製造業を支える鋳造、鍛造業界!金属の形を豪快に変えるダイナミックさが魅力
鋳造、鍛造は金属でできた製品の形を作るための歴史ある方法で、身の回りにあるさまざまな種類の製品に使われています。また金属を溶かしたり、たたいたりと、ダイナミックに加工が進むことも魅力です。今回は鋳造、鍛造業界の動向や、仕事内容などを見ていきましょう。
鋳造、鍛造は、鉄やアルミニウムなどを熱して溶かしたり、軟らかくして製品の形を作る加工です。切削加工と比べ、複雑な形を持った製品を大量に作れる、材料を鍛えて強くできるなどの特徴があり、ものづくりには欠かせない方法です。日本は世界でも高い技術を持っており、自動車業界などを支えてきました。
鋳造(ちゅうぞう)は鉄やアルミニウムを大きな炉で溶かし、製品の形をした空洞がある型に流し込んで、中で固まらせることで製品を作る方法です。鋳物(いもの)ともよばれ、切削ではできないような複雑な形を作るのが得意です。伝統的には、南部鉄器などが鋳造によって作られています。現在では、エンジンやモーターの部品などに使われています。
鍛造(たんぞう)は鋼やアルミニウムを温めて軟らかくし、金型ではさんだり、ハンマーでたたいて製品を作る方法です。金属に強い力を加えることで材料を鍛えることができ、高い強度を持たせることができます。伝統的には、日本刀が鍛造によって作られています。現在では、エンジンや飛行機の部品などに使われています。
業界の動向としては、素形材センターの発表した2015年のデータによると、鋳、鍛造品の生産金額は2.5兆円規模で、過去20年ほど横ばいです。しかし事業者の数は減る傾向にあります。主な用途である自動車についても、海外での現地調達やEV化の流れなど、不安がないわけではありません。
それでも、日本は高い技術力を持ち、金型や生産装置などの鋳造、鍛造業界を取りまく環境もトップクラスです。今後も品質や技術力を強みに、世界から認められる業界です。
鋳造にはさまざまな種類、大きさがあり、仕事の内容もいろいろです。いずれも溶けた金属で製品を作るので、原料を運んだり、溶けた金属を流し込んだりする仕事があります。
鋳造した直後の製品には、バリや余分な材料が付いています。これをバンドソーやバリ取り機などで取り除く仕事もあります。製品は重たいこともあるので、クレーンやフォークリフトを使って、工場内を運搬する仕事もあります。
また鋳造は溶かす金属の状態や環境によって、品質の影響を受けやすいです。このため、いろいろな記録を取ったり、製品に問題がないか分析をすることも大切で、多くの女性も活躍しています。
鋳造業界は、以前は熟練した職人の経験に頼ることも多くありました。しかし現在では、オートメーションや安全対策も進み、安心して働くことができます。
鍛造にもさまざまな種類、大きさがあり、仕事の内容もいろいろです。原料は大きな状態で工場にくることもあるので、それを運んだり、切断機にセットする仕事があります。
鍛造はプレス機で行われ、これを操作するのがプレスオペレータの仕事です。またその前後では材料を炉で加熱する工程があり、出し入れもまかされます。原材料や製品も重たいことが多いので、クレーンやフォークリフトを使って工場内を運搬します。
裏方ながら、プレス機や炉のメンテナンスも大切な仕事です。スケジュールを決めて状態をチェックしたり、保守することで、安定した生産をサポートしています。また鍛造品は高い強度が求められることも多く、品質の管理は欠かせません。定期的な検査などもきちんと行われています。
鋳造、鍛造共に金属の材料を熱して溶かしたり、軟らかくして加工します。このため、職場が全体的に暑くなるのはどうしても避けられません。また、不注意がケガにつながるプロセスや機械を扱うことも事実です。安全第一に、周りによく気を配りながら働ける人が向いているといえるでしょう。とはいえ、現在の工場では安全にはとりわけ気を使っているので、大きな心配はいりません。
品質検査や生産管理の現場では、多くの女性も働いています。また、重たい材料や製品を扱うことも多いため、フォークリフトやクレーン、玉掛けの免許を持っていると喜ばれます。
ドロドロに溶けた金属を扱ったり、赤々となった材料をプレス機で豪快に打つ作業は、ほかにはない、とてもダイナミックな仕事です。製品は身の回りで走っている自動車から飛行機やロケットの部品にもなったりします。鋳造、鍛造業界は日本のものづくりの根っこを支える仕事ともいえ、やりがいがある業界です。
プラスチックが普及している現代でも、金属はその強度や信頼性で現代でも大切な材料のひとつです。これを加工する方法の代表でもある鋳造、鍛造業界は日本にものづくりがある限り、今後も残っていく業界です。みなさんも日本のものづくりを支えるこの業界で働いてみませんか。