建築板金技能士って役に立つ資格?資格の取得方法は?
みなさんが住んでいる「家」がどのようなもので作られているか、観察してみたことはありますか?屋根や外壁、雨どいやダクトなど、板金で作られたものが多く使われています。建物の外観や、雨水の処理、換気など非常に重要な役割を持っている建築板金を美しく、正確に作るための技術や知識を得ることができる建築板金技能士の資格について説明します。
建築板金技能士とは厚生労働省が認定している国家資格です。建物の外壁や屋根、ダクトや雨どいなどを作るためには、どのようなことに気を付ければよいのかを学ぶことができます。建築板金加工に関して、高い技術と広い知識を身に着けているとみなされる資格です。
建築板金技能士は1、2、3級があります。3級は建築板金の作り方の基本的な知識や安全面の知識を学ぶことができます。2級は屋根やダクトなどの実際の作り方、図面の読み方など専門的な内容となります。1級はさらに専門的な上級技術者としての知識、技能に加え、見積りなど計画を立てる知識も問われる資格です。資格を取得していると、高いスキルを保持しているというアピールにもなりますし、一定の信頼を得ることも可能になるでしょう。
建築板金技能士の資格は、建築板金加工に関わる仕事をするうえで必須の条件ではありませんが、多くの技術者が取得しています。
3級は建築板金の仕事をこれから始める人や、始めたばかりの人にとって必要な知識を得ているとみなされます。先輩や上司などと仕事について話をする際に用語の意味が理解できたり、業務上の分からないポイントを質問できるなどの役に立つでしょう。
2級は中級の技術者として必要な知識と技術を備えています。そこまで複雑な形状ではないダクトなどを加工することができます。
1級保持者は上級の技術者で、建築板金のスペシャリストといえます。複雑な曲面があるダクトなど、高難易度の板金加工をすることができるでしょう。
建築板金技能士3級は、実務経験などの条件がありません。学生の受験者が多いようです。
2級は実務経験が2年以上の人が受験できます。また、3級合格者であれば実務経験がなくても受けることができます。社会人数年目の人の受験が多いようです。
1級は、7年以上の実務経験を持っている人、2級合格後2年以上の実務経験を持っている人、または3級合格後4年以上の実務経験を持っている人などが受験ができます。
最終学歴によって必要実務経験年数が変わる場合があるため、詳細は各都道府県職業能力開発協会のウェブページを確認してください。
建築板金技能士の試験は、学科試験と実技試験に分かれています。
1級、2級では加工方法、材料の特徴、工具の使い方や図面に関する内容など、専門的な内容が広範囲に出題されます。3級では、板金加工に関する基本的な内容や安全面の知識などが出題されるようです。実技は、内外装板金作業、ダクト板金作業から選択することになります。3級は内外装板金作業のみとなります。
例えば、学科試験は以下のような問題が出されます。
問)プレス加工ではないものはどれか
- (1) 曲げ加工
- (2) 切削加工
- (3) 絞り加工
- (4) 打抜き加工
答えは(2)です。切削加工は金属軸や金属ブロックを削りとっていく加工方法です。
このような加工方法についての知識も問われます。
過去問題を中心に勉強するとよいでしょう。中央職業能力開発協会のウェブページに過去の問題が掲載されています。学科試験はもちろんのこと、実技試験の内容も掲載されています。1級、2級は特に専門的な知識が多く必要なため、十分に勉強をしてから受験しましょう。
建築板金技能士は各都道府県職業能力開発協会に受験申し込みを行うことで受けることができます。都道府県によって申し込み方法が異なっているため、ウェブページで確認をしましょう。前期は8月末~9月初旬、後期は1月末~2月初旬に開催されます。
工場板金技能士という資格があります。自動車のフレームや家電製品の部品など、身の回りの様々な工業製品に板金が使われており、その加工方法、技術を問われる資格です。詳細は板金資格にまとめてあります。
建築板金技能士の資格を取得すると、自分の手で建物のダクトなどの製品を作る技術を身に着けることができるため、非常に挑戦しがいのある資格です。出来上がった美しい建物を見ると達成感と充実感を得られるでしょう。非常に高い技術と広い知識がないと簡単には合格できないですが、取得後は一人前の建築板金技能士として活躍できます。資格取得にチャレンジする価値は十分にあるでしょう。