工事現場で役立つ不整地運搬車運転者の資格!取得条件や講習内容を解説
道路工事や宅地造成工事などの土木建設現場で不整地運搬車をよく見かけますね。ダンプやトラックが入れないようなデコボコ道や傾斜の強い坂道をものともせず、力強く走る車です。そんな頼もしい存在の不整地運搬車には、運転資格が必要って知っていましたか?
ここでは、資格の取得条件や講習の内容、料金などについて解説します。
不整地運搬車とは、不整地や傾斜地など地盤の悪い現場で荷物運搬に使用する特殊車両です。足回りによってクローラ式、ホイール式の2タイプのものがあります。
不整地運搬車運転者は、不整地運搬車の運転に必要な資格です。普通の運転免許と違い、取得更新の必要はなく、一生ものの資格となります。なお、最大積載量1t以上の場合、労働安全衛生法により運転技能講習を修了することが義務付けられています。
不整地運搬車運転者は他の車両系建設機械運転者の資格と組み合わせてとられることが多いです。不整地運搬車運転者の資格だけをもっていても、自動車運転免許がないと公道を走ることができないためです。逆に、運転免許だけをもっていても、工事現場では作業できないことになります。
不整地運搬車運転者は、土木建設工事や、足場の悪い作業が多い農林水産関係、造園関係でニーズが強いです。また普段、不整地の運転とあまり縁がない運送業でも、資格を持っていると歓迎されます。積雪など特殊な環境下で必要になる可能性があるからです。
ただし、林内走行車や農業用運搬機については適用されないので注意が必要です。業務内容によって必要要件が変わるので、あらかじめ職場に確認するといいでしょう。
不整地運搬車運転者の資格は、積載量によって2タイプあります。最大積載量1t未満なら「特別教育」を、1t以上なら「技能講習」を受講することで取得できます。
特別教育、技能講習いずれの場合も、学科と実技があります。学科では、走行や荷の運搬に関する知識と、関係する法令を学びます。実技では、実際に車両に乗って、走行と荷の積み下ろしを行います。
不整地運搬車運転者の特別教育は、学科と実技で各6時間あります。技能講習の場合、経験や保有資格によって11時間、15時間、31時間、35時間の4コースに分かれます。大型特殊自動車免許をもっていると、講習時間は11時間とかなり短縮できます。一方、車両系資格をもたず、未経験の場合は35時間コースとなり、5日~6日にわたる長丁場となります。
区分 | 保有資格および業務経験 |
11時間 コース |
建設機械施工技術検定のうち、1級か2級の技術検定に合格しており、第2種から第6種に合格している |
・大型特殊自動車免許(第2種含む)を有する
・「大型、中型、準中型、普通自動車免許」あるいは 「 大型特殊(カタピラ限定)自動車免許」のいずれかを有する者 かつ、「小型車両系建設機械(整地、運搬、積込用、掘削用、解体用)」あるいは「 不整地運搬車の運転の特別教育を修了後、3ヶ月以上経験がある」 |
|
車両系建設機械(整地、運搬、積込用、掘削用、解体用)運転技能講習を修了している | |
15時間 コース |
自動車運転免許がないが、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込用・掘削用・解体用)もしくは、不整地運搬車の運転の特別教育を修了後、6ヶ月以上経験がある |
31時間 コース |
車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習を修了している |
35時間 コース |
上記のいずれにも該当しない |
講習区分 | 科目 | 時間(h) | コース | |||
11時間 | 15時間 | 31時間 | 35時間 | |||
学科 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 4 | 免除 | 〇 | 免除 | 〇 |
荷の運搬に関する知識 | 4 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
荷の運転に必要な力学に関する知識 | 2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
関係法令 | 1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実技 | 走行の操作 | 20 | 免除 | 免除 | 〇 | 〇 |
荷の運搬 | 4 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
不整地運搬車運転者は、全国都道府県の教習所で年に数回実施されています。代表的なものとして「コマツ教習所」、「キャタピラー教習所」、「住友建機」、「コベルコ教習所」などがあります。
教習所によっては経験や保有資格がないと対応していない場合があるので、受けたい教習所で事前に確認が必要です。料金は、教習所や講習コースによって3万円から12万円程度とかなり幅があります。なお、不整地運搬車運転者の技能講習は、建設業の事業主向け助成金「建設教育訓練助成金」の対象となっていますので、職場に確認してみるのもいいでしょう。
不整地運搬車運転者は18歳以上なら誰でも取得できる資格です。学科試験は、他の運転資格と比べても比較的難易度が低いといえます。講習をきちんと受けていれば、試験には合格できるでしょう。合格基準や合格率は公表されていませんが、ほとんどの人が合格しているようです。
不整地運搬車運転者は、地盤の悪い場所の運搬に役立つ資格で、土木建設工事や、農林水産関係、造園関係でニーズが強いです。他の車両系資格と組み合わせることで、幅広い領域で活躍できる可能性があります。全国各地の教習所で受けられますが、経験や保有資格によって対応できる教習所が限られている場合があります。受講時間や料金も異なるので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。