2020.10.26

自動車整備士1級の難易度と合格率は?2級との違いも解説!

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はじめに

自動車がない社会では気軽に旅行に行ったり、新鮮な食材を手軽に購入したり、通販で購入したものを翌日受け取ったりできません。私たちの豊かな生活に欠かせない自動車の安全を守るのが、自動車整備士です。自動車整備士の最高峰である自動車整備士1級について紹介します。

自動車整備士1級は自動車整備士の最高峰

自動車整備士1級は、自動車整備関連の資格の最高峰です。自動車に関する幅広い分野で専門的な知識を持っていることを示せます。自動車整備士1級は以下の3つに分かれています。

  • 1級小型自動車整備士
  • 1級大型自動車整備士
  • 1級二輪自動車整備士

この中で、小型以外の試験は今まで行われたことがありません。自動車整備士1級=1級小型自動車整備士といえます。

自動車整備士1級の資格を取れば高度な専門性が必要な整備もできる

一般的な自動車整備の仕事は、自動車整備士2級でも対応可能です。しかし、特に専門性が高い整備は2級では対応できません。自動車整備士1級を取れば、専門性が必要で難易度が高い整備も含め、すべての自動車整備を行えるようになります。

自動車整備士の就職先として代表的なのは、自動車ディーラーやガソリンスタンド、修理工場などです。これらは自動車整備士2級で学ぶ、一般的な整備技術があればそれほど困ることはありません。他にも自動車整備士の就職先として、自動車メーカーや自動車部品メーカーがあります。発表されていない新型車や新しい部品の開発にも、自動車整備士の力が必要です。十分なマニュアルがない状態での整備となる場合があり、高度な専門知識と技術が必要です。自動車整備士1級であれば、このような新製品開発の場でも活躍できます。自分が関わった製品が多くの人に使われる仕事はとても魅力的です。

自動車整備士1級を受験するのは専門学校の卒業生が多い?
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自動車整備士1級試験を受験するためには、以下の受験資格のうちいずれかを満たす必要があります。

  1. 2級ガソリン・エンジン整備士もしくは、2級ジーゼル・エンジン整備士合格後、認定工場で3年以上の実務経験
  2. 自動車整備系の専門学校や大学(1級整備士養成課程)修了

1級整備士養成課程を修了しない場合、通算で7年の実務経験が必要です。受験資格を得るために長い期間が必要なため、1級整備士養成課程を修了する人が多いです。1級整備士養成課程を修了できる学校は全国にありますが、2級以下に比べて数が少ないです。事前に必ず、1級整備士の受験資格が得られるか確認をしましょう。

自動車整備士1級試験には口述試験もある

自動車整備士1級試験は、学科試験・実技試験・口述試験で構成されています。他の級にはない口述試験は、お客様の自動車に不具合が出たことを想定し、問診や点検項目が理解を問う試験です。また、学科試験や実技試験の範囲は2級までと大きく変わりませんが、難易度の高い問題が出題されます。

代表例として、学科試験の問題を1問紹介します。

出題例:パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムの点検・整備場の注意事項として、不適切なものは次のうちどれか。

  • (1) 高電圧のコネクタや端子に触れる場合は、サービス・プラグを抜いた後、5分間を経てインバータ内の高電圧コンデンサを放電させてから行う必要がある。
  • (2) エンジン・ルームの点検・整備を行う場合は、エンジンが始動しないように、事前に整備モードへの切り替え操作を行う必要がある。
  • (3) 作業時は、シャープ・ペンシルやスケールなど、落下して短絡の恐れがある金属製品を身に着けてはならない。
  • (4) 補機バッテリには、専用のバッテリが採用されているため、急速充電器の使用が禁止されている。また、バッテリを交換する場合は、必ず、専用のものと交換しなければならない。

正解は(2)です。ハイブリッドシステムの整備など専門的な内容が問われます。

自動車整備士1級の試験勉強は過去問と実技訓練が重要

自動車整備士1級の合格率は30%台となることが多く、他の級に比べるとかなり難易度が高いです。そのためしっかりと準備をしていくことが重要です。特に実技試験は年によってその合格率が大きく変動します。確実に合格を目指すためには、実技試験免除を狙うのがおすすめです。

また、口述試験はそれほど難易度が高くありませんので、学科試験を重視して取り組みましょう。具体的には過去問題を繰り返し解き、選択肢を選ぶ理由まで明確に答えられるようにしていく方法がおすすめです。日本自動車整備振興会連合会のホームページに過去問題と正答がありますので、無料で利用可能です。解説がついていないため、必要な場合には市販の解説付き過去問題集を利用するとよいでしょう。

自動車整備士1級を受験する際は運輸支局へ申し込みが必要
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自動車整備士を取れる自動車整備技能登録試験は年に2回行われていますが、自動車整備士1級の試験は1回のみです。例年1月に受験申込が行われますので間違えないようにしましょう。

具体的な申請窓口や試験概要は都道府県ごとに変わる可能性があるため、まずは運輸支局に確認するのがおすすめです。

自動車整備士の他の資格はどんなものがある?

自動車整備士の他の資格としては、同じ自動車整備士の3級、2級と特殊整備士があります。詳しくは「自動車整備士として働くための資格は?それぞれの違いを紹介!」にまとめてあります。

まとめ

自動車整備士1級は、高度な専門知識と技術を証明する資格です。社内での評価アップや転職・就職を有利に進められる可能性が高まります。やりがいのある仕事も多いので、チャレンジしてみましょう。