2020.12.23

こんなにあった!資格取得で受けられる助成金制度とは?

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はじめに

国や地方自治体によるキャリアアップの支援制度として「教育訓練給付金制度」など、資格取得のための助成金制度があります。聞いたことがある、やっていることは知っているけれど、使ったことがない人は意外と多いのではないでしょうか?
今回は製造系で使える主な制度の概要や受けられる条件、申込み方法などをご紹介します。

3種類あった!民間企業で働く方に向けた「教育訓練給付金制度」

教育訓練給付金制度は、民間企業の勤務者の方に向けたもので受講料金の一定割合の費用が戻ってくる制度です。働きながら資格を取得したり、新しいスキルを身につけたりができ、職場内のステップアップや転職に活用できます。雇用保険を支払っている人が対象なので、正社員だけでなく、非正規社員やパート、アルバイトの方も使えます。
教育給付金制度は、受講条件や目的によって3種類に分かれています。一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金です。もともとは、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の2種類でしたが、2019年より、特定一般教育訓練給付金が一般教育訓練給付金のサブセグメントとして追加されました。
教育訓練給付金制度は、雇用保険を支払っていれば誰でも利用できますが、初めて利用する場合と、再利用する場合で申請できる条件が異なります。種類によって条件が変わるので、この後、個別に解説していきます。また、申し込みは講座を実施しているスクールへ事前申請が必要なので、受けたいスクールに確認しておくといいでしょう。なお所定の期間内に修了しないと、給付金はもらえないので注意が必要です。

幅広い資格に対応!受講費の最大2割が戻ってくる「一般教育給付金制度」
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教育訓練給付金の中で、最も広く使われているのが、一般教育給付金制度です。これは受講費の20%が支給されます。支給額は4000円から最大10万円で、受講期間は最大1年です。対象となる講座は、厚生労働大臣の指定を受けた1万1701講座(2019年4月時点)で、IT、医療、経理、語学など多岐にわたります。輸送、機械運転関係だけをとっても約6000講座もあります。技術系では300講座程度あります。実践的なスキルアップや転職に使える主な資格を参考までにまとめておきます(表)。
一般教育給付金制度は、初めて利用する場合は、雇用保険の一般被保険者であった期間が、通算1年以上で申請できます。再利用の場合は、受給開始日が、前回の教育訓練給付金を受給してから3年以上必要になります。

表:一般教育給付金の対象講座(厚生労働省の資料から抜粋)
輸送・機械運転関係 技術関係
大型自動車第一種免許 建築士
中型自動車第一種免許 建築施工管理技術検定
大型自動車第二種免許 土木施工管理技士
大型特殊自動車免許 管工事施工管理技士
普通自動車第二種免許 自動車整備士
準中型自動車第一種免許 電気主任技術者試験
けん引免許 技術士
フォークリフト運転技能講習 電気工事施工管理技術検定試験
小型移動式クレーン技能講習 電気通信工事担任者試験
車両系建設機械運転技能講習 測量士・測量士補
玉掛技能講習 電気工事士試験
高所作業車運転技能講習 建設機械施工技術検定試験
中型自動車第二種免許 造園施工管理技士
移動式クレーン運転士免許 気象予報士試験
床上操作式クレーン技能講習 エネルギー管理士試験
海技士 ボイラー技士免許試験
クレーン、デリック運転士免許 構造設計一級建築士
不整地運搬車運転技能講習 設備設計一級建築士
ショベルローダー等運転技能講習 建築設備士
ガス溶接技能講習 危険物取扱者試験
運行管理者
これからの時代に期待されるスキルを磨ける「特定一般教育訓練給付金」
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特定一般教育訓練給付金は、政府による「人づくり革命基本構想」において2019年10月1日から新たに施行された制度です。給付率が最大40%と手厚いサポートが受けられます。対象講座は、企業のニーズがある実践的かつ専門的なものです。例えば輸送・機械運転では、大型特殊自動車免許や、移動式クレーン運転免許、フォークリフト運転技能講習などが対象になっています。製造系では、電気主任技術者が対象です。講座を受けることで、すぐに自身のステップアップに役立つので、業務に関係するもしくは、その領域に転職したい方におすすめです。
受講にあたっては、開始する1カ月前までに「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。就業の目標などを記載したジョブカードを作成し、ハローワークにおいて受給資格確認を行います。ジョブカードは厚生労働省によって発行される職業能力を証明するもので、キャリアプランや職務経歴、職業訓練の履歴などを記載するシートです。

就職すると最大7割も戻ってくる! 「専門実践教育訓練給付金」

専門実践教育訓練給付金は、教育給付金制度の中では、最も職業訓練の色合いが強い制度です。一般教育給付金制度と比べると、受講できる講座は限られていますが、就職や転職を考えている人にはおすすめできます。就職決定で受講料の最大70%が戻ってくるのも魅力です。
専門実践教育訓練給付金は、受給条件が他の教育給付金制度に比べて複雑です。まず講座の受講を修了した場合、受講料の50%が補助金となります。さらに資格を取得した場合、20%が追加されます。ただし、1年以内にその資格で就業することが条件です。また、離職者の場合は、教育訓練支援給付金が別途受けられる場合があります。
専門実践教育訓練給付金の対象講座は医療福祉関係、士業が多いです。製造系では、電気工事士や海技士、建築士などが対象とされています。

求職者の強い味方!ハローワークの就業支援

求職者向けでは、ハローワークにて2種類の就業支援が受けられます。「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」です。公共職業訓練は、雇用保険の受給者を対象としたもので、公共職業訓練校や委託された訓練機関が実施しています。一方、求職者支援訓練は雇用保険を受給できない求職者が対象となります。NPO法人など民間が主体で行っているもので、無料で受講できるだけでなく、月額10万円の手当ももらえます。
公共職業訓練の受講講座は、金属加工や電気設備、制御技術など製造現場で実質的に使えるものが多いです。キャリアチェンジを想定した内容なので、新たに工場系に就職したい人にはおすすめです。基本は無料で受講できますが、書類選考や試験があります。人気のスクールはすぐに埋まってしまうので早めに相談するといいでしょう。

まとめ

キャリアアップや就職のための国や地方自治体による助成金制度は、以前に比べ手厚いサポートが受けられるようになっています。目的・用途に合わせ多くの講座が用意されていますので、自分の受けたい講座があるか確認してみるといいでしょう。また離職者に対しては、受講料以外の手当ても支給されるものがあるので、積極的にこの制度を利用することをおすすめします。