2022.03.03

ICT施工の魅力を、気軽に楽しく学べる!体験型施設「ひたちなかICTデモサイト」訪問レポート

はじめに

さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、建設業界も例外ではありません。
国土交通省は、2023年度までに小規模なものを除く、全ての公共工事にBIM(建設の生産性向上)/CIM(建設情報のモデル化)を適用することを目標に掲げています。
そこで、今回は株式会社PCTが開催している「体験型ICT施工講習」を見学するため。 日立建機株式会社ひたちなかICTデモサイト(以下 デモサイト)へ訪問しました。デモサイトではICT施工の体験型講習を行っていて、ICT施工の基本やドローンを用いた写真測量、ICT建機を用いた施工を体験できます。
建設業界におけるICTの活用方法、ICT施工のもつ可能性、講習の醍醐味を紹介します。

そもそも、ICTとは?
記事画像

はじめに、「ICT」について簡単に説明します。
「ICT」とはInformation and Communication Technology(情報通信技術)の略称です。通信技術を活用し、パソコンやタブレットなどの機器をネットワークでつなぎ、情報を伝達・共有することで、業務の効率化を促進します。
建設現場であれば、測量データや完成図のデータを建機内にあるモニタに共有することで、かんたんに整地や法面整備ができるようになったり、効率の良い施工スケジュールが組めたりするようになります。土木・建設分野の従来のイメージを一新し、安全性、作業の効率化などをサポートしてくれる便利なシステムです。

「とりあえず触ってみる」完全体験型のICT施工講習

デモサイトで開催されている「実践アイコンストラクション」は、「i-Construction(ICTの全面的な活用)」に則した5つのテーマ(情報化施工のための基礎知識・現場準備・写真測量と点群生成・ICT建機操作)ごとに受講ができる講座です。
「とりあえず触ってみる」をコンセプトにICT建機やドローンなどの操作体験を中心に学ぶことができます。

PCT会社案内
(https://youtu.be/QTXl3OU0Q4s)
実践アイコンストラクション紹介
(https://youtu.be/EfyfQ2vulGs)

※i-Constructionの詳細はこちらを参照ください。
(https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html)

ICT施工の基礎を、実際に建機やソフトに触れながら学ぶことができ、5つのテーマのうち1つからでも受講すること可能です。5つ全ての講座を受講してICT施工の一連の流れを学ぶこともできますし、自身が知りたい講座に絞って体験することもできます。

従来からICT施工の講習は行われていましたが、PCTが開催しているような体験を中心としたICT施工に関する講習は珍しく、若手や初心者でも受けやすい講習になっています。

やってみないとわからない ICT施工は難しい?
記事画像

ICT施工は、現状の地形の測量データと完成図面のデータを使い、施工計画を立てて行われます。ここでは、ICT測量方法を2つ紹介します。


①3Dレーザースキャナー測量
3Dレーザースキャナー測量は、レーザー光を照射し、その反射光の時間差を元に測定箇所を計測します。今までは計測したデータを地道に積み重ね計測するため、測量するために膨大な作業時間を費やしていました。しかし、3Dレーザースキャナー測量は、「面」で計測を行うことができるため、大幅に作業時間をカットできます。そして、その計測データを、施工予定の建機に共有して、施工作業を行っていきます。 (「レーザースキャナー測量」は実践アイコンストラクション受講メニューにはございませんのでご注意ください)

②UAV(ドローン)写真測量

記事画像
UAV(以下、ドローン)を飛ばして、上空から現場を測量します。ドローンにはカメラが搭載されており、写真測量行えるものと、3D点群データを取得できるものがあります。


ICT施工の利点は、完成データと施工前のデータを組み合わせることで施工イメージを組み上げ、ベテランの勘や腕に頼らずにスムーズに作業を進められることです。
加えて、今までの手法で測量や施工作業に費やしていた時間も大幅に短縮できるようにもなります。

実践アイコンストラクションのC講習では「UAV写真測量」が体験できます。

ICT建機があれば法面整形も掘削も簡単。誰でも即戦力!

建機作業の中で、とくに「整地」や「掘削」といった作業は、熟練職人の技術が必要でした。しかしICT建機を使えばこうした難度の高い作業もラクにこなせるようになります。

記事画像

また、従来行われている丁張や水糸を張る作業もICT建機施工の場合、基本的に不要になります。作業をしながらでも、リアルタイムに情報を得ることができるので、アームレバー一本で施工ができます。建機内のモニタで設定を行えば、バケット(刃先)の角度などを自動的に合わせコントロールすることもでき、誰でも高いクオリティで掘削、整地ができます。講習中、「正直、整地作業は職人技なので、このICT建機を使わなければ難しくてできませんね」と話してくれた受講生もいました。


【丁張・水糸とは】
工事に着手する前に、建物の正確な位置を出す作業です。木杭(きぐい)を打ちこみ、基礎となる部分の高さの目印としても使用します。
水糸は、水縄ともいわれ、基礎工事で行われている作業のひとつです。打ち込まれた杭と杭の間に糸(ポリエステルを使用する事が多い)を引き、水平線を示す作業です。水面は地球上どこでも水平のため、水面を利用して直角を出すことから「水」という言葉を利用されているようです。

ICT建機の操作をじっくり体験するなら、実践アイコンストラクションのE講座が最適です。

まとめ

講習を通して、「ICT施工の利便性」「ICT建機のメリット」を体感することで、ICT施工がより身近なものとなります。今までとは違った方法なだけに難しそうだな…と感じてしまうかもしれませんが、実際に体験した受講生からは、「思った以上に簡単だった!」「使いこなすには機能を理解する必要があるが、時間の短縮や、作業効率には間違いなく効果を発揮してくれそう」「基礎知識の取得から実践まで、一連の流を体感することで、最新の施工技術であっても難しくないことがわかった」などのうれしい声が多く上がってきています。気になる方は、ぜひ、ICT施工講習「実践アイコンストラクション」を体験してみてはいかがでしょうか?