業なし」「週に3勤務」「自宅の近く」といった希望も通りやすく、家庭やプライベートとの両立がしやすくなっています。そのため、子育て中の女性に人気です。このほか、派遣会社の担当者に人間関係の悩みをはじめ、将来に対する不安や給料への不満を相談することができます。

その反面、派遣社員には雇用期間が存在しているため、契約が終わると仕事がなくなってしまいます。そのため収入が不安定なのです。また、派遣社員は重要な仕事や責任のある仕事を任せてもらえない傾向があります。いつまで経っても同じ仕事を続けなくてはならず、キャリアアップを見込むことは難しいと言えます。

2.ハローワークとは

ハローワークの正式名称は公共職業安定所と言います。全国47都道府県に設置されており、求職中の人に対して仕事を紹介してくれます。インターネットサービスも提供しているため、パソコンさえあれば家にいながら求人情報を閲覧することが可能です。そのため、仕事で忙しくハローワークに直接出向くことができない人も気軽に利用できます。また、ハローワークでは求人情報の紹介だけでなく、相談窓口における相談や自己分析サポートなども行い、転職活動全般をサポートしてくれるのです。このほか、雇用保険制度の窓口の役割もあり、雇用保険の資格の変更や失業等給付の受給の手続きも行っています。

ハローワークのメリットは求人数が多いことです。無料で求人募集を行えるため一般的な職種からあまり耳にしたことのない珍しい職種まで、多種多様の職種が集まっています。また、人件費が使えない中小企業の求人が多いのも特徴です。さらに、無料で職業訓練の相談をしたり、履歴書の書き方や面接での対応の仕方をアドバイスしてくれたりします。転職活動が初めての人にとっては心強い存在と言えるでしょう。その一方、デメリットもあります。仕事の紹介から相談やアドバイスまで利用料金はすべて無料ですから、多くの人が利用しています。より良い条件の就職先を見つけるには、自ら積極的に動かなければいけません。また、実際の仕事と求人情報の内容が異なることも多々あります。それは求人情報を作成するのが、実際に求人を行う企業だからです。ブラック企業であることを上手に誤魔化して求人募集を行う企業もあるため、会社の実態を見抜く目も必要になります。

3.派遣会社とハローワークの違いは?

1つ目の違いは運営元です。派遣会社は民間企業、ハローワークは主に厚生労働省となっています。2つ目の違いは求人の種類です。派遣会社は、各企業に派遣されるスタッフの求人ほとんどで、正社員では入社することが難しい大手企業の求人や未経験者でも可能な求人の情報が数多く見られます。最初は派遣社員として働き始めても、試用期間が過ぎれば正社員として採用してもらえる紹介派遣という求人もあるので、正規雇用も目指せます。

一方、ハローワークが求人を行っている雇用形態はさまざまで、派遣社員だけでなく正社員・契約社員・アルバイトなどもあります。さらに、ハローワークが地域に根ざしていることや無料で求人情報を掲載できることから、地元の企業や中小企業の求人が多いのが特徴です。求人募集にお金がかからないため、なかには人材確保に使える予算が少ない中小企業も掲載している可能性があります。ハローワークで仕事を探す際は、給与を含めた待遇面にもチェックが必要でしょう。

3つ目の違いは採用までのプロセスです。派遣会社の場合、まず求職者は派遣会社に登録します。そして、派遣会社が取り扱っている求人情報に応募したいものがあれば、派遣会社の担当者またはインターネット経由で申し込みます。1つの求人に対して複数の応募がある場合は、派遣先の会社ではなく派遣会社のなかで選考が実施されるのが特徴です。選考に通過すると派遣先の会社で面談をします。基本的に、面談の日程調整は派遣会社の担当者が行ってくれます。また、面談にも派遣会社の担当は一緒についてきてくれるので安心です。採用の可否については、派遣先の会社からではなく派遣会社の担当者から知らされます。

一方、ハローワークの場合は、求職者は求人情報から応募したい求人を見つけて担当者に伝えます。ハローワークの担当者と面談のうえで紹介状を発行してもらいます。そして、求人情報に記載されている応募情報通りに、紹介状をはじめ履歴書や職務経歴書などの必要書類を志望する企業に送るという流れです。その後、企業の採用担当者とやり取りをして面接の日程を決めます。ハローワークの担当者は面接に同行してくれません。また、面接の結果は企業の採用担当者から直接伝えられます。

応募から採用までの流れを見てわかる通り、ハローワークは仕事の紹介までしか行ってくれません。そのため、派遣会社と違い応募企業への面接の調整をはじめ、履歴書などの送付などすべて自分一人で行う必要があります。転職活動の負担を減らしたい人や慣れていない人は、ハローワークではなく派遣会社の利用がおすすめです。また、ハローワークの場合は、就職したあとのフォローがありません。そのため、職場で何か不満やトラブルがあっても相談に乗ってもらうことができないのです。基本的に一人で解決しなくてはなりません。

一方、派遣会社の場合は派遣先の会社で働くようになっても、派遣社員はあくまでも派遣会社と雇用契約を結んでいます。そのため、派遣先の会社で待遇や人間関係などで困ったことがあれば、担当者に相談に乗ってもらえるのです。また、派遣先の会社で働きながらキャリアアップを目指したい場合は、無料のセミナーや研修などを利用することが可能です。大手派遣会社の場合は福利厚生も充実しており、働く前だけでなく働いてからのフォロー体制も整っていると言えます。

4.派遣会社を選ぶ時のポイントは?

一口に派遣会社と言ってもさまざまです。どこの派遣会社に登録しても同じということはありません。自分に合った派遣会社を選ぶことが転職活動では重要になります。それにはまず、自分がどのような職種が得意なのか、どのような働き方をしたいのかを考えましょう。そして、希望する職種の取扱い件数が多い派遣会社に登録をするようにします。

スキルアップを目指したい人はセミナーや研修制度が充実している派遣会社、これまでのキャリアや経験を活かしたい人はキャリアカウンセリングなどのフォローアップ体制が万全な派遣会社がおすすめです。今は派遣社員でも将来的には正社員として働きたいという人は、紹介予定派遣の求人数が多い派遣会社も選択肢に入るでしょう。次にどのぐらいの給与が欲しいのかを考え、派遣会社同士の時給を比べるようにします。というのも、同じ勤務地で同じ仕事をしていても、派遣会社によって時給が違うからです。また、福利厚生やそのほかの待遇も派遣会社によって異なるためチェックしましょう。

さらに、派遣会社が取り扱っている求人の地域も比較対象になります。「家の近くで働きたい」「駅の近くがいい」などの希望があるなら、できるだけ求人数の多い派遣会社に注目してみましょう。求人数が多いほど条件にマッチする可能性は高まります。派遣期間が満了したあとに、同じ地域で働きたいときも派遣先を探しやすいでしょう。

また、派遣会社のタイプごとの特徴を押さえておくと派遣会社選びが楽になります。派遣会社には主に3つのタイプがあります。1つ目は企業関連の会社です。親会社や関連グルーブの派遣が多いのが特徴です。特定のメーカー・商社また航空会社関係の仕事をしたい人向けと言えるでしょう。2つ目は大手の派遣会社です。求人の数はもちろんのこと、仕事の種類も多く、希望する仕事が見つかる可能性が高いと言えます。また、福利厚生をはじめ、キャリアアップのためのカウンセリングサービスや研修制度も充実しています。「派遣社員から正社員にステップアップしたい」「希望の職に就くために専門知識を身につけたい」という人に向いていると言えるでしょう。

3つ目は専門分野派遣会社です。大手派遣会社ではあまり扱っていない語学関係をはじめ、金融・医療関連・バイオ・IT関係など専門知識や高いスキルが必要とされる求人が多いのが特徴となっています。これまでのキャリアを活かして高い時給を得たい人におすすめの派遣会社です。ただし、中小規模の派遣会社を利用する際は福利厚生が整っているのかなど、細かい部分にもチェックが必要です。

派遣会社とハローワークの違いを押さえた転職活動を

派遣会社とハローワークでは、運営元をはじめ、求人の種類、採用までの流れが違います。両者の特徴を押さえたうえで、転職活動を行うようにしましょう。一人で何もかもできるという人はどちらを使っても問題ありませんが、転職活動が初めてで不安を感じる人や就職したあとのフォロー体制が心配な人は派遣会社がおすすめです。