信用と安心を得る塗装資格。取得メリットは？
職人業の中でも認知度が高い「塗装作業者」。建設現場などで、作業服にペンキが付いているあの姿を一度は見たことがあるのではないでしょうか。幼い頃、彼らに憧れの眼差しを注いだ思い出があります。それは彼らが職人だったからなのかもしれません。そんな「塗装作業者」が取得している資格の種類、作業内容を紹介します。
塗装作業と聞くと、まず思い浮かぶのは刷毛でペンキを塗っている姿かもしれません。もちろんその作業方法も行われています。しかし、「塗装作業」は、非常に多く工程や種類に分かれています。塗装対象製品もいろいろあり、建築物や機械製品などの金属物の他に、木材などの天然素材である場合もあります。
そもそも塗装とはなんなのでしょうか？ 実は、着色するだけでなく、製品の保護も担っています。表面に専用塗料を塗る、またはコーティングすることで製品の強度や耐久性を高めてくれます。製品を美しく見せるだけでなく、雨や汚れ、酸化や太陽の光（紫外線）から守るという重要な役目があります。そして、それらに使用される特別な塗料は環境、状態、塗装対象製品によって適した使用法があります。
塗装作業を行ううえで必要な資格はありません。塗装の資格でまず名前があがる「塗装技能士」は国家資格の技能検定制度の一種です。この資格を保有していなければ塗装の仕事ができないわけではありません。では、なぜ資格が必要なのでしょうか？ 「資格なんていらない」と考えてしまいそうです。しかし「資格がなくても作業できる」を逆手に考えると、「資格があるとお客さまに安心を与えることができる」という大きなメリットになります。塗装業者の中には、責任者であっても塗装資格を持っていない場合も多くあります。こういった業者が、技術や知識がないというわけではありません。とはいえ、審査基準をクリアして資格を取得しているという事実が、依頼主に大きな信頼を与えることは間違いありません。
塗装作業を行ううえで役に立つ資格はいろいろあります。塗装作業では有機溶剤を使うケースも多いため「有機溶剤作業主任者」の資格は非常に有利です。また「足場作業主任者」の資格があれば、建物の外壁を塗装する際などに足場を組む作業を監督できるため、円滑に作業を進めることが可能です。今回は塗装作業に特化した「塗装技能士」について紹介したいと思います。
「塗装技能士」は、塗装作業において必要な知識とスキルがあることを証明する国家資格です。1級から3級に分かれ、級によって試験の難易度が高くなります。会社の中に資格を保有している人がいれば、お客様からも信頼を得やすくなり、仕事の受注率にも影響が出るでしょう。しかし、塗装作業は塗装対象製品によってやり方や特徴が大きく変化します。そのため、塗装技能士も塗装対象製品によって試験問題や実技試験の内容が一部変わります。
塗装作業の中でも難しいのが「木材塗装作業」です。木材という天然素材がもつ独特な雰囲気を活かしながら作業する必要があるからです。素材の性質をよく理解した上で、美しさや塗装の保護性能を長期間維持できるような作業が求められます。
建設分野に特化しているのが「建築塗装作業」です。マンションやビルなどに必要とされる塗装技術で、建築物の外観をよくするだけでなく、建物を雨風から守るための作業です。
幅広い分野で実用性が高いのが「金属塗装作業」です。私たちの生活とは切っても切り離せない金属に彩りを与え、サビや腐食から保護します。金属塗装作業の中でも代表的なのが板金塗装です。
刷毛やローラーではなく、エアスプレーで素量を噴霧口から噴出させ、細かな霧で塗装する技術が「噴霧塗装作業」です。木工、建築、金属のどの作業でも利用することがあるため、重宝される技術です。
「鋼橋塗装作業」は平坦な部分だけでなく、ボルト部分などの凹凸のある部分を塗装する作業が多くなります。特殊な技術を必要とする作業であるため、鋼橋塗装ができれば塗装工としての技術に高い信用を与えてくれます。
塗装資格を持っていることによって給料が上がったり、行える作業が増えたりすることはあまりありません。しかし、作業で身につけた技術が資格として形になれば、転職したり、新しいお客様から仕事を受注する際には大きな力を発揮してくれるはずです。
塗装作業は現場での実務経験が大きな力になります。しかしその人がどれくらいの経験を積んできたかは、お客様にはなかなか分かりません。そうした中で、作業者が「塗装資格」を取得していることによって、お客様に安心を与えてくれます。
塗装作業は一くくりに考えてしまいがちです。しかし、塗装対象製品や作業に使用する道具により、さまざまな技術と知識が必要だとわかりました。また、塗装は見た目だけでなく塗装物の耐久性向上にも大きく関わっています。資格を取得することで、信用と安心をお客様や転職先に与えることができます。
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