2020.11.30

機械加工技能士は機械加工技術の高さを証明できる国家資格

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はじめに

日本の強みである「ものづくり」を支えるのは、金属などの材料を狙った形に加工する機械加工の技術です。機械加工技能士は、機械加工の技能レベルの高さを証明する国家資格です。機械加工といっても、さまざまな種類があります。今回は機械加工技能士の種類や試験の概要について紹介します。

機械加工には3つの加工がある

機械加工は大きく次の3つに分けることができます。

切削加工

旋盤加工やフライス加工に代表される工具を使って金属を切ったり削ったりして、狙った形状にする加工。

研削加工

砥石を高速で回転させながら材料の表面を削り、厚みや表面の精度を調整する加工。切削加工に比べると加工に時間はかかりますが、切削加工では削ることが難しいとても硬い材料でも加工できます。

研磨加工

研削加工よりも細かく硬い砥石を使って、材料の表面を滑らかな状態にする加工。製品の外観を整えるだけでなく、強度の向上やサビや汚れの付着防止も行います。

機械加工技能士とは
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機械加工技能士は、切削加工や研削加工などの技能を認める国家資格で、学科試験と実技試験によって認定されます。試験は作業ごとに分けられており、さらに資格によって特級、1級~3級に分けられています。
機械加工技能士の代表的な分類は以下の通りです。

  • 普通旋盤作業
  • フライス盤作業
  • 平削り盤作業
  • ボール盤作業
  • ジグ中ぐり盤作業
  • 平面研削盤作業
  • 円筒研削盤作業
  • 歯車型削り盤作業
  • 数値制御盤作業
  • マシニングセンタ作業
機械加工技能士を取得するメリット

機械加工技能士の資格を取ることは、機械加工の高い技能を証明でき、就職や転職のとき有利になります。また試験勉強を通して技能を高められるため、効率的に精度の高い作業ができるようになります。社内での評価を高めるだけではなく、製品を納入するお客様からの評価を高めることも可能です。

機械加工技能士を受験するためには実務経験が必要

機械加工技能士の受験資格には、どのようなものがあるのでしょうか?受験資格は、受験する級によって異なります。

3級を受験するためには6ヵ月以上の実務経験が必要です。学歴や他の資格などは特に必要ありません。2級を受験するためには、2年以上の実務経験を積むか、3級に合格している必要があります。1級を受験するためには、7年以上の実務経験か、2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験が必要です。特級を受験するためには、1級合格者で5年以上の実務経験が必要です。大卒や短大卒、高専卒の場合には、必要な実務経験の年数を短縮することも可能です。例えば大卒であれば、3級、2級の受験時に実務経験は問われません。

機械加工技能士の試験はどんな感じ?
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機械加工技能士試験は、職業能力開発協会が運営しています。毎年前期と後期に分けて2回ずつ開催されていますが、毎回すべての作業の試験が開催されるわけではありません。受験者数が多い普通旋盤やフライス旋盤であればそれほど気にする必要はないですが、それ以外の作業を受験したい場合には、開催されるタイミングの確認が必要です。実技試験は、試験の約2ヵ月前にどのような問題が出題されるか公表されるため、事前の準備が重要になります。

機械加工技能士の試験にはどんな内容が出るの?

機械加工技能士の学科試験は、共通科目と選択科目に分かれています。
共通科目は、次の8科目です。

  • 工作機械加工一般
  • 機械要素
  • 機械工作法
  • 材料
  • 材料力学
  • 製図
  • 電気
  • 安全衛生

また、選択科目は受験したい作業によって異なり、代表的なものは以下です。

  • 普通旋盤作業、数値制御旋盤作業:旋盤加工法
  • フライス盤作業:フライス盤加工法
  • ボール盤作業:ボール盤加工法
  • 歯車形削り盤作業:歯切り盤加工法
  • マシニングセンタ作業:マシニングセンタ加工法

実技試験は、製作等作業試験、判断等作業試験、計画立案等作業試験に分かれています。受験する作業や級によって、これらのうち、1つか2つに合格する必要があります。

機械加工技能士試験合格のポイント

機械加工技能士の学科試験・実技試験は100点満点で、学科試験は60点以上、実技試験は65点以上が合格基準です。

学科試験はそれほど難易度が高くないため、過去問題を中心に勉強していきましょう。各都道府県の職業能力開発協会のホームページで公開されています。また、実技試験は実際に設備を利用して作業を経験する必要があります。独学で技能を身につけるのは困難なので、会社の先輩にアドバイスをもらいながら練習するのがおすすめです。

まとめ

機械加工技能士は、機械加工に関して高い技能を持っていることを証明する国家資格です。また、試験の準備を通じて仕事の質を高めていくことも可能です。
作業の内容や級の違いで多数の資格に分類されますが、まずは会社で使用する設備の資格への合格を目指しましょう。社内でのキャリアアップや、同じ設備を使用する企業への転職も有利になります。