国家資格の高所作業車技能講習!資格の取得方法は?
私たちがよく見かける高所作業のひとつが電線工事ではないでしょうか? トラックから伸びたバスケットに人が乗り、作業している姿を見かけることも多いですね。このように高く上がるバスケットをもった車を高所作業車といいます。高所作業車を動かすのは危険がともなうため、国家資格が必要です。ここでは高所作業車運転資格はどんな仕事なのか? 向いている人や、資格の取得方法を解説していきます。
高所作業に使用できる資格は高所作業の運転の業務に係る特別教育と高所作業車技能講習の2つです。作業できる高さによって分かれています。特別教育は作用床(バスケット)が2m以上10m未満の高所作業車の運転ができます。高所作業車運転技能講習は作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転ができます。高さのイメージは少し難しいかもしれませんが、2階建ての住宅の屋根の高さがだいたい10~12m程度です。高所作業車は大きいものでは30m以上の高さまで上がるものもあり、これはだいたいビルの9階くらいの高さになります。技能講習を修了すれば、10m以上の高所作業車の運転ができますので、かなり広い範囲の作業ができるようになるのがイメージできるのではないでしょうか。
注意点として、高所作業車運転資格は昇降機の操作資格であるため、一般道を走ることはできません。トラックと高所作業車が一体になったもので一般道を走行する場合には、トラックの大きさに応じた自動車運転免許が必要になります。多くの場合、中型以上の自動車運転免許が必要になるため、あつかう高所作業車によっては、自動車免許の取得もあわせてすすめましょう。
では高所作業にはどんな仕事があるのでしょうか。高所作業車運転資格を活かせる仕事を紹介します。
特に需要が多いのが建設業界です。橋やトンネル、高速道路、ビルやマンションなど、高い部分のインフラ整備に、高所作業車が利用されます。物を建設するときだけでなく、交換やメンテナンスでも高所作業車を使用するため安定した需要があります。
操作性の高い高所作業車を用いて、さまざまな清掃を行います。工場での窓ガラスや電球の清掃や交換、町の広告や看板の清掃、設置、工業団地内のエアコンダクトの清掃やメンテナンスなどでも活用されます。私たちが外で目にすることも多い路地樹の手入れにも高所作業車が利用されています。このようなシーンでは、ただ高い場所に手が届くだけでなく、一つの電球の清掃が終わったら、すぐに次の電球の場所まで動くなど、機動性や小回りも求められます。そのため高所作業車が活用されるのです。
外壁や屋根の塗装にも高所作業車を利用します。また室内でも、倉庫や施設の天井は高いため、上部の塗装には室内で使用できる高所作業車が利用されます。塗装作業では事前に養生(塗装しない場所の保護)を必要とするケースも多く、手作業で行うことが多いため高所作業車が活躍します。
このように、高所作業車の活躍の場はたくさんあり、資格を取得すれば、広い分野で活躍のチャンスがあるでしょう。実務経験も重ねれば、再就職や転職にも有利です。
高所作業車資格は、短期間で取得できる国家資格です。
技能講習の修了に必要な時間は約17時間(実技学科合計)ですが、すでに取得している資格や経歴によって免除項目があり、さらに短い時間での取得も可能です。
技能講習の時間や内容は各都道府県によって違いがありますので、厚生労働省のHPや各指定教習機関、実施先事前に確認しましょう。
(全国労働基準監督署の所在案内 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html)
ここでは高所作業車運転資格とあわせて取得しておくと、より有利な資格を紹介します。
これも高所で作業するために必要な資格です。高所作業車では昇格機を使用して作業する場所に向かうのに対し、ゴンドラの場合は、ワイヤーロープに吊り下げられた昇格装置で作業する場所に向かいます。ビルメンテナンスでの高所作業に携わるのであれば、持っていても損はしない資格です。
フルハーネス型墜落制止用器具とは、高所からの落下防止のために着用するハーネスです。従来は安全帯という腰に巻くベルト型でしたが、安全のためハーネスになりました。高所作業車のバスケットは「作業床」と認定されているため、フルハーネス型墜落防止装置は必須ではありません。しかし事故防止のためにフルハーネス型を装着する場合があります。6.75m以上の高さまで上がる高所作業車で、フルハーネス型墜落制止用器具を使用する場合には、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の受講が推奨されています。
高所作業運転資格がいろいろな場所で活躍していることを知っていただけたでしょうか。電気工事の仕事から、塗装、清掃、造園と幅広い分野で活躍できます。
高所作業の資格を取得すれば、現場での活躍できるチャンスもより一層広がることでしょう。