一般事務と総務事務の違いは?求められるスキルなどについて解説
世の中にはいろいろな仕事があります。その中でも一般的に良く知られているのは事務職です。どんな会社にも1人はいて、いわゆる事務と呼ばれる業務を担当します。しかし、実は事務にも多くの種類があることをご存じでしょうか。違いを理解していないと、いざ就職してから困ってしまいます。ここでは、一般事務と総務事務の仕事内容の違いなどを解説します。
事務職とは、事務に関する仕事をする職種です。どの会社にも契約書、請求書、納品書等の各種書類の作成や管理をしたり、パソコンにデータ入力をする業務が必ずあります。また、顧客からの電話応対や来客応対を最初にする人が必要です。事務職とは、こうした事務的な作業をするスタッフのことをいいます。
一言で事務職といっても、実はいろいろな種類があります。求人などでは、どの事務職を募集するのか明記しているケースも多いです。たとえば、特定の部署に所属せず広く事務を担当するスタッフは「一般事務」、営業職と一緒に仕事をする事務スタッフは「営業事務」、経費精算など経理を主に担当する事務スタッフは「経理事務」と呼ばれます。職場によって「学校事務」や「医療事務」という記載で募集が行われることもあります。また、商社では貿易関係業務をサポートする事務職を「貿易事務」と呼びます。こうした具体的な事務職を総称して「事務(職)」と呼んでいます。
一般事務は庶務とも呼ばれます。庶務とは、いろいろな社員の仕事をサポートしてあらゆる業務を担当する職種です。デスクワークをメインとして、郵便物の発送・受け取りや電話応対、接客などが仕事です。消耗品や事務用品等の備品管理も担当します。
会社の代表番号にかかってきた顧客からの問い合わせ電話に出て対応したり、来社した顧客を応接室に案内するなど最初の接客をします。いったん事務が顧客の要望を聞いて然るべき部署や担当者につないだり、つながらない場合は伝言を受け取って後で伝えたりという仕組みになっている会社がほとんどです。顧客の第一印象を左右することもある大事な業務のため、電話には1コールで出るなどルールを決めている会社も少なくありません。
事務の仕事のメインとなることの多い仕事です。契約書、見積書、請求書や納品書、領収書、伝票類など会社に関わるさまざま書類を作成します。作成した後に郵便物として発送したり、会社に届いた郵便物を受け取って各部署に配るのも事務の仕事です。人事事務も業務範囲に入っている場合は社員の給与明細や社会保険関係書類なども取り扱います。商品の在庫や発送、受発注をパソコン管理している会社では、これらの入力作業も一般事務の仕事になる場合もあります。社員の勤怠管理も一般事務が行うケースもあります。いずれの場合も、顧客や社員の個人情報を扱うことになるので注意が必要です。
作成した書類を管理・保管するのも事務の大切な仕事です。「ファイリング」と呼ばれています。紙の書類は日付や種類ごとに分類して、指定の場所にファイリングしていきます。データ化された書類はパソコン上で同じように日付や種類ごとに分類して、指定のフォルダに整理・保存します。
文房具など各部署の仕事に必要な備品の管理も仕事のひとつです。不足が発生したら各部署から注文を集めて指定の業者に発注します。発注の際の伝票を管理し、指定の期日に経理に出す仕事も行います。
総務事務とは、基本的には総務部に所属する事務職のことです。一般事務(庶務)は各部署にいることが多いのに対し、総務事務はあくまで総務部に属します。とはいえ、仕事内容は非常に似通っており、会社の規模や組織編成の差でしかない場合もあります。総務部で仕事をするケースでも一般事務として求人が出されることも珍しくありません。
総務とは、会社全体の事務業務を広く取り扱う部署です。各部署に所属する一般事務職は基本的に所属部署の事務しか担当しませんが、総務事務(総務部に所属する事務職)は全部門の事務を担当します。その分、業務内容が幅広いのが特徴です。
契約書、見積書、請求書や納品書、領収書、伝票類など各部門のさまざまな書類を作成します。作成した書類や取引先から受け取った書類などを整理し、適切な場所に保存・管理するのも仕事です。
文房具やコピー用紙、トナー、飲食品など社内各部署の消耗品や備品の管理を行います。
総務部では防犯・防災などオフィスのセキュリティも担当しているのが一般的です。そのため、総務事務になると、セキュリティ関係の仕事を任されることがあります。各部署で使っているパソコンやサーバの一括管理を総務部が行っている会社もあります。また、オフィス清掃の責任者として総務部の事務職が任命されることも多いです。
毎決算期に1度開催される定時株主総会や臨時株主総会で、会場設営や当日の運営、終了後の後片付けなどを総務部の事務職が中心になって行います。
全部署・全社員に向けた事柄を広く担当するのが総務部です。したがって、社員旅行や運動会など社内外で開催されるイベントの運営を総務事務が行います。冠婚葬祭が発生したときに対応する窓口も総務事務です。
社員に対する各種福利厚生に関する手続きを行うのも総務事務の仕事です。福利厚生とは給与や労働時間、休日等の労働条件以外で、社員に提供されるもので、社会保険等の法定福利厚生と住宅手当や交通費等、会社が設ける法定外福利厚生があります。これらを総務事務が管理します。
事務職として働くのに、特別な資格は基本的に必要ありません。パソコンスキルなどが高ければ仕事のスピードが速くなりますし、パソコン関連の資格を持っていると就職に有利になることはあります。ただし、何か資格を持っていないとできないという仕事ではありません。そのため、特に専門性を持っていない人や新卒の社会人、主婦など社会人経験が浅い人でも応募しやすい職種です。とはいえ、事務職だからこそ求められる資質はあります。
一般事務でも総務事務でも、社会人としてのビジネスマナーが求められます。事務職は営業職と違って外に出ることはありませんが、来社した顧客の対応をすることが多いので、会社の顔ともいうべき存在です。服装や髪型の乱れ、姿勢や立ち居振る舞い、挨拶などをチェックされるので、常にセルフチェックを怠ってはいけません。
広く社内外の人と接する立場にあるので、コミュニケーション能力が必要です。たとえば、外勤の営業職と内勤のエンジニア職が顔を合わせることは少ないかもしれませんが、事務職は仕事の性質上、どちらとも顔を合わせて話をします。また、さまざまな職階の社員と接し、仕事上、役員など立場が上の人と話をすることもあります。さらに、お客様とも接するので、いろいろな人とスムーズに気持ちよくやりとりできるコミュニケーション能力が不可欠です。また、事務職には集中力も求められます。事務作業は単調だと思う人も多いですが、書類作成や計算などは常に慎重さが必要な仕事です。
一般事務はOA事務という呼称で求人が行われるケースもあるように、デスクワークが主な仕事です。総務事務も、多くの業務をパソコンを使って行うので、最低限のPCスキルは必要です。まったくの未経験でも仕事をやりながらスキルを身につけることは可能ですが、そもそもパソコンに苦手意識があるとむずかしいでしょう。
一般事務も総務事務も、他の社員の仕事をサポートするのが仕事です。縁の下の力持ちになることに喜びを感じられる人、裏方に徹してきっちり仕事ができる人が向いています。
一般事務はルーチンワークが多いので、飽きずにコツコツ慎重に仕事ができることが求められます。たとえば、データ入力の際に日付、品番、単価など1つでも間違いがあると会社に大きな損害を与えかねません。間違いのないよう1つずつチェックを重ねて丁寧に仕事をする資質とスキルが必要です。
1日中オフィスでデスクワークということが多いので、そういった環境でもイライラせずに穏やかな気持ちで仕事ができることが大切です。気分に左右されやすい人だと、データ入力ミスの確率も高くなります。
総務部は社内の全部署と連携しながら仕事をするので、さまざまな部署とうまくやりとりできる力が必要です。
顧客や株主など社外の人に対しては、社員に対するのとは違った配慮が求められます。総務事務は対外的なやりとりの窓口になるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
応対する相手が社内外にいて非常に幅広いため、相手やその場の状況に応じた柔軟な対応が求められます。その場の状況を正しく判断し、相手の様子をしっかり観察して、臨機応変な対応をする能力が必要です。
総務の業務は幅広く、会社の機密に関わる書類の作成・管理から福利厚生など社員の個人情報に関するものまであります。そのため、総務事務には高いセキュリティ意識と管理能力が必要です。社内で総務事務向けにそうした研修を行っているところもあります。
一般業務と総務事務とは、同じ事務職でも仕事内容に違いがあります。総務事務の方が総務部に属しているため、データ入力や書類作成・管理といった基本的な業務を超えて幅広い業務を担当することが多いです。どちらの事務職が自分に向いているかを良く考えて、ふさわしい仕事を探してみましょう。
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