高所作業車の操作資格の入門 特別教育受講で取得可能
高所作業車を使って信号機や看板のメンテナンス、背の高い樹木の剪定を行ったりしている姿を見たことはありますか? 高所作業を行うためには「技能講習」か「特別教育」の修了が必要です。今回はこのうちの「特別教育」について、修了するとどんな作業ができるのか、どんな業務を行えるのかなど説明します。
高所作業車を運転できる資格は2種類あります。高所作業車の運転の業務に係る特別教育と高所作業車運転技能講習です。違いは作業床の高さと講習時間、講習料金です。高所作業車の運転の業務に係る特別教育は作業床(バスケット)の高さが2m以上10m未満の高所作業車の運転ができます。それに対して高所作業車運転技能講習は作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転ができます。「せっかく受講するなら技能講習の方が得!」と思うかもしれませんが、10mは2階建て住宅の屋根の高さくらいです。つまりかなり広い範囲をカバーしているため、仕事の種類によっては、特別教育でも十分活躍できるでしょう。また特別教育は技能講習に比べて講習時間も短く、受講費用も安いです。講習時間は約9時間、受講費用約15,000円ですので、まずは特別教育からスタートしてみるのもいいですね。
高所作業車資格について、よくある質問を3つ紹介します。
・街で見かける、トラックに昇格機が搭載したタイプの高所作業車を、資格取得後に一般道で運転することはできますか?
答えは、NOです!
高所作業車運転資格とは高所作業車の昇格機を操作、作業する資格です。トラック自体を一般道で走行させるためにはトラックの大きさに合った自動車運転免許が必要です。
・作業床10m以上の高所作業が可能な車両の運転を行う際、作業床を10mまで上げなければ、特別教育だけで作業を行えますか?
こちらも答えはNOです!
特別教育では作業床10m以下の高所作業車の運転ができるようになります。昇格機を10mまで伸ばしていなくても、車両自体に10m以上の能力がある場合は運転することはすることはできません。
・高所作業を行う際、資格を持っていない作業者と一緒に高所で作業を行っていいのでしょうか?
答えはYESです!
資格所有者と資格を所有していないスタッフが高所で作業を行うことはできます。しかし、資格を持っていないスタッフはあくまでも補佐という立場になります。そして、社内で決まりを設けている場合もあるので確認が必要です。また、昇格機自体に2名乗ることが出来ない車両もあるので注意が必要です。高所作業は危険と隣り合わせの業務であるため、補佐であっても「特別教育」を受講しておくことをおすすめします。
高所作業特別教育の活躍場所を紹介します。
まずは造園業です。樹木の管理、整姿、剪定がメインとなります。庭木や街路樹は高くても10m程度のものが多いので需要もたくさんあります。
ほかには倉庫の管理や清掃業務があります。保管品のピックアップをしたり、天井などの高い部分の清掃をしたりします。少し変わったところでは、コンサート会場の設営などもあります。
高所作業車にはさまざまな種類があります。トラック式は私たちが最もよく目にしている高所作業車かもしれません。小回りが利く自走式や、悪路でも作業可能なキャタピラ式(クローラ式)もあります。
またゴンドラを動かす動力にも種類があります。大きな出力が必要になるエンジン式は、主にディーゼルエンジンを採用しています。エンジン音が出るため、屋外などでの使用がメインになります。バッテリー式は静かで排気ガスも出ないので、屋内での使用に適しています。バイエナジー式はエンジンとバッテリーを両方搭載しているため、環境に合わせて切り替えて使用できます。バイエナジー式を採用する高所作業車は近年増加しており、今後見かける機会も多くなりそうです。
特別教育だけでは高さが足りない場合には技能講習を受講しましょう。作業できる高さに制限がなくなるため、仕事の幅が大きく広がります。
高所作業車特別教育とあわせて取得したい資格は中型自動車免許です。2007年以降に取得した普通自動車免許では2t以上のトラックを運転できません。そのためトラック式の高所作業車で公道を走れないのです。中型免許を取得していれば、ある程度の大きさの高所作業車まで運転できるようになるので、幅広い業務ができるでしょう。またほかにもゴンドラ取扱特別教育やフルハーネス型安全帯使用作業特別教育、ロープ高所作業特別教育などが、高所作業で役に立つ資格です。あわせて取得し、仕事の幅を広げてみるのもいいですね。
高所作業車の運転の業務に係る特別教育は作業床10m以下の高所作業車をあつかえる資格です。高所作業の入門ともいえる資格で、他の資格とあわせたり、さらに上の技能講習に挑戦するなど、スキルアップの道もたくさんあります。